脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】サディスティック・ミカ・バンド / 黒船 [1974]


船、襲 来

黒船 黒船
サディスティック・ミカ・バンド

曲名リスト
1. 墨絵の国へ
2. 何かが海をやってくる ≪インストルメンタル
3. タイムマシンにおねがい
4. 黒船(嘉永六年六月二日) ≪インストルメンタル
5. 黒船(嘉永六年六月三日) ≪インストルメンタル
6. 黒船(嘉永六年六月四日) ≪インストルメンタル
7. よろしくどうぞ ≪インストルメンタル
8. どんたく
9. 四季頌歌
10. 塀までひとっとび
11. 颱風歌
12. さようなら

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 

名盤特集の常連さんサディスティック・ミカ・バンドの『黒船』。
なんかこれを聴かずに邦楽ロックは語れないくらいのポジションにいる。
実際そんな事はないのだが、聴いておいて間違いないアルバムの一つだ。

さて、我々の世代のサディスティック・ミカ・バンドと言えば
木村カエラボーカルで復活した時の印象が強いのだが、
バンドの名前にもあるミカさんボーカルの時のメンバーが元祖だ。


日本のロックアルバムが本格的に海外進出したきっかけとなった作品であり、
特に英国での受けも良く、当時の人気バンドのロキシーミュージックと共に
イギリスツアーを行った際は、サディスティックミカバンド目当ての客も多く
会場によってはロキシーミュージックよりも盛り上がったとの話も聞く。


これはもう黒船というか、
日本が逆に外国に乗り出し黒船的ポジションとなったわけで
むしろ逆黒船なんじゃねーかって思うくらいの作品だ。
そういった時代背景や功績も含めて評価されているアルバムです。

ちなみに黒船っつータイトルの本来の意味は、
当時のイギリスで敏腕プロデューサーのクリス・トーマス
日本に迎え入れてアルバムを制作するという試みだったため、
当時の日本では珍しかった様々な音楽的取り組みが上陸してきた、
という意味だそうな。

…黒船って本来はイギリスではなくアメリカではなかったっけ。
まあ細かい事はいいか。とにかく外国の風が入ってきた記念すべき作品だ。


しかーし!

このクリス・トーマスの襲来により、
ここまでの傑作を生み出したサディスティック・ミカ・バンドだが、
加藤和彦と結婚して妻となっていたボーカルのミカとクリス・トーマスが不倫。
結果的にクリス・トーマスの襲来によりバンドは解散と相成りました。
うーむ…。ロックミュージシャンってこういう話多いよな。


アルバムの内容についてだが、
タイトルの黒船にちゃんとちなんだ内容であり、
前半は幕末に黒船が来航するまで、後半は来航後(むしろ開国後?)という構成。
レコード盤の時はちゃんとそこでA面B面が分かれていたようです。

ポップロックからインスト曲に歌謡曲ぽいもの、
さらにはプログレ風なものから和を感じるロックまで入った、
まさに邦楽ロックのその後を占うような風格を感じる作品。
和洋折衷を音楽で見事に表現している辺りが素晴らしい。

『黒船(嘉永六年六月二日)~黒船(嘉永六年六月四日)』は
今聴いても十分に魅力的なインスト曲の流れなんですが、
当時聴いていた人の衝撃ったら凄かったのではないだろうか。

そして「タイムマシンにおねがい」はまさにキラーチューン。
邦ロックの重要曲としてその名を轟かせる、
まさに加藤和彦の音楽的探究心が生み出した珠玉の名曲だ。
この曲は知ってる人も結構多いのではないだろうか。


木村カエラボーカルでミカバンドが復活して数年後、突然自殺した加藤和彦氏。
フォークル等での活躍の他にも「あの素晴しい愛をもう一度」や
マクロスの「愛・おぼえていますか」等の今尚歌い継がれる曲を世に送り出し、
日本の音楽シーンに多大な影響と功績を残しました。

彼の遺書には以下のような一節があったそうです。

「今の世の中には本当に音楽が必要なのだろうか。」

”世の中”に必要かと問われると自信を持ってハイとは言えない。
究極的には要らないものと言えば要らないものだからだ。
ただ少なくとも現代人には音楽で埋まる心の隙間はあるのではないかと思う。


【採点】
・色褪せないハイセンスな楽曲群  25点
・あくなき探究心が生み出した傑作 25点
・日本的要素と英国的要素の調和  25点
・やはり俺はNO MUSIC,NO LIFE  10点
85点