脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

音楽で世界は変わらない事を前提にしたい。

力抜いて楽しもうぜ。

 

最初に断っておくが、
俺はアーティストの方々を心より尊敬している。

これは音楽に限らずな話なんだけど、
何かをクリエイトし表現する事は尊い行為であり、
人が生み出した作品ってのはどこかに何かしらの価値がある。
それは人によって変化するものの、誰かにとっての何かになる。

だけどね、音楽で世界を変えるって幻想まで持つと、
アーティスト自身に絶望を与えてしまう事もある。
それを夢にするのは別に構わんが妄信しちゃあいけない。


一部の人間が出来る事なんてやはり限られている。
ましてや音楽の力で世界を変えるなんて無謀すぎる。
そこで無力さに苛まれるくらいなら、初めから希望なんて無い方がいい。
乱暴な言い方になるが、この認識って既に一つの前提だと思うのだ。

ローリングストーンズも言っていた。
ジャックホワイトも言っていた。

「音楽で世界なんて変わらない」

本気で世界を変えたいと思うなら、
音楽という手法は実にまぁ相応しくない手法である。


よくレゲエ界隈ではボブ・マーリィが世界を変えたなんて話を聞く。
当時いがみ合っていたジャマイカの2つの政党の党首を、
音楽のフェスのステージの上に招いて和解の握手をさせた。

しかしそれで本当に和解したのだろうか?
握手という行為をさせたのは確かに凄いがそれで終わりでは?
あの後にも結局激しい選挙戦が続き暴動が起き死者も出ている。
結局その場のパフォーマンスだけで真の和解なんてしていない。

想像すれば分かるはずだ。
争っている相手と場の成り行きでいやいやながら握手したってねぇ。
そんなもんだよ。悲しいけど。


さて、一方でザ・フーのピートタウンゼントはこう言っていた。

「ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし
 逃避させてもくれない。 ただ、悩んだまま躍らせるんだ。」


これって凄い真理をついていると思うんだよ。
ロックについての台詞だが音楽全般に言えると思う。

別に何かを変えようと思ってやってたわけじゃなくて、
素直に自分の感情を吐露する日記みたいな感覚で表現していたものに、
何かを感じた人が集まって色々な心情を感じ取る。
そこに救いなんてないけど、なんか心地いいから意識を委ねる。

ぶっちゃけ音楽もドラッグみたいなもんだからね。
音楽文化の傍らにはいつもドラッグがあったってのも納得できる。

それでいいんだ。
最終的に何かを解決するのは個人の行動でしかない。
 
アーティスト側が音楽に理想を求めすぎると、
自分が思うようにならなかったり間違って伝わった場合に、
「これじゃだめだ。もっと歌わなきゃ伝えなきゃ曲作らなきゃ。」
みたいに感じて、自己陶酔だったものが使命感に置き換わってしまう。

熱意はいいけれども音楽の力を過信して依存しすぎてはいないか。

音楽が個人の気持ちを変えるきっかけになる事は十分にあるけれど、
基本的には間接的な作用しかないし本気で世の中を変えようと思うなら、
芸術以外の道の方が現状はよっぽど可能性がある。

俺もそんな崇高な理想をアーティストには求めたりしない。
時には癒して時には奮起させ、
気持ちをコントロールするドラッグみたいな効用。
それだけで十分に立派な作品だと思う。

アーテイストもあまり気負わずに、
色々な作品を提供して喜怒哀楽を表現し、
その世界にみんなが色んな価値を見つけてそれぞれ味わう。
シンプルだけどこれこそ音楽の醍醐味だ。

無駄に長くなったが結構単純な話だった。

まああれだ、過信は禁物って事ね。
目的に対するアプローチは色々あるよ、と。
だから音楽で世界を変えるとか無茶すんなよって。

最初から3行でまとめろってね。スミマセン。

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