脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Jeff Buckley / Grace [1994]

天に召された天使。

グレース グレース
ジェフ・バックリィ

曲名リスト
1. モジョ・ピン
2. グレース
3. ラスト・グッドバイ
4. ライラック・ワイン
5. ソー・リアル
6. ハレルヤ
7. 恋人よ,今すぐ彼のもとへ
8. コーパス・クライスティ・キャロル
9. エターナル・ライフ
10. ドリーム・ブラザー

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夭折したミュージシャンは多い。
数えればおそらく両手両足使っても足りない。
まあ足でカウントするとか絶対メンドクサイからやらんけど。

そして30歳を迎えたにもかかわらず、書類に年齢を書くときに
未だ「2」から書き始めてしまい勝手に悔しい思いをする
こんなにもふがいない今の俺と同じ年で亡くなったのが彼。

ジェフ・バックリィである。
なんだかジェフ・ベックに引っ張られて
ジェフ・ベックリィと言ってしまいそうになる人挙手。ノ。


彼は30歳のときに悲運の死を遂げてしまう。
そんな彼が生前発表した、ただ一枚のアルバムが『Grace』だ。
彼の死により美化された面も否定は出来ないが、
それでも90年代の名盤の一つとして度々目にする。

「天使の歌声」と称されていたアーティストだ。
確かに非常に美しく、脳に心に体に響き渡る声である。


しかし「天使の歌声」は「10年に1人」と同じくらいに
使用頻度が高い褒めワードのため有難みが薄いのが喫緊の問題だ。
そんなに10年に1人が出るのかよってのと同じくらい天使がいる。

というか俺は前々から思っていたが天使って歌うイメージあるか?
どちらかってーと天使はラッパ吹いてるだろう。
だから金管楽器奏者に対して「彼は天使のラッパだ」とか使う方が、
より適切に天使のイメージを当てはめていると思うのだがどうか。


さて、話はやや逸れたが実際に彼の歌声は美しい。

それは単に綺麗という意味だけではない。
感情が純度100%のまま歌声になっているのだ。
ただ声の質がビューリフォーだとかいう次元とは異なる。
もっと根底的な部分で彼の歌声は美しいのだ。

このアルバムは何気に多様性に富んでいる。
天使の歌声とか言うと、お涙頂戴バラードが浮かびやすいが、
彼はサウンドを選ばない。どんな曲でもその声が映えるのだ。

そして声だけでなく彼が奏でる曲もまたエモーショナルだ。
全身全霊で表現に挑んでいる。これぞアーテイストの鑑だ。

そしてなんといっても圧巻なのはやはり『ハレルヤ』だろう。
カバー曲ではあるが、彼の持つ驚異の表現力が存分に堪能できる。
あまりに神々しくそしてあまりに人間らしい。
そして彼が亡くなった事を想いながら聴くと儚く悲しい。

他のアーティストからも多大な評価を受け、
今後の活動も非常に有望視されていた時だった。
彼は水泳中に溺死してしまう。
自殺説もあるようだが死者は語らず。真意は不明である。


こんな書類一つ書けないふがいない俺より、
有望視された人間の方が早く亡くなる事もあるのだ。

しかし当たり前だが俺だっていつ死ぬかは分からない。
だが、生きているという実感がないまま死ぬのは悲しい。
だから俺は一生「まだ死にたくない」と思いながら生きていたい。
そちらの方がきっと死ぬまで充実した人生を送ってそうだから。

そんな事を思った30歳の冬。
とりあえずいいかげん自分を30歳と自覚して
年齢くらいきちんと書けるようになろう。


【採点】
・真の天使の歌声  30点
・圧倒的表現力   30点
・有望視された彼  20点
・ふがいない俺  -10点
70点