脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Pink Floyd / Momentary Lapse of Reason [1987]

1987年ブラック企業大賞

Momentary Lapse of Reason Momentary Lapse of Reason
Pink Floyd

曲名リスト
1. Signs Of Life
2. Learning To Fly
3. The Dogs Of War
4. One Slip
5. On The Turning Away
6. Yet Another Movie/Round And Around
7. A New Machine (Part 1)
8. Terminal Frost
9. A New Machine (Part 2)
10. Sorrow

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人間って不思議なもので、不思議なものに惹かれる事があるのだ。
良く考えてみればなんで需要があるのかまるで分からないものが、
時として流行ったりするから面白い。

鬱作品なんかその典型だ。
誰だって自ら進んで鬱になんかなりたくないだろうに、
いつの時代も鬱作品は一定の需要を保ってきた。

良く考えれば意味不明である。
もうコレは人類の神秘だよね。もしくは神様のバグだ。
鬱を好むなんて葬式に喜んでいくような話だよ。
でも俺が死んだ時は葬式には喜んで来てもいいぞ。

でもまぁハッピーで何事もうまくいくようなコンテンツばかりだと、
「実際そんなわけねーだろ」というリアルな世界に対処できないので、
いつの時代も少なからず反骨的に鬱を表現する作品があるわけで、
いつの時代も少なからず存在する天邪鬼共がそれを楽しむわけだ。


かくいう俺も鬱作品は結構好きでね。

というわけでピンクフロイドの『Momentary Lapse of Reason』である。

…なんだろう、俺は以前から頑なに
プログレ嫌い。インテリが聴いてそう。」
と散々言ってきた記憶があるが、
何気にピンフロ記事は定期になってる気がする。


さて、このアルバムの邦題はズバリ『』だ。
しかしタイトルの直訳は「一瞬の理性崩壊」だ。
テキトーな訳をそれっぽくつけるのが邦題の伝統芸なのだ。

実際、曲調に関してはさほど鬱っぽくない。
よっぽどピンクフロイドの他のアルバムの方が暗かったりする。
むしろこのアルバムはロジャーの脱退もあってか、
サウンド的にはどちらかというと開放的になっているのだ。


しかし、このアルバムの邦題は『鬱』でもそんなに悪くないと思う。

その理由はこの途方も無いジャケットである。
海岸に並んでいるおびただしい数のベッド。
そしてその中の一つに座り込んでいる一人の青年。
こんなのを見たらそりゃもう邦題考える人も『鬱』とつけたくなる。

俺の大好きなジャケットの一つ。一時期は携帯の待ち受けだったよ。
あとジャケットでは分からないが、この横にはメイドも一人いる。
ロンドン五輪ではこのジャケットを模したと思われる演出もあった。


このジャケットの何が恐ろしいって、これ実写なんだぜ。
1987年ならCGの技術も十分にあっただろうに。
こんだけの数のベッドをわざわざ海岸に運ぶとかブラック企業だろ。

ジャケットを手掛けたのはみんな大好き俺も大好き、
イギリスのデザインチームでピンクフロイドではお馴染み、
ヒプノシスのメンバーだったストーム・トーガソンだ。
彼のデザイン集にはこのジャケットがどーんと載っているぞ。

さらにこのジャケットには
ベッドを運び終えた頃に雨が降り出したので、
一旦ベッドを回収して再度並べなおしたとかいう
とっておきの鬱エピソード付きだ。

作業した人はもうベッドとか見たくないんじゃないか。
その人達はこのアルバム聴く度に本気で鬱になってそうだ。
そんな人達の事も思うと間違いなくこのアルバムは『鬱』なのだ。

鬱作品が好きな天邪鬼な皆様。
この果てしない鬱ジャケットを眺めながら楽しんでみようぜ。


【採点】
・鬱ジャケット本命    30点
・内容はそこまで暗くない 30点
・途方も無い撮影作業   10点
・まさかの雨による再作業 -5点
65点