脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】トレンディスタイル / YA・BA・I・DE・A・I [2016]


文字通りの「不毛」な戦い。

真面目な話。真面目な話をするよ。

お笑い芸人のプロ根性には並々ならぬ物を感じる時がある。

お笑い芸人の話を聞いていると、
一般人なら不快に思ってしまうような出来事ですら
笑い話としてインプットしている事があり、
同じ経験も捉え方次第では全然違う光を放つ事があると実感させられる。

特に「馬鹿にされる」「いじられる」といった経験は
おそらく一般人より豊富だろうしその事をネタに出来るのが強い。
どんなに馬鹿にされようともそれを笑いに昇華してしまうのは、
ある意味最強だ。勿論それをバネにしている場合もあるだろうけど。

そう考えたときにこのトレンディスタイルの曲は、
単なる「ディスり合い」とはまた違った光を放っていると思ったんだよ。
どうだ、真面目な話だろう?俺はいつだって真面目だよ。


トレンディエンジェル斎藤とNON STYLE井上による新ユニットだ。
トレンディスタイルとだけ聴くとすっげーオシャレな言葉なのに、
めちゃめちゃアホらしく聴こえてしまうのがYABAI。

俺は元々ディスり合う音楽ってのはそんなに好きじゃない。
ディスりも表現の一つと言ってしまえば芸術っぽいが、
一歩間違えば単なる悪口、ヘイトスピーチになりかねない。
韻の踏み方等で「おお上手い!」と思う事はあるが、なんか怖いんだよ。

MCバトルなんか観てるともうハラハラドキドキして落ち着かないんだ。
ほら俺、クラスで喧嘩が始まったら心拍数が上がるチキン野郎だから。
今にも流血沙汰の大喧嘩が始まるんじゃないかと心配になってくる。
MCバトル中にどっちかがキレたりしないかいつも不安なんだよ。
そんなヒリヒリした緊迫感が好きな方もいるだろうけど。


しかしそのディスり合いを安心した笑いとして鑑賞できる曲、
それがこのトレンディスタイル の『YA・BA・I・DE・A・I 』なのだ。

「お笑い芸人」で「いじられキャラ」というバックボーンがある二人を、
MCバトルという形でディスり合わせる事で
他に類を見ない程のエンターテイメントに仕上げているわけだ。

これは何気にYABAI。
正直MCバトルにしてはラップのキレが悪くてもやもやするのだが、
そのゆったり聴こえるラップですら最早笑いどころになってる。
オリラジ藤森ならもっとキレ良くやってくれそうだが。


ハゲとブサイクをディスり合いながらも売りにしているという
この逆説的な曲は、まさにMCバトルの新境地かもしれない。
俺みたいなチキンな奴にもMCバトルを楽しんで貰える、
そんな温かみすら感じるこの企画に俺は敬意を表したい。

安心して観られるディスり合い。
カッコよくてキモくてまたカッコイイ。
これらが同居した不思議な曲だ。お子様にも安心して観せよう。


【採点】
・安心のディスり合い 30点
・キレの悪いラップ  30点
・お笑い芸人の強さ  10点
・俺も最近髪の毛が…-10点
60点