読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

脱R論 - 一般人の一般人による一般人のための音楽ブログ。

【Song】Bob Dylan / Blowin' in the Wind [1963]


プロテスト・ソングじゃ終わらない。


ボブ・ディランより先に日本のデュオ「ホフ・ディランを知り、
ボブ・ディランの名盤『Highway 61 Revisited』を聴くより先に
日本のバンド「HIGHWAY61」を聴いた世代。そう、俺です。


ついにボブ・ディラン御大がノーベル文学賞を獲りましたぜ。

⇒ノーベル文学賞にボブ・ディラン氏 | NHKニュース

毎年のようにノーベル賞授賞がウワサされ、
半分冗談じゃねーのとか思っていたらついに今年授賞だ。
ミュージシャンが文学賞を授賞するのは初めてだ。

これについてはやはり文学界を始め様々な反応があるようで。

⇒村上春樹氏母校ため息「ボブ・ディランは歌手やろ」

まぁ「ミュージシャンが文学賞?」という気持ちは分からんでもないが、
そもそも文章が綴られていれば別に書物として装丁されている必要は無い。
それが歌詞であれ多くの人に影響を与えたならば評価はされて当然だろう。

俺は将来的にはブログのようなネット上の文章も
ノーベル文学賞を授賞してもおかしくない時代が来ると思うし。
文章は本であるべきだなんて保守的なフォーマットに拘らない方が良い。
つーか歴史を辿れば書物よりも音楽の方が先だと思うけど…。


そんなわけで最近やたらテレビでも流されていたディランのこの曲。
彼の代表曲『Blowin' in the Wind』、邦題は『風に吹かれて』だ。
なんだか猿岩石を思い出してしまうフレーズだ。

この曲はプロテスト・ソングとして有名である。
そしてこの曲のお陰でディランは「愛と平和の反体制派」とか
公民権運動の立役者」のような紹介を良くされている。


しかし、最初に言っておくが彼自身は全くそんな事を思っていない。

ここって結構重要なポイントだからね。
昨今のノーベル賞関連の報道でそう捉える人が多そうなので注意だ。


彼の歌を「そういう風に解釈した」人々が当時多かったのは事実だが、
ディラン自身は社会運動のリーダーがどうとかぜんっぜん考えていない。

代表曲の『Like a Rolling Stone』なんて、
女性の転落人生を「ねぇねぇどんな気分?」と朗らかに歌う曲だしね。
まぁそれはそれでメッセージ性が強いものではあったのだけれど。

彼はポジション的には俗世とは距離を置いた仙人的位置にいる。
吟遊詩人のように自由気ままにその時思った事を歌うスタイルだ。
そのフリースタイルな歌詞の作風が非常に評価されている部分であり、
社会運動うんたらかんたらは彼には直接的には関係ない話なのだ。

だから多分今回のノーベル賞授賞とかも全く気にしていないハズ。
むしろ授賞式にも本当に来るのかな、
来たとしても絶対マイペースなんだろうな、と考えてしまう。


さて、そんな前置きをしたところでこの曲についてだけど、
多くのカバーも存在する超有名曲であり、
もう解説されつくしているので敢えて俺が言及する事も無いが、
とりあえず上記のプロテスト・ソングというイメージを少し変えたい。

「どれだけの砲弾が飛び交えば、武器を永久に無くなるのか」
「どれだけの人の死を見れば、あまりに多く人が死んだと気づくのか」

良く引用される歌詞はこの辺りかな。
これは非常にプロテスト・ソングの側面が強い。
ただこの曲はこれだけで終わらないのが凄いことろだ。

「どれだけの道を人は歩けば、一人前の人間として認められるのか」
「山が海に流されてしまうのに、どれだけの年月がかかるのか」

人生観や膨大な時間を想像させる問いかけも織り交ぜられ
そしてこれらが交互に繰り出される事で、ミクロな世界とマクロな世界、
さらに時間軸をも縦横無尽に往来する見事な歌詞になっているわけだ。

そしてそして、この曲の肝とも言えるリフレイン、

「友よ、答えは風に吹かれている 風に吹かれているんだ 」

に全ての問いは繋がっている。
これこそがこの曲においてとっっっっっても大事な部分だ。

色んな問いかけをした、反体制的な疑問もあった、
でも、全ての答えは「風に吹かれている」のだ。猿岩石なわけだ。
問題解決に向けて立ち上がる!といった姿勢ではなく、すんごい俯瞰的。
そこが通常のプロテスト・ソングとは違うところ。面白い。

ただ、こういった問題をひっくるめて「風に吹かれている」に
集約しているというのはある意味では救いとも言える。
この曲を聴けば自分の悩み事なんてちっぽけに思えてしまわないだろうか。
どんな大きな問いかけの答えですら全ては風の中に吹かれているんだぜ。
少ない毛髪も隠せないヅラも何もかもが風に吹かれているんだ。友よ。


そしてこの歌の曲調、少し寂しくもどことなく牧歌的な雰囲気がある。
激しく感情を叫ぶロックでもなく、悲し気に歌い上げるバラードでも無い。
どことなく淡々と歌い上げるフォークだ。今現在も世界を自由に旅して、
ライブを続けるディランの吟遊詩人的性格と非常にリンクする曲調なのだ。

だがノーベル文学賞という話になると、
この音楽が絡んでいるところが少しズルいなーと思うところはある。

特にメインディッシュのリフレイン

「The answer, my friend, is blowin’ in the wind.
 The answer is blowin’ in the wind」

は口ずさみやすく親しみやすいメロディーラインだ。

この曲にこの歌詞が乗っているおかげで、
詩の魅力が増幅されている事は間違いない。
そういった意味では、単純な文章だけの作品と比べるとちょっとずっこい。


でも解釈はどうあれ、
この曲の歌詞が人々に大きな影響を与えた事は間違いない。
その解釈ですら答えは風に吹かれているわけだが、そこがまた文学的だ。

だから俺が今この曲についてだらだら書いている内容だって、
当時のディランに訊かなきゃ真実は分からない。まさに答えは風の中。
「どんな答えも風の中」なのだ。素晴らしい歌詞じゃないか。
なんかこう「妖怪のしわざ」的な便利さすら感じるステキワードだ。


何年前か、ディランが来日したとき俺もゼップに観に行ったんだ。
周りはすげーおっさんだらけで会場内がいつもと若干違う匂いがしてた。
まぁそこは別にいい。俺も最近そんな匂いし始めたし。そこはいいんだ。

だがそんな中、入口付近で係員と何やら揉めているおっさんがいた。
「てめー、席の順番はこのチケットの番号順じゃないのかよ!」
「お客様、こちらは入場時の整理番号でして中の順番ではありません」

ははーん、さてはスタンディング会場の仕組みを良く知らないで、
番号が早かったから余裕かまして後から来たおっさんだな。
係員も大変だな。こういう面倒なおっさんに絡まれて。

「お前、舐めてんのか?番号が早いんだから前の方に行かせろよ!
 意味が分かんねーよ、こんなん八百長だろ!八百長

…おっさんは多分「詐欺」と言いたかったんだろう。

ボブ・ディランノーベル文学賞授賞おめでとう御座います。
でも貴方の曲を聴いてる日本人の言語力なんて所詮こんなもんです。

あとライブではこの『Blowin' in the Wind』もやってくれました。
ディランのライブはアレンジしまくりで原曲が分かんないレベルだけど、
この曲を生で聴けたのは俺の一生の思い出じゃー。


【採点】
・祝ノーベル文学賞 30点
・ステキな歌詞   30点
・面倒なおっさん  -3点
・全ては風に吹かれている
          30点
87点

ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン
ボブ・ディラン

曲名リスト
1. 風に吹かれて
2. 時代は変わる
3. くよくよするなよ
4. ミスター・タンブリンマン
5. ライク・ア・ローリング・ストーン
6. 女の如く
7. 見張塔からずっと
8. レイ・レディ・レイ
9. アイ・シャル・ビー・リリースト
10. イフ・ノット・フォア・ユー
11. 天国への扉
12. いつまでも若く
13. ブルーにこんがらがって
14. オー、シスター
15. ガッタ・サーヴ・サムバディ
16. ジョーカーマン
17. エブリシング・イズ・ブロークン
18. 嵐からの隠れ場所(オルタネイト・ヴァージョン)

Amazonで詳しく見る by G-Tools
広告を非表示にする