脱R論

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【Album】Mr.Children / 深海 [1996]


売れたロックの苦悩。

深海 深海
Mr.Children

曲名リスト
1. Dive
2. シーラカンス
3. 手紙
4. ありふれたLove Story~男女問題はいつも面倒だ~
5. Mirror
6. Making Songs
7. 名もなき詩
8. So Let′s Get Truth
9. 臨時ニュース
10. マシンガンをぶっ放せ
11. ゆりかごのある丘から
12. 虜
13. 花-Memento Mori-
14. 深海

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この前ミスチルの『Atomic Heart』の話をしたんだけれども、
そうなるとこのアルバムについても触れておかねばなるまい。
1996年に発売された『Atomic Heart』の次のアルバム『深海』である。

drr.hateblo.jp
ミスチルは昔から同じような曲が多いと思われがちだが、
実は結構アルバム毎に特徴があったりする。
そしてまた「ミスチルの中で好きなアルバムは?」という話題になると、
これがまた見事に人によっていい感じにバラけるのも面白い。

そしてその「ミスチルの中で好きなアルバムは?」という質問に対する
俺の答えがこのアルバム、『深海』なのである。
ミスチルの中に限らず、邦楽の中でもトップレベルに好きな一枚だ。


勝手なイメージだが、
ミスチル以外に好きなアーティストが殆どいない「ミスチル一筋!」
ミスチル最高!」「桜井さんになら〇られてもいい!」
という方にはあまりこのアルバムは好まれておらず、
逆にミスチル以外も結構色々聴く方には好かれている作品な気がする。

アルバムのカラーはとにかくダーク
タイトル通り、非常に深く暗い海の底を巡るような作風。
全体的に酸素不足で息が詰まりそうになるアルバムだ。

だからこんなアルバムが好きだと公言しているヤツには
間違いなく碌な奴がいないので距離を置いた方がいい。
相手の人間性推し測る上でも役に立つアルバムである。


さて、このアルバムは前作『Atomic Heart』で邦楽シーンの頂点へと
上り詰めたミスチルの次のアルバムとして注目をされたわけだが、
蓋を開けてみればその内容は不満や苦悩、自己葛藤等に満ちていた。

「売れたのに不満があるとか贅沢だ」と思う人もいるかもしれないが
トップクラスの表現者というものは得てしてそういう人種であり、
金勘定ばかりの凡人とはそもそも感覚が異なるのだ。

かつてアルバム『Nevermind』で世界を席巻したバンド
ニルヴァーナカート・コバーンも、売れた事による
悩みを抱えた中で次のアルバム『In Utero』を世に出した。

そう考えるとこの『深海』は
ニルヴァーナの『In Utero』的な匂いを携えていると思う。
トップを経験した者が抱く心の闇の部分なのである。


しかし闇だの暗いだの書いたけれど、
別に重苦しいムードの曲ばかりなわけではない。
230万枚超えの大ヒットシングル『名もなき詩』や
軽快なラブソング『Mirror』などは比較的明るく聴きやすい。

だがやはりそれでも目立つのは重厚でシリアスな楽曲たち。
特に『臨時ニュース』から『マシンガンをぶっ放せ』、
『ゆりかごのある丘から』へと続く流れには痺れる。


『マシンガンをぶっ放せ』はシングルカットもされた曲なんだけど、
2001年発売のミスチルのベストアルバムには収録されておらず、
世間一般での認知度はあまり高くない。

だが個人的にはミスチルのダークな部分が炸裂した良曲であり、
このアルバムでも核となる重要な曲だと思っている。
ちなみにカラオケで歌うと変な空気になるので要注意。
あと先日発売された25周年の配信ベストには収録されている。


このアルバムはそのコンセプトのクセの凄さもあって、
『Atomic Heart』以降に発売されたシングル曲の殆どが
収録を見送られているのも特徴だ。

Tomorrow never knows』『everybody goes』
『【es】 〜Theme of es〜』『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』、
いずれもミリオン越えの大ヒットシングルながら、
この『深海』には収録されず次回作『BOLERO』へと持ち越しとなった。

ただ、『everybody goes』については『深海』収録でも
良かったんじゃないかと思っている。
攻撃的で挑発的な歌詞がコンセプト的には合っていそうだけど…
まぁちょっと曲のノリが良すぎたのかな。


そんなわけで『Atomic Heart』からの反動とも言える
ちょっと近寄りがたいロックなオーラに包まれた一枚だったのだが、
そこはやはりミスチルブランド、
結局は270万枚の大ヒットアルバムとなった。

それでも『Atomic Heart』の340万枚から比べると
70万枚は落ちているのでそれを多いと見るか少ないと見るかは
意見が分かれるところだろう。

でもやっぱりこんなダークなアルバムが
ここまで売れるのは凄いと思うし、あの大成功したアルバムの次に
こんなアルバムを出すミスチルも凄いと思うよ。


ちなみにこのアルバムで行われたコンサートツアーは、
この『深海』の内容を最初から最後まで通して演奏するという
非常にコンセプチュアルな内容だったそうだ。

今や国民的バンドの地位を不動のものとしているミスチル
だが「ミスチルはロックじゃない、J-POPだ」と批判する人も多い。

そういう意見も分かる。バンドサウンド以外にも
美しいピアノや壮大なストリング等が入ったソフトなサウンド
(というかコバタケサウンド)には良い顔をしない人がいるのも事実だ。

だがそういう人こそ一度この『深海』を聴いてみて欲しい。
このアルバムがミスチル作品の中でも異彩を放っている事は間違いない。
聴けばちょっとミスチルに対するイメージが変わるかもしれない。


【採点】
・ダークなミスチル 30点
・コンセプチュアル 30点
・売れた故の苦悩  30点
・結局売れる    -1点
89点