脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Mr.Children / I LOVE U [2005]


トマトも頑張って食え。

I LOVE U I LOVE U
Mr.Children

曲名リスト
1. Worlds end
2. Monster
3. 未来
4. 僕らの音
5. and i love you
6. 靴ひも
7. CANDY
8. ランニングハイ
9. Sign
10. Door
11. 跳べ
12. 隔たり
13. 潜水

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さて、何故だか勝手に俺の中で始まったミスチルアルバム特集。
そろそろ一旦締めようかなと思う頃合いなんだけど、
ならばこのアルバムについて語っておかねばと思う。

『I LOVE U』である。YOUではなくUなヤツ。
ほら、当時「2人合わせてダブル・ユーでーす!」とか流行ってたしね。
辻ちゃん加護ちゃん、今思えば陽と陰みたいやな。あと山月記っぽい。


2000年代のミスチルのアルバムの中では最も売れたにも関わらず、
前回俺から説教臭い認定された『シフクノオト』の2年後に発表された
次なるアルバムがこの『I LOVE U』である。

しかしこのアルバムは2000年代のミスチルのアルバムの中では
最も売り上げが低かったアルバムであり地味な印象が拭えない一枚だ。
でも俺はかなり好き。世間の評価はイマイチでもIt's So Cute.


ミスチルってね、俺の中じゃ10年周期くらいで大ヒット打つんです。
1996年の『深海』、2015年の『REFLECTION』がそれで
あと一つがこの2005年の『I LOVE U』というわけなんです。

通称トマトアルバム。
ジャケットのLOVEの部分に当たるハートマークが潰れたトマトだ。
心が不定形であるという事を暗喩しているようで好きなデザインである。

あの説教臭かった『シフクノオト』の次のアルバムと言う事で、
そんなに前作と違っているのかと言われれば、
まぁ確かにまだ説教臭いは臭いんだけど、
それ以上にこのアルバムは「人間臭い」アルバムだと言える。


このアルバムでの桜井の語り口って
とてつもなく身近な一人称に感じられるんよね。
そこに凄いリアリティがあるし共感性がある。

勿論、それまでもミスチルの歌の世界観も
一人称視点のものが多かったんだけど、
それでもやっぱり俺らのような一般人とは違った目線だった。

でもこのアルバムではその距離感がぐぐっと狭まって
近いというかむしろパーソナルスペースまで侵犯してきている。
もうゼロ距離まで入ってきてインファイトを繰り広げるレベル。
そんな内側からのミスチルを感じられるアルバムなのだ。


あとちょっぴりブラックな部分とかも俺好みやね。
『未来』の雰囲気なんかはなんかまさにそんな感じだ。
当時大学生という人生のモラトリアムを生きていた俺にとって
『未来』の歌詞はあまりに刺さりすぎた。今も刺さるけど。

そう考えると『シフクノオト』の時もそうだったけど、
やっぱり聴いていた頃の心理状況も重要だね。
このアルバムは当時の俺の心境にマッチする部分が多かったので、
どうしても少し贔屓目になっちゃう。

でも『Worlds End』『未来』『Sign』という
ミスチルの中でも俺が大好きな3曲が入っている時点で
このアルバムには大きな価値がある。この3曲ホント好き。

しかしこのアルバムの売り上げが低いとは何事だ!

『Sign』はレコード大賞受賞曲(当時のレコ大はまだマシだった)だし、
『未来』の入ったシングル『四次元』は2005年の年間1位だし、
このアルバムってもっと売れて良かったと思うよ?ホワイ?


『シフクノオト』の頃と比べて、
歌詞がとても良くメロディにハマっているし、
それにより曲の輪郭もハッキリしている。
歌詞の乗せ方に違和感がなく歌ってても気持ちいい曲が多いのだ。

例えばアルバムの中心的楽曲である『and I love you』は
当時カップヌードルのCMで大量オンエアされていた曲だけど、
歌詞もメロディもシンプルながら非常に迫るものがある。

傷つけ合う為じゃなく 僕らは出会ったって言い切れるかなぁ?
今 分かる答えはひとつ ただひとつ
I love you
and I love you
and I love you


これが単なる歌詞で終わらずに、あのメロディとあの桜井の声で、
叫ぶように葛藤するように、リフレインとして響き渡るのだ。
まさに歌詞とメロディがリンクし、曲としての世界観が確立されている。

また『ランニングハイ』の出だし

理論武装で攻め勝ったと思うな バカタレ!

ミスチル屈指の人気フレーズの一つだが、
この「バカタレ!」の部分のボーカルは非常に聴きどころである。

いきなり人間味が溢れる言葉が、桜井の口から飛び出してきてニヤリとする。
この辺りもこのアルバムに親近感を感じる要因なのである。


ただ曲順については、
もうちょっとなんかいい並びがあったんじゃないかなー。

1発目の『Worlds End』は凄い良いんだけど、
2曲目『Monster』からの3曲目『未来』はなんかピンと来ないし、
『Sign』はもっと終盤の方が良い味を出しそうだと思うんだが…。

しかし全体としては非常に完成度の高いアルバムだと思う。

というかミスチルの桜井自身も今作を「自信作」と言ってたらしいぞ。
そして「あまり評判が良くなくて悲しい」的な事も言ってたらしいぞ。
だからもっとみんなこのアルバムの魅力に気付いてくれよ。
桜井のI LOVE Uコールを受け止めようぜ!


でもやっぱりアレかねぇ、この『I LOVE U』とかいう
女子女子したスイーツなタイトルがウケなかったんかねぇ。
ミスチルも女々しくなったな」て感じで避けられたとか。

特に邦楽ロック好きこじらせちゃった男とかに。
みんなこじらせやがって。『I F〇CK U』とかなら良かったんか?

あとはトマト嫌いのミスチルファンが買わなかったとか?
「もうジャケットすら見たくない!」みたいな。

色々な理由が考えられるけど、
でも別に女子女子した感じでもないし、
トマトトマトした感じでもないから聴いてみてよ。
イメージだけで判断してはいけないぜ。バカタレ!


【採点】
・人間臭い     30点
・俺好みの内容   30点
・桜井自身も満足  20点
・トマト美味しいよ  3点
83点