脱R論

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【Album】Arcade Fire / Everything Now [2017]


現現現世。

エヴリシング・ナウ エヴリシング・ナウ
アーケイド・ファイア

曲名リスト
1. Everything_Now [continued]
2. Everything Now
3. Signs of Life
4. Creature Comfort
5. Peter Pan
6. Chemistry
7. Infinite Content
8. Infinite_Content
9. Electric Blue
10. Good God Damn
11. Put Your Money on Me
12. We Don't Deserve Love
13. Everything Now [continued]

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待ってた。俺は待ってたよ。
アーケード・ファイアの4年振りの新作がついにお目見えした。

あまりに待ち過ぎてたせいで、
アルバムに先行してYoutubeで公開された新曲のMVも
逆にアルバムを聴くまで敢えて観ないようにしてたくらい。
人間って待たされるとこうやって性格が歪んじゃうもんだね。


これまでもこのブログで幾度となく
アーケード・ファイアには触れてきたと思う。
2000代から活躍するカナダを代表するバンドだ。

一応俺だって音楽はある程度手広く聴いた上で
感想を残していこうとは思ってはいるんだけど、
お気に入りのアーティストは話題にする頻度が上がるのは
もう避けられない。人間ってやっぱり何かを贔屓してしまうもんだね。


しかしこのアーケード・ファイア、
世界的な人気に対して日本での知名度がやたら低い。
俗に言う「海外と日本で認知度の差が激しいバンド」の一角。

アース・ウィンド・アンド・ファイアーの方が確実に有名だ。


アーケード・ファイアは
アメリカやイギリスではチャート1位にもなるし
グラミーも獲るしフジロックでは大トリもやるしで
実績抜群のバンドの一つなのに日本での人気はイマイチなのだ。

曲が印象に残りにくいのかね?昔アルバム貸した事がある嫁に
「アーケード・ファイアの新作出たよ」って言ったら
誰だっけ」って言われたし。どうやら記憶から抹消されてるっぽい。

だから「同じ事は2回言わないからね」と
ウザい上司っぽく嫁に再度彼らの事を説明したら
「あーあのポールに声が似ているバンド?」との回答があった。
なるほど、確かにそう言われると似てるかもしれない。


そんな嫁にポールに声が似ている判定されたバンド、
アーケード・ファイアの新作『Everything Now』である。
日本語では「全て、今」だ。並々ならぬスケール感が漂う。


そしてこのアルバムは良い。文句なしに良い。
良かった、待った甲斐があった。俺の好きなヤツだ!

1週間くらいずっとこれしか聴いてなかった。
これくらいハマって聴いたアルバムは久しぶりだったよ。
多分ヤなことそっとミュート以来。あ、割と最近だった。

drr.hateblo.jp



これから何かが起こりそうなインストから始まり、
世界がパッと開けるような美しい表題曲『Everything Now』へ。
正直、この曲は最初聴いたとき彼ららしくない明るさで
ちょっと戸惑いもあったけど、それでも自然と惹き込まれていった。

そして2曲目以降はまた違ったタイプの曲が並ぶ。
前作『Reflektor』から引き継がれたエレクトロ要素、
ダンス要素が盛り込まれた曲を中心に
曲間が繋がった展開で聴く者を飽きさせないラインナップだ。

前作『Reflektor』でそれまでのインディーロック路線から
エレクトロ路線へと舵を切った彼らだったが今回もその延長だ。
そちらの方向性を歓迎する人にはウケが良さそうな作品。

逆に昔のアーケード・ファイア好きからはウケない作品だそうだ。
前作はまだ残っていたインディー臭が今作では大分抜けている。
まぁ心が広い俺は初期も今作もどっちも好きだけどね。


全体的にはダンサブルでテンポが速く落ち着かない作風である。
そう考えるとむしろ冒頭の『Everuthing Now』の方が浮く感じ。
アルバムを通して美しいメロディラインの曲は『Everuthing Now』くらい。

でも俺はあの導入の『Everything Now』が非常に重要だと思う。



前述したようにこの曲は今までのアーケード・ファイアとは違う
解放感に溢れた曲でぶっちゃけ「あれ?」と思う人が多いだろう。
故に間違いなく賛否が綺麗に分かれる曲だとも言える。

俺も聴いて最初に浮かんだのはアバの『Dancing Queen』であり、
そしてローリング・ストーンズの『She's A Rainbow』、
あとビートルズの『Hello, Goodbye』の感覚もちょっと感じた。

そう、これはアーケード・ファイアとしては新しい曲だが、
音楽としてはどちらかというと懐古的な曲と言えるのだ。
色んな音やボーカルが重なり合っていて俺は好きなんだけど、
凡庸と言えば確かに凡庸だ。使い古された音楽かもしれない。


だがこのアルバムの主題は俺は「過去の総括」なのではないかと思う。
冒頭の『Everything Now』に限らず、アルバムは全体的に
70年代・80年代のニューウェーブ音楽へのリスペクトが感じられ、
アーケードファイアの音楽のルーツを紐解く旅をしている気分。

つまりこれはそんな過去の音楽を今の自分達なりに解釈した上で、
「総括」しましたという意味の『Everything Now』なのではないか。
今という時代を見つめなおす、歌詞からもなんとなくそんな印象を受ける。

だからこのアルバムは音楽のアカシックレコード的な一枚なのだ。
今に繋がる過去の全てを内包しているという壮大な一枚なのだよ。
確かにありきたりなポップソングばかりの一枚と言えなくもないが、
どれもこれもがとても聴き応えのある良質な音楽ってとこが素晴らしい。

良いものは良い。複雑多様化する現代音楽シーンへの彼らの答えだ。
決してポジティブな作風ではないが、とてもコンセプチュアルである。

ジャケットも現風景に何かのフェイクを重ねているような意味深な写真。
またジャケットには背景が明るいオレンジ色の空の「Day Version」と
暗い空の「Night Version」の2種類が存在する。ルガルガンかよ。

ポケットモンスター サン & ムーン ぬいぐるみ イワンコ ルガルガン まひるのすがた ルガルガン まよなかのすがた
ポケットモンスター サン & ムーン ぬいぐるみ イワンコ ルガルガン まひるのすがた ルガルガン まよなかのすがた 
ちなみにルガルガンには新要素で「たそがれのすがた」が追加されるよ!


また、ラストの『Everything Now [continued]』は
いきなりブツっと途切れるので一瞬ドキッとさせられたんだけど、
リピートすると冒頭の曲に戻ってうまく繋がるようになってるね。
堂々巡りする音楽業界を皮肉っているのかなんて勘ぐっちゃう。


歌詞カードもまた面白い。外国の商品ポスターの様なデザインで、
どこか懐かしくもあり楽しくもあるニヤリとしてしまう歌詞カード。



これは「Everything Now」という名前の架空の企業が、
全曲にタイアップをつけて商品を売り出そうとしているという設定らしい。
まさに情報に溢れている今の時代をうまく表現している。

そう考えると今回ジャケットを2バージョンで売り出したのも、
供給過多な商業主義的音楽に対する自己アイロニーみたいな事なのかも。
ちなみに闇に隠れて生きる俺は「Night Version」を買った。


というわけでこのアルバムは、
色々な仕掛けやアイディアが張り巡らされているとても充実した一枚だ。
遊び心があり、かつそこに潜む一貫したコンセプトが実に面白い!

ロックがこれまでの音楽の価値観を塗り替える立場だとすれば、
過去に敬意を払い今それを踏襲するこのアルバムは確かにロックじゃない。
コンセプチュアルだとしても音楽としては攻めた感じはしない。

でもこのアルバムにはそんな批判をも黙らせる純粋な良さがあると思うの。
様々な音楽の根底に流れている源流。その力を今また見せる時なんだと、
アーケード・ファイア自身がそう考えて作った作品のように感じられる。


「全て、今」。そんな壮大なテーマを掲げて作られた今作は、
決して大風呂敷なんかじゃなかった。本当に良いアルバムだと思う。
個人的にも今年の注目作だっただけにとても満足感のある一枚だった。


ちなみに『Everything Now』のMVを観ていると途中に
”現在全部”という中国語訳の文字列が確認できる箇所があって、
まぁ直訳は確かにそうなんだがなんか他に無かったんかと思う。

あと『Everything Now』と『Signs of Life』の曲間には
日本の救急車のアナウンスと思しき音声が入っているよ。
どういう意図があってかは分からんが。
気になった方はアルバム聴いてチェックすべし。


【採点】
・世界が待ってた     30点
・俺も待ってた      30点
・期待以上の満足感    30点
・嫁は別に待ってなかった -3点
87点

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