脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】神様、僕は気づいてしまった / 神様、僕は気づいてしまった [2017]


老害チェッカー。

神様、僕は気づいてしまった<通常盤> 神様、僕は気づいてしまった<通常盤>
神様、僕は気づいてしまった

曲名リスト
1. わたしの命を抉ってみせて
2. 宣戦布告
3. CQCQ
4. 僕の手に触れるな
5. 天罰有れかしと願う
6. 大人になってゆくんだね
7. だから僕は不幸に縋っていました

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「最近、若い人のセンスについていけない~」

こんな悩み、抱えていませんか?
もしそうだとしたらあなた、実は老害が始まっているのかも??

いけないいけない!言われたくない言葉ランキングで
きっと常に上位をキープしていると思われるのが「老害」です。

そんなあなたに今オススメしたいのがこのバンド、
神様、僕は気づいてしまった」通称「神僕(読み:かみ-ぼく)」です。

今、「寒っ」と思ってしまったあなたは老害の傾向にあります。
これをしっかり聴いて、ちゃんと好きになる事が出来れば、
老害認定は無事防ぐ事が出来ますよ。さぁレッツリスニング!


そんなわけで、
最近のナウいヤングに馬鹿ウケなバンドがこちら
神様、僕は気づいてしまった」だ。

これを聴いたとき、すぐに浮かんだ感想が「若ぇー!」だ。
とにかく元気いっぱい。通知表で「落ち着きがない」と書かれるタイプ。
鳴ってる音からアンチエイジング物質とか分泌されてそう。



ザッツ若者の音楽だ。
間違いなく若ぇ奴が好きそうな音楽だと俺はすぐに認知した。
神様、俺も気づいてしまった。俺がすっかり老害だって事に。

でも別に嫌いな音楽ではないし、むしろ好きな類の音楽だよ。
ただ随所に感じられる「イマドキの若者感」がとにかくやっべぇの。
だから「ああもうっ、若いなー!」て言うしかないの。ザッツ老害


まずバンド名がもう若い。
神様、僕は気づいてしまった」だぜ?

最近は変なバンド名が激増しているとはいえ、
ここまでラノベや漫画を想起させるバンド名もなかなかいない。
だってバンド名って言うよりセンテンスじゃん!
ワードじゃなくてセンテンスじゃん!

そしてネット動画を中心に展開している点も若い。
これはまぁ今では普通にあるあるのでそこまで驚きはないが、
それでも「若い」ポイントとしては十分に加算できる。

あと覆面を被ったキャラクターを売りにしている点。
今までも顔を見せない事で話題になってきたバンドは散々いたけれど、
今回はその覆面のキャラデザインがなんかもう若い。
うまく言えないけど高校生とかに受けそうな雰囲気がある。


そしてメンバー名。

ボーカル:どこのだれか
ギター:東野へいと
ベース:和泉りゅーしん
ドラム:蓮

はい、若い。センスがマジで若者。
上の世代から「わけわからん」で一蹴されそうな感じ。
この辺りの匂いを嗅ぎ分けられる人間には一発で分かる。
これは若い奴のセンスだと。


そして極めつけは楽曲である。めっちゃイマドキの若者だ。
もう若若しすぎてエネルギッシュさが半端ないのだ。

ジューシーな若鶏の唐揚げから肉汁がほどばしるような感じ。
ポテチを一袋食えないようなおっさん世代にゃ無理だよコレ。
ちなみにまだ現役で二袋くらい食える俺は余裕だけど。デブ万歳。

この高音ボーカル、息もつかせぬように畳みかけてくる音、
そして早口で展開されるサビはまさしく
ニコニコ動画等で人気が出るタイプの若者の音楽だ。
これぞ若者音楽の王道パターンである。


しかしこのバンドの曲『CQCQ』が
ドラマ「あなたのことはそれほど」の主題歌になったんだから凄い。

こんな完全なる若者の音楽が、
アニメじゃなくてドラマの主題歌になる時代という事に
俺はちょっとした感動すら覚えている。変わったね、世の中。
それと同時に年配の方がこの曲聴いて耐えられるか心配している。

しかし、ドラマ「あなたのことはそれほど」、
バンド名「神様、僕は気づいてしまった」、主題歌「CQCQ」…。
それぞれの名称をシャッフルしても成り立ってしまいそうなカオス状態!

さらに彼らは今年のサマーソニックにも出演したそうだ。
いきなりの大躍進に多くの人が驚いている事だろう。
しかしあの格好でライブは暑くないのかな。マンウィズとかもだけど。


そんなわけで最近いきなり注目を浴びている彼らが
挨拶代わりのミニアルバムを発売したというわけだ。

もう曲名が若い。

『わたしの命を抉ってみせて』
『天罰有れかしと願う』
『だから僕は不幸に縋っていました』

はい、若い。センスがマジで若者。あと若干椎名林檎
みんなこういうの好きなんだろ?ってポイントを良く抑えている。
ワードのチョイスがもうヴィレッジヴァンガード

収録曲もやっぱりどこを切ってもジューシーな若鶏から揚げだ。
エネルギッシュで高カロリー。スローな曲もあるけど、
基本的はパワーでグイグイ引っ張っていく強力な曲ばかりだった。


ただ、俺は言いたい。
ここまで結構好意的に書いてきたけど、言わせてくれ。

これはアルバムで出す意味があったのか、と。


話題が沸騰中にCDを出すというプランは判断としては正しいのだろう。
しかし、ネット動画を中心に曲を展開している彼らが
アルバム作品として楽曲をコンパイルする意味がどれだけあったのか。
自己紹介的な意味以上の価値が俺にはあまり感じられなかったのだ。


俺はこのブログで度々触れているが、
「アルバムとして出す以上、それは一つの作品として意識するべき」
だと思っている。じゃないとアルバムにする意味がないんだもん。
それぞれの曲をYoutubeで公開するかデジタル配信するかでいいじゃん?

ネット配信がここまで浸透した時代だからこそ、
俺はアルバムという形態が真価を問われているんだと思っている。
極論を言えば、アルバムなんて出さないアーティストがいたっていい。
むしろアイドルなんかはそれでもいいんじゃないかな。

だからライブやコンサートをメインに行うアーティストならば、
もういっその事「アルバムなんて作りません!」と宣言し、
新曲が出来るたびに都度ネットで最速配信するようにしていいと思う。
その方がリアルタイムで新曲が聴けるしファンも嬉しいよね。


だとすれば今の時代に敢えてアルバムとして出すという事は、
それなりの意味を持たせる事が重要になってくる。
今回はこんなコンセプトです、○○がテーマです、みたいにね。

そう考えたとき、
この神僕のアルバムは「アルバムとしての意味」が見えにくかった。
それぞれの曲のパワーはかなりポテンシャルが高い。
強烈だしいい曲だ。間違いなく若い人は飛びつくだろう。

でも、いやそんな彼らだからこそ
アルバムになると途端に持ち曲を一通り並べました感が浮き出てくる。
タイトルもバンド名まんまだし、本当に名刺的な意味で発売されたCDなんだろう。


だから俺はむしろ、コレって音楽産業のスタイルが
変わっていくべきタイミングなんじゃないかと思った。

アルバムという概念がなく、新曲はYoutube等で公開してファンを増やす。
神僕のようなアーティストはむしろそっちのスタイルがいいんじゃないか。
わざわざアルバムを制作するなんてしなくてもいいんじゃないか。

俺はこれまで結構長い間、
アルバムこそがアーティストの真価が問われる媒体だと思っていた。
しかしそうじゃないケースも十分に有り得る、
そんなぼんやりした感覚が今回ハッキリした気がする。
神僕は凄い。凄いけどアルバム向きじゃない


だからこれはとりあえず神僕の楽曲を聴きたーい!
神僕聴いて老化防止したーい!若い子とお喋りしたーい!
みたいなアンチエンジング効果を求める人には良いにしても、
アルバムとしての完成度を求める人にはお勧めしにくいアルバムだ。

だが、最近の若手バンドにはこういうバンドがいるという事を
認識する上では聴いておいて損はないアルバムとも言える。
どっちやねん。

結局いいのか悪いのか自分でも良く分からない感想になったけど、
まぁ結局はね、自分も実は老害かもしれない、
そういう意識をみんな持とうね、そういう事である。

ほら、だって若者にキレられたら怖いやん?
若者が怖いんだよ。お願いだからコンビニ前とかで集団で座らないで。
ねぇ君、神僕って知ってる?俺も知ってるよ?いいバンドだよね?
だからほら仲良くしようよ?ね?そんな目で睨まないで。


【採点】
・バンド名が若い  30点
・メンバー名が若い 20点
・曲名が若い    20点
・若者が怖い    -3点
67点