脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】UVERworld / TYCOON [2017]


聴いて確かめりゃいいだろう。

TYCOON(初回生産限定盤) TYCOON(初回生産限定盤)
UVERworld

曲名リスト
1. TYCOON
2. Q.E.D.
3. シリウス
4. SHOUT LOVE
5. IDEAL REALITY
6. LONE WOLF
7. DECIDED Album ver
8. PRAYING RUN
9. ALL ALONE Album ver
10. 一滴の影響 Album ver
11. ほんの少し
12. 僕の言葉ではない これは僕達の言葉 Album ver
13. WE ARE GO Album ver
14. Collide
15. 奏全域
16. I LOVE THE WORLD
17. エミュー
18. 終焉

1. Collide
2. Fight For Liberty
3. 一滴の影響
4. NO.1
5. PRAYING RUN
6. MONDO PIECE
7. CHANCE!04
8. I LOVE THE WORLD
9. IMPACT
10. 0 choir
11. 在るべき形

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


UVERworldってかなり独特な位置にいるバンドやと思うんよね。

それは彼らが経たキャリアのせいというか、
リスナーが彼らの事をうまく認識できていなかったというか、
もうアレだね、ソニーブランディングせいやね。
そういう偉い人のせいにしておけば大体の事は丸く収まるよ。

というのも、彼らの一般的なイメージって
ずっと宙に浮いていて固まっていない状態だったと思うのよ。


2000年代にデビューした頃は当時の流行りのバンド好きからは
「なんか良く分からないバンド」といった感じでスルーされてたし、
一部では女性に人気のヴィジュアル系なんて言う人もいたけど、
でも実際にはヴィジュアル系好きの方々からはそうでもないようだし、
アニソンバンド(これは今もそうだが)という印象は強かったけど
別にアニソンばかりじゃないしFLOWのような立ち位置にはいないし…。

やっぱコレ、ソニーの売り出し方のせいじゃね?
偉い人のせいにしたけどそれで正解だったかもしんない。


そんなわけでかつては色んな方面で曖昧な認識だった彼らだが
今ではもう若者に大人気のバンドの一角になってるわけよ。

昔は出ていなかった夏フェスにも最近は顔を出すようになったし、
昔では考えられなかったくらいに男性ファンも増えている。
確実にデビュー当時の頃のイメージから脱却を果たしているのだ。


彼らの印象が変わったのはやはりあのベスト盤以降じゃなかろうか。
『Neo SOUND BEST』はそれまでの彼らの活動記録として発売されたが、
あのベストで一旦彼らはそれまでに区切りをつけたような感じだ。

以降、彼らは徐々にギアチェンジしていき、
新たな若者のファンを急速に獲得していく事となる。
デビュー当時近辺しか知らない人にはイメージしにくいだろうが、
この辺りの経緯はまさに見事だと思う。

実際に彼らのライブではあのベスト以前の曲はまず披露されない。
セットリストの殆どはベスト以降に発売された曲ばかりからなのだ。
昔の定番ヒット曲に頼らないラインナップは男らしい。


そんなわけで今や若者に人気の定番バンドの一角となったUVERworld
この前作から3年振りのアルバム『TYCOON』は
みんなずっと待ってたんじゃないでしょうか。

だって3年も空いちゃったからね。
3年も経つと中高生はもう一巡してるんだよ?
俺みたいな良心的な大人と違って若い人は長く待てないんだから、
特に若者に人気のあるバンドはリリーススパンを考えようね。

しかしそんな待たせてゴメン的な意味合いもあったのか、
今回のアルバムは18曲で80分というCD収録時間ギリギリを攻めた、
パンッパンのボリュームだ。はちきれんばかり。もうCD反ってない?

しかしこのボリュームは重たいぜぇ…。若い人にはいいだろうけど、
俺みたいな良心的な大人にはちょっと高カロリーな代物だ。
そういえば最近太った気がするんだけど、
ひょっとしてコレ聴いてたせい?あと岡崎体育のせい?


さてさて、そんな皆の期待を一身に背負った
フルボリュームなアルバム『TYCOON』。
TYCOONとは「大物・大君」という意味らしい。日本語が由来かな?
そういえば昔ポケモンのバトルタワーにこんな肩書のボスがいた気がする。

しかし今回のアルバム、構成がなかなかに意外だった。

UVERのここ最近のアルバムは大概が最初にガツンとくる一発をかまして
テンションを上げてからなだれ込むという筋書きだったが、
今回はちょっと大人しい感じの立ち上がり。
うーん、これもTAKUYA∞の結婚の影響?かしこまりやがって!

そして序盤にアルバム曲を集中させている。
大体は多くの人が知っているシングル曲を序盤に持ってくるもんだが、
7曲目の映画銀魂の主題歌『DECIDED』までシングル曲が出て来ない。

かと思ったら中盤から一気に既発シングル曲のラッシュが開始。
カップリング曲も絡めて怒涛の展開だ。
個人的には序盤が大人しめだっただけにこの辺からが盛り上がるところ。

そして終盤は既発曲と新曲を織り交ぜたやや凝った展開。
ここも面白いところで特に『奏全域』は聴き応えがある。
UVERとしても実験的に色々やってみたいところなんだろうか。


といった上手い具合に序盤・中盤・終盤と場面転換していくので
確かに18曲80分は長いんだけれども、そんなに疲れはしなかった。

でもやっぱおじさんは中盤からでもいいかな。
序盤の『SHOUT LOVE』は今風の曲でいい曲だけど。
まぁ体感時間は人それぞれだし、全部聴いて確かめりゃいいだろう。

あとボリューム満点とは言え18曲中9曲が既発曲というのは
ファン的にはちょっと物足りないんじゃなかろうか。
まぁ特典のライブ音源CDが結構良かったので、
ファンはそちらが嬉しかったんじゃないかと推察する。


ただ、今回のアルバムはいつもに増して「語り」が多かった気がする。

UVER自身、そのちょっと恥ずかしくなるくらいの熱い言葉を売りにして
今日の人気を得ているわけで、語りが多いのは必然と言えば必然だが
にしてもちょっと言葉を詰め込みすぎじゃないかしら。
うーん、これもTAKUYA∞の結婚の影響?幸せになりやがって!

言いたい事がいっぱいあるのは良い事なんだろうけど、
以前のアルバムに入っていたようなちょっとふざけた遊び心のある曲が
今回は無かったのが残念だ。あれがアルバムのアクセントだったのにぃ~。


しかしこうやってUVERworldのポジションを改めて眺めてみると、
かつてのDragon Ashっぽい位置だなーと思えてきたのだ。

UVERは恋愛ソングもあるけれど、
実は結構自分自身を高めていこうという自己研鑽的な曲が多い。
そう、自己研鑽。俺が2番目に嫌いな言葉ね。1番は自己啓発

その力強いメッセージを音楽に乗せて伝え、
そして時には自分達の事を歌いながら若者からの共感を集める。
この感じって俺が中高生の頃のDragon Ashに似てるんだよ。

Dragon Ashも昔は色んな方面から煙たがられていたんだよね。
ハードコア系のラップ勢からもオルタナロック勢からも
「何なんだこの半端者は」みたいな目で見られていたけど、
それでも若者からは絶大な支持があったし俺も大好きだった。


勿論、UVERWorldDragon Ashは別物だ。
互いのファンからなんか色々言われるのヤだし、一旦ここで日和っとく。
でもいつの時代もそういう存在がいて、そしてそういうバンドこそが
実は若者に一番理解されやすいポジションだったりするんだよ。

なんかこのアルバムを聴いてそんな事を思いました。
しかしTAKUYA∞は老けないね。いつまでも若々しくしてそう。


ちなみにUVERworldは大体いつも
オリコン2位というポジションにいるバンドですが、
今回も例にもれずオリコン2位でした。

むしろもうこのポジションが美味しい気がするだけどどう?
まぁオリコンなんて気にしないってのが最近の若者かな。
これぞUVERWorldの『在るべき形』ってね。(前作の曲)


【採点】
・フルボリューム18曲   18点
・独自ポジションを貫く  40点
・自己研鑽…はぁ…    10点
・いつもオリコン2位    2点
70点