脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】CHAI / PINK [2017]


我々は試されている。

PINK※CDのみ PINK※CDのみ
CHAI

曲名リスト
1. ハイハイあかちゃん
2. N.E.O.
3. ボーイズ・セコ・メン
4. ほれちゃった
5. あのコはキティ
6. ぎゃらんぶー
7. フライド
8. かわいいひと
9. ウォーキング・スター
10. sayonara complex
11. フラットガール

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テレビ番組『バズリズム02』内の企画、
「2018年バズるアーティストランキング」にて
堂々の第一位となったのがこちらCHAIである。

もう話題騒然です。色々と。

ホントにね、彼女たちの登場に今のこの時代の空気を感じるんですよ。
昨年10月に1stフルアルバムをリリースしたばかりの新星だけど、
間違いなく我々は試されている。そんなアーティストだと思います。


知らない人はもう手っ取り早くYoutube観るのが一番。
重要なのは「聴く」んじゃなくて「観る」事ね。
聴き流しはダメ。しかと彼女達の姿を網膜に焼き付ける事が肝心。



ハイ、もうコレ観たら洗脳完了
あなたはもうCHAIの呪縛から一生逃れられません。
ちなみに俺の嫁には衝撃が強すぎたようで、観た後暫く寝込んでた。


「コンプレックスはアートなり」というキャッチフレーズを掲げ、
「NEOかわいい」を標榜する超前衛的ガールズバンド。
そう、彼女たちはNEOかわいいのである。ついに時代はここまで来た。

コレ、間違いなく俺らは”試されている”んですよ。

巷では「多様性」だの「ポリティカル・コレクトネス」だのが大流行中。
基本的には俺もそういう流れは歓迎ではあるんだけど、
インテリ連中がドヤ顔で「これが世界の常識ですぅ~」みたいな
デファクト・スタンダードを押し付けてくるのには心底嫌気がさすの。
確かに”今は”それが正しいかもしれないが絶対的に正しいとは言えない。
常識ってのはどこかで上書きされないと未来永劫変わらないので。

しかしあくまで現状ではそういった”この世の正義”ってヤツは
一旦受け入れないといけないわけです。中傷なんてもってのほか。
そんな”この世の正義”に反する行為を行った瞬間に、
我々は社会的に抹殺される。そんな世の中に変わりつつあるんです。


つまりCHAIはブス」とか言おうものなら、
200万円を請求されかねない世の中を俺らは生きているんですよ。

www.j-cast.com


今200万請求はマジでやめて。
coincheck被害者ではないけど割と本気で今キャッシュないから。
ビットとかイーサで払っていい?今話題のNEMもあるよ?
まぁどっちにしろきついんですけど…。

でも冗談抜きでネットの世界にも「正義」が押し寄せてきている。
勿論、言いたい放題で足を引っ張る事しか頭にないネット住人が
百害あって一利無しなのは間違いない。動きとしては妥当ではある。
よし、俺もこそっとヤバそうな過去記事リライトしとこう。


しかしこんな世間の流れの中でこんなバンドが出てきたからさぁ大変。
こいつはヤバいぜ。CHAIめっちゃ可愛いー!」とか言っとかないと
どこから攻撃されるか分からないんだぜ。恐るべきポリコレバンドだ。

でもこういうのって意外と女子は大丈夫だったりしそう。
女子って自分より外見が劣るものに対してこそ「○○って可愛いー!」
て言い方するもんな。相対的に自分の市場価値を上げようとするもんな。
女子はこんなポリコレ時代を生き抜く処世術を既に会得しているわけだ。



しかし悲しいかな、俺はなんの処世術も会得していない実直な男だ。
CHAIめっちゃ可愛いー!」なんて思ってもいない事は言えない。

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CHAI公式サイト(http://chai-band.com/biography)より


何度見てもガンバレルーヤがバンド組んだようにしか見えない。
頑張ってお世辞言おうにも「SHISHAMOみたいですね」しか言えない。
ああ、また口が滑った…。SHISHAMO好きです!朝子LOVE!

ちなみにボーカルの2人の女の子は双子でマナとカナというらしい。

ふたりうた3

ああ、俺ら世代の「双子のマナカナ」の概念すらも
CHAIによって上書きされていくのかもしれない…。


とまぁ時代的にめちゃネタにしにくいヴィジュアルのバンドなんだけど、
実は音楽的にはめちゃ面白いバンドだと思う。
バズリズムも良くもまぁこんなバンドを選んだよ。いい意味でね。

1曲目の『ハイハイあかちゃん』からぶっ飛んでる。

ハイハイ ヒップホップ ラップ タイム
many many many あかちゃん チェケラ
Just my way ダンシィング バスタイム
everything おしゃぶり where まんま?

どんなテンションで書いたらこんな歌詞が浮かぶのか逆に知りたい。
サイケデリックとか通り越してなんかもうトリップしてらっしゃる。

そして2曲目が先程の動画にもあった『N.E.O.』。
冒頭から

YOU ARE SO CUTE NICE FACE カモーン YEAH!
WE ARE SO CUTE NICE FACE カモーン YEAH!

のコールである。
「あたしたちは超カワイイ素敵な顔だからカモーン」らしい。ははは。

しかしこの曲は明確なメッセージソングでもある。
皆テレビや雑誌のモデルに憧れてそれを目指す事を善しとし、
結果的に金太郎飴のような同じような顔になる現状を皮肉っているのだ。

全部同じ顔なんて変じゃない?
キレイキレイしすぎ 個性はどこにある?
全部同じ顔なんて変じゃない?
そのままがずっと誰よりもかわいい

そう、CHAIは敢えてそのままの顔面を曝け出す事で
既存の美の価値観に真っ向から疑問をぶつけているのだ!
素晴らしい。これぞロックだ。これをロックと呼ばずになんと呼ぶ。
NEOかわいいガールズバンドの名は伊達じゃないのだ。


そしてそのキレッキレでサイケデリックな音楽性も注目に値する。
邦楽と言えばAメロ→Bメロ→サビのようなお決まりの展開の曲が
人気を集めやすい傾向にあるが、CHAIはそんな法則もガン無視。

正直言って音楽としては一般向けとは言えないバンドだ。
だがそんなバンドがその強烈なヴィジュアルも相まって、
2018年ブレイク候補の1位に選ばれたのはとても興味深い事実だ。

でもこれでホントにCHAIが流行ったりしたら歴史が変わる。
CHAIは色々と時代の先を行っているわけだ。
そして日々正義の訓示と世間の洗礼を受けている我々を「試している」。
そんな挑戦的なバンドが注目を浴びる事はとても重要な事のように思う。


そういえば昔、漫画『ラッキーマン』に
「美しいもの」の定義が逆転した世界が登場した事があった。
その世界ではこちらで美男・美女と呼ばれている類の人間は不細工に、
逆にこちらで不細工と呼ばれる人間は美男・美女として扱われる。

ふとそんな話を思い出したんだけど、
まぁつまり絶対的な価値の指標なんて存在しないので
今は正しいと言われる価値観も常に変化の波に晒されているという事だ。

CHAIはそんな変化の波を立たせる存在となるか?
ヴィジュアルもその音楽性も含めて、
今の日本の常識を覆す事が出来るのだろうか?

そんな事を期待してます。
2018年のCHAIに要注目チェケラ。

【採点】
バズリズム第一位     30点
・NEOカワイイ新星     30点
・ジャケットもNEOカワイイ 20点
・Yuukiは普通に可愛いと思う  1点
81点