脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】安室奈美恵 / Finally [2017]


さよなら、安室ちゃん
ありがとう、国民的歌手。

Finally Finally
安室奈美恵

曲名リスト
1. SWEET 19 BLUES
2. Body Feels EXIT
3. 愛してマスカット
4. How to be a Girl
5. You’re my sunshine
6. 太陽のSEASON
7. ミスターU.S.A.
8. NEVER END
9. CAN YOU CELEBRATE?
10. Don’t wanna cry
11. TRY ME ~私を信じて~
12. RESPECT the POWER OF LOVE
13. a walk in the park
14. Chase the Chance
15. PARADISE TRAIN
16. I HAVE NEVER SEEN

1. Baby Don’t Cry
2. SO CRAZY
3. Love Story
4. Get Myself Back
5. CAN’T SLEEP, CAN’T EAT, I’M SICK
6. I WILL
7. Sit! Stay! Wait! Down!
8. Break It
9. ROCK STEADY
10. NEW LOOK
11. WANT ME, WANT ME
12. Say the word
13. Tempest
14. Dr.
15. FUNKY TOWN
16. GIRL TALK
17. Fight Together
18. WHAT A FEELING

1. Hero
2. Contrail
3. How do you feel now?
4. Christmas Wish
5. Mint
6. Big Boys Cry
7. Finally
8. In Two
9. Red Carpet
10. Damage
11. Do It For Love
12. Hope
13. Fighter
14. Dear Diary
15. TSUKI
16. arigatou
17. Showtime
18. Just You and I

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まず最初に、俺は安室ちゃんのファンと呼べるような人間ではない。
今まで安室ちゃんのアルバムはまともに聴いた事は無かったし、
ごくごく普通の人の認識と同じ程度にしか安室ちゃんについて知らない。

そんな俺が安室ちゃんのドームツアーとか行って本当にすみません
嫁が申し込んだのが当選したので先日一緒に行ってきました。てへぺろ

きっと俺なんかよりもずっとファンなのに行けなかった人がいるだろう。
うん、世の中ってのは合理性だけでは説明できないものだね。
申し訳ないと思いつつ、でもだからこそ当選した人間は
存分に楽しむ事が落選した方々へのせめてもの礼儀なんだろうと思います。


というわけで安室ちゃんのラストアルバムであり、
オールタイムの3枚組ベストアルバムの『Finally』の話だ。
アルバムの話といいつつ、先日の福岡ヤフオクドームでの
安室ちゃんのコンサートの感想も交えつつ書きたい。

安室ちゃんの代表曲が年代順にコンパイルされたまさに究極のベスト。
俺は今まで彼女の曲をまともに聴いたことが無かったので
多分殆ど知らないだろうなーと思って聴いたらもう全然知ってた

いやぁビックリだったよ。初期の有名曲がいっぱい入ったDisc1は当然、
Disc2もかなり知ってる曲が多かったし、
DIsc3の最近の曲も聴いた事がある曲が結構あった。
それくらいに彼女の曲は日本に浸透していたんだなと改めて感じた。

Disc1はデビューから小室哲哉プロデュース時代の『NEVER END』まで。
そしてDisc2は小室から離れて自ら作詞した『Say the word』からだ。
振り返りながらアルバムを聴くと確かにDisc2から雰囲気が変わるね。

20世紀終わりごろから宇多田ヒカル倉木麻衣のような
クールなR&Bが流行り始めて従来の小室スタイルは停滞していたし、
このアルバムを順番に聴いて安室ちゃんの歴史を紐解いていくと、
彼女の音楽性も少なからずその辺りの余波を受けているように感じた。
そんな時代の変遷を感じる事ができるのもこのアルバムのポイントだ。


しかし、このアルバムで凄いと思ったところは
収録曲の大半が再レコーディングされているという点。

単なる過去曲を寄せ集めたベストじゃないんだぜ?
昔の曲も「今」の安室ちゃんが歌っているというところに意味がある。
労力をかけずに今までの曲を単に纏めただけでも売れただろう。
レコード会社にとってベスト盤ってのはそこが美味しい部分なんだ。
でもちゃんと安室ちゃんは最後にキチンと自分の曲に向き合ったんだよ。


ただすっごい個人的に言わせてもらえれば、
『ALL FOR YOU』がベストに収録されていなかったのが残念。


この曲人気無いのかなぁ…。

観月ありさ主演のドラマ『君が想い出になる前に』の主題歌で、
ドラマのタイトル的にスピッツが主題歌をするんじゃないかと思って
観たら安室ちゃんだったのでスピッツファンの俺落胆という思い出。
でもこの曲はこの曲で良い曲だったので普通に好きになった思い出。

あと『Wishing On The Same Star』も好きだったけど未収録。
その辺りはちょっと残念だったなー。

でもそれを差し引いても、究極的にベストな選曲内容だろう。
だって安室ちゃんに詳しくない俺でも殆ど分かるくらいに
彼女の代表曲が網羅してあるんだもん。
サビで「あ、この曲聴いた事ある!」という進研ゼミパターン多すぎ。


そしてコンサートのセットリストもほぼこの『Finally』の曲からだった。
超充実の最強ラインナップで、俺が聴きたかった曲は全部やってくれた。
そして40歳にしてあのダンスパフォーマンス。
そして目まぐるしくチェンジする衣装。控えめに言ってカリスマ。

俺は3塁側のスタンドだったけど『Baby Don't Cry』の時に
安室ちゃんがやってきてこちらに手を振ってくれた。


やべぇ。超嬉しい。
安室ちゃんちゃんこカワイイ。俺、明日も生きていける。


しかし俺もそこそこ色んなライブやコンサートを観てきた人間だが、
今回の安室ちゃんはいつもと同じような気持ちではいられなかった。
それはやっぱり「これで最後」というのが分かっていたからだろう。

今までもバンドのラストツアーに行った事は何回かあったけど、
でもそれも何年前だろうか。思えば最近、明確な「最後」を
感じる機会が無かったんだよな…。コンサートに行っても
「楽しかったー!また行きたいねー!」なんて会話をする事ばかりで。


勿論、アーティストの最後なんていつ訪れるかなんて分からない。
スキャンダルだったり、あるいは事故や病気だったり、
引き際を自分で決められないという事もあるだろう。
むしろ後で振り返った時に「あれが最後だったんだなぁ」と
思う事の方が多いんじゃないかとすら思っている。

最近はCDが売れないという背景もあって、
ライブやグッズ等のリアルタイム性の強い音楽ビジネスが主流だ。
だから長く活動を続けるアーティストが多くなっている反面、
昔のような「有終の美」を感じる事が少なくなっている気がする。

自分達の最高傑作が出来た、もうやりたい事はやりつくした、
だから活動を終了させる。そういった終わりの美学みたいな話、
ここ最近はあんまり聞いた事が無かったんだよね…。


だから今回のツアーは「最後だと分かっている」というその事実、
しかも国民的歌手のあの安室奈美恵のラストツアーですよ?
どうして普通のライブと同じようなモチベーションでいられようか。

安室ちゃんがステージで繰り広げる一曲一曲、一挙一動、
俺にとっては初めて生で観た安室ちゃんだったわけだが、
それと同時にこれが最後なんだと分かっているパフォーマンスだった。

俺達に向かって曲の合間に手を振ってくれる安室ちゃん
それはファンサービスであると同時にバイバイでもあったんだよ。
一分一秒がすぐに過去の出来事になり、終わりへと向かっていく。
そんな気分を味わいながら俺は安室ちゃんに手を振り返していた。



昨年の秋、安室ちゃんが引退するニュースは日本を駆け巡った。
速報ニュースにもなった。紅白では安室ちゃんの特別枠も設けられた。

この『Finally』の売上は年始に200万枚を超えたらしい。

headlines.yahoo.co.jp


CDが売れないとゴールデンボンバーも嘆くこんな世の中において、
ミリオンどころか200万枚を超えてくるなんて誰が想像できただろうか。

ちなみに『Finally』のAmazonレビュー数は本日2/26時点で745件
昨年末に宇多田のアルバムのレビュー数が500件超えててやべー
みたいな記事書いたけど、もっとやべーアルバムが現れた。 

drr.hateblo.jp

 

やっぱり安室ちゃんは国民的歌手だったんだよ!知ってたけど!
でも200万枚を超えるCDが果たして今後出てくるだろうか…?
俺はこの『Finally』が邦楽史上200万枚を売り上げた最後のCD
になるんじゃないかと思っている。それくらいの偉業なのだ。


でも安室ちゃんの過去の特集がメディアで組まれると、
やっぱり小室プロデュース時代の話が大半なのはどうかと思うね。

確かに安室ちゃんの一般的なイメージはその頃の曲なんだろうけど、
でも小室時代以降も彼女はコンスタントにヒットを出していたし、
特にアルバムについてはここ10年くらいずっと1位を獲得している。

俺はまともにアルバムは聴いた事はないんだけど、
それでも最近の安室ちゃんは洋楽的アプローチが多くなっている事や、
既存のJ-POPには無い文化を積極的に持ち込んでいた事も知っている。

流行り廃りが激しい音楽業界において、
安室ちゃんはずっと国民的歌手で有り「続けた」んだよ。
そこを忘れちゃいけないよね。


コンサートのアンコールでは
最初にワンピースの主題歌でもある『Hope』が披露された。


そこではなんと安室ちゃんのラストツアー用に制作された
ワンピースの特別アニメ映像が流されたのだ。
尾田先生が描いた安室ちゃんもルフィ達と一緒に画面の中で動く。

ルフィ達が「ナミエの船出をみんなで祝おうぜ!」と叫ぶ。
こんなん泣くに決まってんだろ!ずりぃよ…。
しかも麦藁の一味が安室ちゃん
”ナミエ”と下の名前で呼んでる辺りがなんともである。

しかし、かつて『Don't wanna cry』で

いつの日かI'll be There…

と歌っていた少女が、25年もの活動を経てこの最新曲『Hope』で

ねえ どんな未来覚悟したの
夢はもう手にしたの

と歌っているのだ。

俺にはこの歌詞はなんとなく安室ちゃん自身への問いかけにも聞こえた。


そして最後の最後に披露された曲は『How do you feel now?』。
決して煽るわけではなく「今、どんな気持ち?」と冠されたこの曲は
安室ちゃん超久しぶりの小室哲哉プロデュース曲である。

どうしてあんなに未来を気にせずに
笑った語った遊んだ荒ぶった

うう…耳が痛い歌詞だ…。


だがこの小室哲哉プロデュース曲がラストとは実に感慨深い。
安室ちゃんも引退を表明し、そして小室さんも引退を宣言。
俺は「ああ、本当に平成って終わるんだ」なんて事を感じた。


安室ちゃんは平成の初期から活動を始め、
小室哲哉という時代の寵児からプロデュースを受け、
音楽活動そしてプライベートでも激動の時代を経て、
そしてその活動を終了しようとしている今まさに
平成という時代は終わろうとしている。

そうやって振り返ると、小室さんも安室ちゃん
この平成という時代を駆け抜けたアーティストだったのだ。

つーか昭和期の記憶はないものの俺も一応昭和生まれだから、
なんかもう人生の中で元号が2回変わるという事実に震えている。
俺らが小さい頃に大正時代の人を見ていたような感じで、
これからの子供に俺らも見られる時代が到来するのか…。

話は逸れたけど、この安室ちゃんのラストツアーのラストソングにて
俺は時代が一つのピリオドを迎える事を実感せずにはいられなかった。
Zガンダムシロッコが自らを「歴史の立会人」と称していたが、
なんだかあの気持ちがとても良く分かった気がした。

あのラストソングの瞬間、まさしく俺は歴史の立会人になっていた。
安室ちゃんの最後の雄姿に時代の潮目を重ねずにはいられなかったんだ。


かつて伝説のバンドNUMBER GIRLは札幌のラストライブで
「歴史というのは大変素晴らしいもので、
 終わる歴史もあれば続いていく歴史もありますね」と語った。
まさにその通りで、終わる歴史も含めて歴史は素晴らしいのである。

安室ちゃんのコンサートはMCが無い事で有名だったんだけど、
今回ラストソングが終わった後に安室ちゃんは少しだけ喋ってくれた。

その中で安室ちゃん
「私も一音楽ファンとして、
 今後も皆さんがステキな音楽と出会える事を願っています。」
と語った。

もう俺は号泣です。カッコ良すぎ。安室ちゃんLOVE。


確かに安室ちゃんの新曲はもう今後聴けないんだろうけど、
でも音楽はこれからも続いていく。安室ちゃんは歴史になったんだ。
終わる歴史も続く歴史も、どれもが素晴らしくてそして尊い
そんなことを身を以て実感した。そんなコンサートだった。


コンサートが終わった後、
俺は嫁と一緒にしばらく座席に座ったままボーッとしていた。
ドームを出た後もいつもは「○○が良かったねー!」とか会話するけど、
今回はあんまりそんな会話も交わさなかった。

ただ「安室ちゃんはこれからどんな活動をするんだろうね」とか
そんな未来の話を想像しながら話した。
安室ちゃんのこれからの人生もまだまだ長いんだ。
歌手活動はしなくてもきっと何か別の事に励むんじゃないだろうか。

そういえば、先述の『Hope』の中のサビの最後でこんな歌詞があったな。

進みゆく航路なら 遠い昔もう決めていた




歌手としての安室奈美恵の歴史は終了する。

もちろんまだ安室ちゃんのツアーの日程は残っているし、
引退自体は今年の9月なんだけど、少なくとも俺の中での安室ちゃん
先日のヤフオクドームで活動終了となった。


安室ちゃんをまともに今まで聴いてこなかった俺が
彼女のファイナルツアーに行ってしまうだなんて、
ただただガチのファンの方には申し訳ないなと思っている。

だから本当に微力ながら、
この記事にて安室ちゃんの凄さを伝える事で償わせてくれ。

俺は確かに目撃した。そして全力で肯定する。
日本には安室奈美恵というすっげー歌手がいたという事実を。


【採点】
・25年間お疲れ様でした 25点
・200万枚の大偉業   20点
・まさかのワンピース演出 20点
・歴史の立会人になれた  20点
85点