脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】坂本真綾 / CLEAR [2018]


成長しちゃったアニメファンへ。


そういえば最近は「オタク」という呼び方をあまり聞かなくなったね。
代りに「サブカル」はクソみたいに聞くけど。
まぁかつてオタク的と形容されてきた様々な要素が
世間的に浸透し認知され一般化されてきたという事だろうか。

オタクが以前程に嫌悪の対象として見られなくなったのはいいけど、
なんだかちょっと寂しい気もする。でもあの羽生結弦宇野昌磨
東京喰種とかシュタゲの話をしてるらしいし、なんだか嬉しいよね。

そんなわけで旧来からオタク的な文化を
こよなく愛してこられた皆々様におかれましては、
昨今の「アニメ好き」「漫画好き」ってソフトな言い方への変化が
ちょっとむず痒くもあるんじゃないかと思われます。

でもそれは逆に言うともう既に今の若者世代には
アニメも漫画も当たり前の感覚になっている事の裏返しなわけです。
実際の今の若い子はアニメを観る事になんの抵抗もありません。

しかし!一方で旧来のアニメファン的な層には
最近の流行りのアニメの中に「ちょっと良く分からないもの」
生まれつつあるんじゃないかとも思うんですよね。

昨年の『けものフレンズ』や今年の『ポプテピピック』はまさにそれ。
俺の周りの人間にもこの辺の作品が楽しめなかった奴がまぁまぁいて、
一口にアニメが好きと言ってもその中での分断を強く感じているのです。

10年前くらいだと『さよなら絶望先生』とかもそんな空気だったね。
アレが流行った時も「もう人気のアニメにはついていけない」と
メインストリームから切り離されていく旧来のアニメファンがいた。

やっぱオタク的なものにも世代みたいな概念があるのは当然で、
それによって受け入れやすい作品とかも異なってくると思われる。
80年代の洋楽を通過した世代が今の邦楽を前のめりで聴くかと言うと
大多数が否だろう。そしてそういう人間は未だにあの頃の音楽を聴く。


となれば、過去のリバイバル作品が注目され始めるのも必然だ。
ガンダムの新作が宇宙世紀の続きだと言うならば、
そりゃ昔からのガンダムファンも食いつきますよねー。

natalie.mu


そう、ある程度年を食ったアニメ好きには
訳の分からない風雲児的アニメよりも内容がある程度分かる作品の方が
安心して観られるというものである。


ハイ、というわけで前置きだけで1000字
いつもいつも本題に入るまでが長いと評判の
サブカルクソ野郎のクソブログです。

今日の話はそんな旧来のアニメファン待望の、
カードキャプターさくらですよー!ほえええええ!

カードキャプターさくら クリアカード編(3) (KCデラックス なかよし)
カードキャプターさくら クリアカード編(3) (KCデラックス なかよし)

コミックも買ってるけど最近忙しくてなかなか追い付けないの…。

我が家のあの趣味全開のクソ年賀状を受け取った方は
既にご存知かと思いますが、今年の年頭からNHKBSプレミアム
かつてオタクを量産したあの伝説の作品『カードキャプターさくら』の
新作アニメ「クリアカード編」が放送中ですわよ!

といいつつ我が家はBS映らないんで観れていなかったんだけど、
4月からEテレでも後追い放送が開始されてはにゃ~ん!
前回のアニメもBSが先で後から教育テレビで放送されていたので、
今回もくると思ってましたよ!去年から再放送してたしね!

前回といいつつも、もう既に20年近く前の1999年のアニメ作品だ。
もうそんなに時間が経つのかと軽く寒気がしてきたぜ…。
1999年当時俺は中二病まっさかりの絶賛中二だったわけで、
何かとあの時代のカルチャー全般に俺は親和性が高い気がする。


しかしこの『カードキャプターさくら』という作品が
日本アニメ史においても非常に重要な作品である事は
改めてここで俺が言及する必要は無いだろう。

魔法少女というフォーマットにおいて、
当時のとしては異例だったLGBTのような恋愛模様をも描き、
でもそんな多様な愛情表現や現代にも通じる萌えやロリの要素までを
暴力的なまでの純粋性で包み込み提示したアニメとして意義はデカい。

例え当時のメイン視聴者にそんな意識は無かったとしても、
そこで様々な感情を無意識的に畳み込まれた世代は
きっと次の時代の作品の担い手になっていくわけだ。
それくらいに一時代を気付いたアニメだと言って過言ではない。

そしてさくらは旧来のオタクを再燃させるため(?)に
20年もの時を経て再びアニメに帰ってきたわけである。
おかえり!俺もこんなんだけど一応人の親になったよ!


そんなCCさくらの続編「クリアカード編」。
さくら達も中学生に進学しててこれぞ続編!って感じなんだけど、
前作から諸々を引き継いだ感じでスタートしているので
正直さくらを知らない人がいきなり今作から観ても楽しめない気がする。

というか正直俺自身もかなり内容を忘れていた。いよいよ老化か…。
だから去年から放送されていた前作の再放送を観とけよって話よね。
すんません。自分の記憶力の無さを侮ってました。俺そんなに賢くない。


で、主題歌なわけですね。

クリアカード編にちなんでタイトルは『CLEAR』、
歌うのは前期のアニメで今や名アニメソングとして語り継がれる
あの偉大な『プラチナ』を歌った坂本真綾である。

あープラチナええわ…。ガチで涙が出そう…。

そして今回の曲『CLEAR』も路線は上記のプラチナ路線である。

良くある魔法少女もののような元気良さではなく、
アニメソングみたいなアップテンポでリズミカルな曲でもない、
とても健康的なポップソングとなっている。

アニメソングってオーラは抑えられた、フツーにいい曲だ。
と思ったら作曲は現在放牧中のいきものがかり水野良樹
おお、ポップ職人の水野さんじゃないですか。いい仕事されますねぇ。


しかしだ、しかしである。
ちょっと物足りない。いや全然いい曲だと思うんだけど
『プラチナ』の菅野よう子が凄い仕事しすぎたせいで霞むんだよな…

『プラチナ』の音楽にはちょっとしたアンバランスさがあって
それが少女の”感情の揺らぎ”とリンクして絶妙な味を生み出していたの。
ちょっと一筋縄ではない少女の繊細さと力強さの表現が見事だった。

と、考えたときに今回の『CLEAR』は安定しすぎてるなーと。
さくらも中学生になったしちょっと大人になったって事かもしれんが、
『プラチナ』のような妙味が感じられないとこが物足りないの。
まー期待値が高すぎたのかもしれないけどね。

でも真綾さんが書いた歌詞は良い味を出している。

風って 鳥って 私より自由かな
翼がないなら走ってくわ 行きたいところまで

 
金子みすゞが書いた有名な歌詞、
「わたしと小鳥とすずと」に通じる世界観。

鳥になったら空を自由に飛びたいと願う人がいる一方で、
でも自分にだって出来る事があるんだよと捉える事だってできる。
『プラチナ』に比べると一歩進んで前向きに行動するような意思がある。

つまりさくらの以前からの成長を感じさせる曲になっているわけだ。
また『CLEAR』というタイトルが爽快さとピュアネスを感じさせる。
さくらの続編のOP曲に合ったとてもスッキリした歌となっていると思う。


ちなみに本放送では既に次の主題歌が始まっている模様だ。

こちらも同じような路線っぽい。
さくらのイメージってやっぱり『プラチナ』の印象が強いんだなぁー。


さて、おっさんアニメファンのニーズに見事に応えたさくらの続編、
全22話らしいのでまだ暫くは楽しめそうです。
最近のアニメを離れていたおっさんも久々に観てはいかが?

あと1999年の頃と違って現在は録画技術も発達しているので
最終回で武蔵丸の悲劇(※注1)が起こる事もないでしょう。
安心して録画してゆっくり鑑賞しましょうね。

しかしあのさくらちゃんが画面で動いている事の感動と
登場人物たちが交わすやりとりの一つ一つが、
ファンには溜まらない感覚を呼び起こしているアニメだと思う。

こうやって昔の作品のリバイバルや続編をやるってのは、
時代と共に分断されそうなアニメファンを繋ぎとめるのに
今後は特に重要な役割を担っていくんだと思われる。
それと共にまた次の世代が興味を持ってくれれば尚良しである。


そういえば来年2019年は、あの∀ガンダムからも20年なわけよ。
で、確か富野由悠季監督って1999年の20年後の2019年に
∀ガンダムの新作劇場版を作る」とか言ってたよね…?

というわけでガンダムの新作も気になるけど、
∀ガンダムの劇場版が本当に公開されるのかもヒジョーに気になります。
∀ガンダムも俺の中二時代を彩った好きな作品の一つです。
富野監督、有言実行でオナシャス!


※注1)武蔵丸の悲劇CCさくらの最終回の放送の時間帯が
延長された大相撲の中継によって数分後方にずれてしまったお陰で、
予約録画していた人が最後の最後のラスト数分が観れなかった事件。
アニメ史に残る重大事件の一つとして語り継がれている。


【採点】
・成長したさくらちゃん   30点
金子みすゞ的世界観    20点
・念のため録画予約は確認を 20点
閃光のハサウェイも期待   1点
71点

CLEAR CLEAR
坂本真綾

曲名リスト
1. CLEAR
2. プラチナ -acoustic live ver.- (BONUS TRACK)
3. レコード
4. レコード -Instrumental-
5. CLEAR -Instrumental-

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