脱R論

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【Album】Courtney Barnett / Tell Me How You Really Feel [2018]


女の子だってギターヒーローになれる。

Tell Me How You Really Feel [帯解説・歌詞対訳/ボーナストラック1曲収録/国内盤/先着特典ステッカー付] (TRCP230) Tell Me How You Really Feel [帯解説・歌詞対訳/ボーナストラック1曲収録/国内盤/先着特典ステッカー付] (TRCP230)
Courtney Barnett コートニー・バーネット

曲名リスト
1. Hopefulessness
2. City Looks Pretty
3. Charity
4. Need A Little Time
5. Nameless, Faceless
6. I’m Not Your Mother, I’m Not Your Bitch
7. Crippling Self Doubt And A General Lack Of Self Confidence
8. Help Your Self
9. Walkin’ On Eggshells
10. Sunday Roast
11. How To Boil An Egg (国内盤ボーナス・トラック/世界初CD化作品)
12. Swan St Swagger (国内盤ボーナス・トラック/世界初CD化作品)

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あの衝撃の1stアルバムからもう3年経ったんか…。
当時の中学生は高校生に、そして高校生は大学生になりました。
俺も体重だけは増えました。誰かなんとかしてくれ。

そんな時の流れというイヤぁな現実を感じさせると同時に
ずぅっと待ってた2ndアルバムがついに出ましたよ。
洋ロックファン待望のコートニーバーネット嬢の新作が。


コートニーという名前、レフトハンドギター、
そして始めて買ったCDは『Nevermind』。
出来過ぎなレベルでニルヴァーナのカート・コヴァーンを思わせる
オーストラリアの女の子、コートニーバーネットちゃんですよ。

あの1stアルバム収録の『Pedestrian At Best』を聴いた時の衝撃は
3年経った今でも鮮明に覚えてるぜ。



流行りに飛びついては次々に新しいカリスマを求める世間への皮肉と、
そんな世間に祭り上げられ消費されるピエロを自分に重ねるという
自虐を交えたこの曲の痛快さがたまらんかった。いっぱいちゅき。


だがこの曲の通り、彼女は本当に2015年だけの存在で終わるのか?

いやいやそんな事は無い。よっ待ってましたっ!
帰ってきたぞ帰ってきたぞ、コートニーバーネット!
僕らのギターヒロイン、否、ギターヒーローが!

そう、彼女はヒロインではなくヒーローなのである。
女の子だってヒーローになれるんだもんね(fromハグプリ)。
ヒーローの登場とあらば、我々大衆は歓喜するしかあるまい。


新作アルバムの名は『Tell Me How You Really Feel』。
7曲目の『Crippling Self Doubt ~(以下略)』内のフレーズで、
「本当の気持ちを伝えて」というストレートなタイトルだ。
J-POP的な解釈だとベタな恋愛ソングっぽい響きに聞こえるけど、
彼女の場合はそんな単純さでは片付けられない言葉となるのが凄い。

1曲目『Hopefulessness』のイントロを聴いた瞬間にもう空気が一変。
コレだよコレ!この音を待っていたんだ俺たちは。
気怠くて優しくて懐かしくて一瞬にして現実社会から分断される感じ。

なんだろう、彼女の声とギターを聴くと
一気に彼女のあの独特の世界に引きずり込まれるんだよね。
その時見ている景色まで変わってしまうような不思議な魅力がある。

1曲目でそんな気分に浸らせておいて、
2曲目の『City Looks Pretty』の軽快なギターイントロでもう虜。

ハイ好き。だいしゅき。いっぱいちゅき。
「​友達は他人のように接してくる。​他人は親友のように接してくる。​」
なんて、彼女らしくて最高なリリック。俺もどこかで使いたい。

今回のアルバムは前回のアルバムの『Pedestrian At Best』みたいな
ガツンと目立った曲はないものの、全体的にバランスが良くて
ずっと流して聴いていたくなる居心地の良さがあるアルバムだ。


そして収録時間がまたお手頃。
アルバム全体で37分(ボートラ無し)と短くて気軽に聴けちゃう。
むしろ昔のアルバムだとこれくらいの長さが普通だったんだけど、
いつからか(90年代後半くらい?)やたら曲を詰め込むようになった。

俺は良い曲の流れが出来ないのならば
無理してわざわざ曲数を増やさなくていいと思っているので、
これくらいのコンパクトさで全然OK。
というか最近の洋楽は40分切ってるアルバム意外と多いな~。
時短・効率化の波が音楽業界にも広まっているようですね。


あと『Nameless, Faceless』はMVもある今作の代表曲。
「名無し、顔無し」というタイトルの通り匿名性社会を意識した曲だ。


この曲ってなんと日本語字幕があるんですよね。
再生回数が2000回にも満たないのでちょっと悲しいけど…。

毎日世界の誰かと誰かがネットで醜いバトルを繰り広げている現状を、
彼女らしい巧みな言い回しで癖になるメロディに乗せて歌いあげる。
ベストセラー小説『侍女の物語』の一節をサビに使うのもクール。
いいぞぉ、これぞコートニー節だ。日本語の再生回数もっと伸びろ。


第1作目の前作から彼女のスタイルは既に賞賛を受けていた。
その目線と表現力から生み出される歌詞もそうだし、
90年代のオルタナを再構築したようなサウンドもまた
おっさん評論家とかに受けが良さそうな要素だ。

でもありきたりかというとそうじゃない。
あの倦怠感のあるボーカルで、そして彼女ならではの視線で
世間に中指を立てるでも絶望するでも悲観するでも無い、
なんというか呆れたように突き放して歌うその感覚が良いんだよ。

だからけだるいボーカルと時折アンバランスに鳴るギターサウンド、
彼女のあの音楽スタイルこそが彼女自身の姿勢そのものでもあるのだ。
面倒くさそうにしていてもそれも含めて見事な表現となっているのが、
コートニー・バーネットの魅力なんだと俺は思っている。


ただジャケットは前作みたいなのが良かったかなぁ。

彼女が描いたというこのイラストがまた
彼女の世界観を良く切り出していて好きだったのに。
今回のはなんか怖いよ…赤みがかってるし…。


しかし今回は彼女の顔が前面に出ているおかげで、
こちらはその「目」に見つめられている気がしてくる点は重要。
彼女のその目で『Tell Me How You Really Feel』などと問われれば、
なんとなく責められているきがしてゾクゾクするよねっ!うふふ。

そういったジャケットの意図なども考慮に入れると、
今作は前作に比べて直接的なメッセージ性が強まった作品とも言える。
皮肉と曖昧な表現でシニカルな表情を見せるコートニーなんだけど、
今作は彼女らしいファイティングポーズを見せてくれた一枚だった。


今年、オーストラリアで同性婚の合法化を祝福するCMにて
コートニーが歌う『Never Tear Us Apart』のカバーが使われたらしい。
新世代のギター・ヒーローの目は今度は一体何を見るのか。
また次も「本当の気持ちを伝えて」くれ。


あと『Need A Little Time』のMVは、
コートニーがテツandトモのトモに見えるのなんでだろう。


【採点】
・コートニー待望の2nd 40点
・女の子ギターヒーロー 20点
・再生回数伸びろ    20点
・次はテツandコートニーに期待
             -2点
78点