脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Arctic Monkeys / Tranquility Base Hotel & Casino [2018]


もう俺はダメかもしんない…。

Tranquility Base Hotel & Casin Tranquility Base Hotel & Casin
Arctic Monkeys

曲名リスト
1. Star Treatment
2. One Point Perspective
3. American Sports
4. Tranquility Base Hotel + Casino
5. Golden Trunks
6. Four Out Of Five
7. The World’s First Ever Monster Truck Front Flip
8. Science Fiction
9. She Looks Like Fun
10. Batphone
11. The Ultracheese

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俺はきっと理解力が無いんだろう。
別に元々ものわかりが良い方だとは思っていなかったけどさ、
でも「ああやっぱり…」って再認識させられる事ってあるじゃない。

正直に言わせて戴こう。
このアクモンのアルバムはどうしても良さが分からない
もう本当にこれに関してはどうやったって分からない自信がある。

誰にだって「どうしても無理」って事の一つや二つあるでしょ。
俺は絶叫マシンがどうしても無理。俺を絶叫マシンに乗せる奴は、
逆に俺が絶叫させてやるから覚悟しておけ。


イギリスを、いや世界を代表するバンドとなったアクモン。
あの衝撃の1stアルバム(タイトル長いので割愛)でのデビューから
いきなりもう大物バンドとしてのスターダムをのしあがり、
ロンドンオリンピックの開会式でも演奏を披露した。

アクモンの音楽が変化する件は実はお馴染みな話でもあって、
これまでもアクモンは音楽性を変化させながらアルバムを発表し、
しかし大きくファンを失う事もなく着実に実績を残してきたのだ。


前作『AM』もまぁ良かったんだ。なんか変わったなーと思いつつ、
でもなんだかんだで濃いアルバムでさすがアクモンだと思った。
実際に売れたし評価が高い理由も分かったんだ。


しかしだ、今作『Tranquility Base Hotel & Casino』。
これについては本気で分からんかった。
明らかに今までのアクモンと違うし、聴いてて全然ピンと来ない。

だが当然のようにイギリスではチャート1位、
しかも圧倒的な1位を獲得した。そして評論家筋からも好評。
アクモンの革新的な傑作だの新時代のロックだのマジ最高やべぇだの。

なんなんだこれは。宗教か。みんな大丈夫か。
アクモンだからってなんか洗脳されてないか。
あのアクモンがやってるんだから手放しで最高とか言ってないか。
…いや、実はおかしいのは俺なのか?俺なのか??


もう冒頭からビックリだよ。


いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや違う違う違う違う違う。
大人の階段上りすぎ。急に駆けのぼってんじゃん。もっと落ち着け。
いや落ち着いているのか。落ち着いてないのは俺か。いやいやいや。


変わる事自体はいいんだ。どんなアーティストだって変わっていく。
いやむしろ今の時代変わらないでいる事の方が難しいだろう。

ただこのアクモンの衝撃作を皆が平然と受け入れている。
その事実が俺は怖い。みんな柔軟性ありすぎ。体柔らかいんだろうな。
俺は体カッチカチだもん。前屈しても指先と床が20cmは離れてる。

そう、今までのアクモンとは明らかに違う。確かにボーカルは彼だ。
でもなんなんだこのおしとやかで研ぎ澄まされた音は。
オーラが高級なカフェだ。マックでコーヒーをすする俺と対極の位置。


今回のこの『Tranquility Base Hotel & Casino』、
例えるならあのビーチボーイズの世界的名盤『Pet Sounds』のようだ
みたいな反応を見かけた。うむ、なるほどね、よし、もう諦めた。
俺はその『Pet Sounds』の良さが分からなかった人間なんだ。無理やん。



今回のリードトラックであろう曲『Four Out Of Five』。
この曲についてはまーなんとなく分かる。洗練された現代のロックだ。
でも全体的に非常にキツかった。アルバム一枚が長く感じられる。


ただね、コレが好きな人のセンスまでをも俺は否定する気はない。
今作をアクモンのアルバムとして聴くとビビるんだけど、
でも普通の音楽作品としては良く練られた作品なんだと思う。

それにアクモンのフロントマン、アレックスの音楽趣味はとても広く、
アクモンもデビュー時はガレージロックの文脈で語られていたけど
本当はもっと多彩な音楽的欲求を心の内に秘めていたと思われる。

故にアクモンもアルバム毎に作風を変化させてきたし、
アレックスの別プロジェクトThe Last Shadow Puppetsでは
また違った音楽性を見せつけてきた。

今回のアルバムも60年代サイケへのリスペクトが感じられるし、
その辺りの音楽に焦点を当てて現代に再現するという
明確な意図があったんだろうと思われる。


しかしながら、それをアクモンというフォーマット内でやった。
そこに俺は驚きと戸惑いを隠せないんですよね。
また別プロジェクトでやってもいいじゃん…。

いや、でもそれすらアレックスの思惑なのかもしれない。
アクモンという世界的に知名度の高いバンドで
この音楽を発信する事で新たな波紋を呼び起こしたかったとか…。


とまぁ、そんなアレックス、アクモンの狙いがあったとしてですね、
それでも単純に、シンプルに、俺はこのアルバムが退屈だった、
その事実だけは変わらないわけですよ。

もう5回くらい聴いたけどホントよー分からんし、
じゃあ10回聴けと言われても10回聴く気力も起きない。
すまんが俺には高級な喫茶店とかそういう類の一切が似合わないもん。


しかしイギリスって感覚がおかしい国だよなぁって思う。
いや、いい意味でね。いい意味だからね今の。
いい意味で変な音楽を生み出してそれをメインステージに送り出す。

レディヘのOKコンピューターとかがバカ売れする国なんだよあそこ。
だから冷静に考えれば昔からそうだった。偏屈な音楽を有難がる人種。
イギリス人そういうとこある。いい意味でね。あとキッドAは最高。


しかしここにきて新しい音楽が定義され始めたのだとしたら、
正直俺は焦っているぞ。アクモンが次の時代の方向性を示したとして、
そして今作の良さが分からないと言うのなら、
今後の世界の音楽を楽しめなくなる危険性があるという事だ。

ヤバイ。これが老いなのか。
嫌だ!まだおっさんになりたくない!
でもこのアルバムだけは本当に良さが分からない!どうしよう!

俺はまだ若いハズなんだ。
ひょっこりはんの面白さだって分かるぜ。
TikTokも楽しそうだなって思うぜ。
ほら、俺はまだ老いてない!老害だなんて言われるハズがないんだ!
ああああああああああ!

そんな悲しい現実をつきつけられたような気がしたアルバムだった。


でも近くのブックオフに早速コレが売られてあるのを目撃して、
「だよねー」みたいな変な安心感を得たのも事実。

いつかこのアルバムの良さ、分かるといいな…。


【採点】
・アクモンの衝撃作   20点
・大人の階段ひとっ飛び 20点
・60年代リスペクト   20点
・これが老いか…    -2点
58点