脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】KICK THE CAN CREW / 住所 feat. 岡村靖幸 [2018]


お部屋探しはこの曲で。


椎名林檎と宮本浩次のコラボが話題なんだけれど、
個人的にはこちらのコラボも気になっててですね。
KICK THE CAN CREWと岡村靖幸のコラボ曲、その名も『住所』。

キックと岡村ちゃんはどちらもここ数年で見事に復活したアーティスト。
そんな両アーティストの熱くて渋いタッグ曲が今年発表された。
そしてこの曲、なんと朝の情報番組「スッキリ」の
9月のテーマに起用されていたらしい。

ちなみに俺の朝はいつもNHKの「おはよう日本」で
まちかど情報室コーナーの冒頭にて繰り広げられる
アナウンサーのやや無理矢理な導入トークを観るのがルーチン。

スッキリの時間帯にはもう出勤しているので観てはいないんだけど、
キックはともかく岡村靖幸が朝の情報番組のテーマに起用されるとは
時代は変わりましたな~。いや、むしろ岡村靖幸が早熟すぎたのか。


そしてKICK THE CAN CREW、俺の高校時代に人気となって
紅白にも出場したアーティストで世代が完全にどストライクな奴らだ。

2000年代前半はラップの人気がかなり高まっていた頃で、
キックの他にもリップスライムやケツメイシなど
(ヒップホップガチ勢からするとこの辺りはJ-POPになるんですが)
チャートの上位にラップの曲がどんどん顔を出していた。

勿論キックも間違いなく人気アーティストの一角だったんだけど、
ただ当時の感覚からするとキックの売上は結構控えめだったと思う。
リップとかケツメイシはミリオン級の曲やアルバムがあるんだけど
キックは結構オリコントップ10入るか入らないか辺りをさまよってた。

でも「メジャーじゃないヤツが好きな俺かっけー病」が
もう治りませんねと主治医からも診断されている俺は、
当然キックが好きだった。(そして当然ライムスターも好きだった。)

だからキックの新曲となると今でも気になっちゃう感じなのである。


しかしキックと岡村靖幸という組み合わせを最初観たとき、
正直全然想像がつかなかった。というか合うんだろうか。
メインメインメイン!みたいで食べにくい!ってならないだろうか。

あとCDのジャケットがお部屋探しすぎないだろうか。



意識高い系のミニマリストとかが飛びつきそうなオシャレ具合。
色遣いまで考え抜かれた洗練性のあるデザイン。
雑誌コーナーに並んでてても全く違和感のないクオリティである。


といった数々の懸念を吹っ飛してくれるのが彼らなんですねー。
いいじゃないですか、キックと岡村靖幸。聴けば分かる。
メインメインでも全然いけるしジャケットもこれが正解に思えてくる。

そもそもこの『住所』というタイトルがもう完璧だ。
住所なんて最大級に事務的な単語を惜しげもなく曲名に使う。
ちょっとアウトローだけどそこが気になっちゃうというこのバランスが
キックと岡村靖幸どちらのイメージにも近くて素晴らしい。


落ち着いたイントロから次第にせり上がってくるグルーヴ感。
このクールなノリ、キックらしいし岡村靖幸らしくもある。

両名とも復活後は「カッコイイ大人!」って印象があったんで、
今回のスタイリッシュなトラックは彼らにドンピシャにハマってる。
イケる。これならオシャレインテリア雑誌的ジャケットでもイケる。


岡村靖幸のパートへの突入の仕方も見事。
スウィートなボーカルにおって一気にラブソング感が滲み出てる。
キック単体では難しかったであろうこの曲の甘いムードが
岡村ちゃんのボーカルによって補完されているのだ。

しっかし岡村ちゃんのメガネスーツ姿で歌う姿は貫禄ありまくりやなー。
腕組んで歌う仕草とかハマり過ぎててマネしたい。
でも凡人がマネすると下手すりゃキモイおっさんに成り下がるのが難点。
あれは岡村ちゃんのブランディング力あってこその賜物なのだ。


つーか岡村靖幸ってもう53歳なのか…。
去年DAOKOと一緒にやったときのダンスとか凄かったけど、
こういうカッコイイ年の取り方したいぜ。



あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろうと思ってたら
あの娘の方がロングシュート決めてくる展開がウケるよね。


あとこの『住所』は、何気に歌詞もポイントなのだ。

そうさ住所一緒のとこにしよう


というメインのフレーズ。
「好きです」でもないし「結婚しよう」でもない。
一般的なラブソングの歌詞ではまず出てこないフレーズである。

「結婚」のあり方そのものを考え直す時期に来ている昨今。
事実婚だったり夫婦別姓だったり戸籍上の関係なんて気にせずに
ただ単純にパートナーと一緒に過ごしたい、
そういったシンプルな衝動で結ばれる関係がこれから増えていくハズ。

そんな時代の流れの中では「住所一緒のとこにしよう」という言葉は
強力なキメ台詞になる。新時代のウェディングソングとも言えるのだ。
同棲しよう」じゃないぞ。「住所一緒のとこにしよう」だからいいの。


そういった現代社会の変質をも取り入れた素敵な曲『住所』。
観てるだけで楽しいMVもパクりたくなってくる要素満載だ。
今度何かの制作依頼があったときにパクろう参考にしよう。

キックと岡村靖幸の強力タッグ、
さしずめキャラ立ち4本マイクって感じかな。
鮮やかな復活を遂げた彼らはこれからもきっと楽しませてくれそう。

そして他にもまた面白いコラボも観てみたいなー。


【採点】
・意外にバッチリなコラボ  50点
・お部屋探し風デザイン   20点
・こんな風に年を取りたい   5点
・MVのアイディアパクりたい  2点
77点