脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】[ALEXANDROS] / Sleepless in Brooklyn [2018]


海を渡ったワタリドリ。

Sleepless in Brooklyn Sleepless in Brooklyn
[ALEXANDROS]

曲名リスト
1. LAST MINUTE
2. アルペジオ
3. Mosquito Bite
4. I Don’t Believe In You
5. ハナウタ
6. PARTY IS OVER
7. MILK
8. spit!
9. KABUTO
10. FISH TACOS PARTY
11. Your Song
12. SNOW SOUND (Encore Tracks)
13. 明日、また (Encore Tracks)

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もうそろそろ今年も終わり。

最近色々と忙しくて年賀状も書けてない。
そういや平成の終わりと共に「年賀状じまい」する方もいるらしい。
確かに面倒だもんな年賀状。あと他人の写真とかそんな興味無いし。
お前ん家の犬の写真見せられても知らねーんだよ手を噛まれろ。


さて、というわけでやや遅くなってしまったんだけど
[ALEXANDROS] の最新アルバム『Sleepless in Brooklyn』の話である。

コレは良い。良いアルバムだよホント。
実は正直ドロスはもう離脱しようかとちょっと思ってたけど、
でも良かった。ようぺは裏切らない。ようぺ半端ないって。
ようぺイケメンの癖に才能もあるとか憎すぎだろ。手を噛まれろ。

今年の邦楽は大物のリリースも結構あったんだけど、
正直みんなあんまりパッとしないなーと思ってたら
ここに来てこんな良いアルバムが聴けてなんか凄い安心した。
(星野源のアルバムをまだ聴きこんでないのでそちらも気になるが)


さて『ワタリドリ』で一気に一般層にもリーチしたドロス。

しかしこの曲があまりに有名になったせいで、
彼らの世間的な認識は「ワタリドリバンド」になった。

そして何かの曲が有名になり過ぎると、
そのイメージがバンドに付きまとうのは世の常。
多分ドロスもそんな状態になっているんじゃないかと思う。

で『ワタリドリ』のイメージで他の曲をYoutubeで聴くと
別にそうでもない、思ってたんと違う、って人が多いんだろう。
だからアルバムまではあまり注目されてない感じはしていた。


でも確かに俺も『ワタリドリ』は好きなんだけど、
アルバム単位で聴いた時になんかこう掴みどころが無いとは思ってた。
本人達は洋楽が好きみたいだしアルバムに力を入れてそうだけど、
以前のアルバムには雑多な印象が残っててちょっと苦しい感じだった。


しかし今作『Sleepless in Brooklyn』はもうバッチリ決まってた
それも邦楽に依る、洋楽に依る、という偏りではなくて
中庸的でかつドロスらしい一本の線がアルバムを通ってる。

雑多なようで実はとても繊細な作品なのだ。
ガサツそうに見える女の子のちょっとナイーブな一面を見た感じ。
何言ってんだ俺。これが年末の空気か。


今作のリードトラックである『アルペジオ』。

ちょ待てよさん出演のゲーム主題歌にもなった渾身の一曲である。
あと実際にMVにちょ待てよさんが出てる。

これはもう個人的には今年のベストトラックとも言える曲だ。

曲名通り切ないギターのアルペジオからの入りが印象的なんだけど、
でもアルペジオの切ない感じがずっと続くわけではなく
サビに向けて徐々にボルテージが高まっていって一気に爆発する。
これはただのアルペジオじゃない…ドロスのアルペジオだ!!

さらに2番のサビ後にテンションそのままにいきなり突入する
Cメロの英語詩の部分がまだめちゃめちゃカッコイイの。
切ないアルペジオを聴いていたと思ったら、
いつの間にか力強いギターロックになだれ込む鮮やかさ。ちょ待てよ。

そしてラストもそのカッコイイCメロで締めくくり、
次のハード路線の曲『Mosquito Bite』へと繋がるわけだ。上手い。

こちらは映画『BLEACH』の主題歌となったロックチューンである。


ちなみに同映画の挿入歌だった『MILK』も収録されていて、
そちらもハード路線でカッコイイ曲だ。
英語の先生ばりのようぺの「ミルク!」の発音が聴けるぞ。
でも素人がカラオケでマネすると事故るタイプの奴だから注意。


コレ書いててふと思ったんだけど、
やっぱり1曲目の『LAST MINUTE』がいい仕事してるんだよね。
このアルバムのイントロダクションに位置づけられるメロウな曲で、
この曲を踏まえてからの『アルペジオ』への流れが重要なの。

アルバム『ALXD』の時って一発目から『ワタリドリ』だったけど、
でもあれは以降のアルバムの内容からするとやや強引だった。
俺はアルバムの進行とかが凄い気になっちゃうタイプなので、
この『Sleepless in Brooklyn』の導入部はとても好きだった。


そもそもこの『Sleepless in Brooklyn』というタイトル、
このアルバムが実際にアメリカのブルックリンで
メンバーが生活しながら制作された事に由来するらしい。
訳すと「ブルックリンで寝不足」。おい、ブラック労働じゃないか。

しかしブルックリンで海外の空気を吸い込みつつ制作された今作は
確かに洋楽要素がかなり入ってるなとは思った。


海外での活躍を視野に活動しているドロスなだけあって、
前作『EXIST!』辺りから次第に洋楽路線が濃くなってきていたものの
今作はよりクッキリとそれが感じ取れた。

なんせ『FISH TACOS PARTY』なんて曲があるからね。欧米か。
しかもその曲の前に『PARTY IS OVER』という曲があるからね。
ここに関しては曲順厨の俺は逆じゃねーかとツッコミたくなる。

だってシングル曲だった『KABUTO』とか
こんなん明らかにJ-POPリスナー放置曲でしょ。

これを人気バンドがシングルにするという決断も凄いけどね。

しかしそれでも全体的なバランスでは洋楽一辺倒にはならず、
彼ら自身の芯の通った曲作りが意識されているトコに安心感がある。
ブルックリンにいながらも、パーティーピーポーには染まらず
ドロスとしてのアイデンティティを失ってなかった。良かった。


しかし5曲目の『ハナウタ (feat. 最果タヒ)』については
ややアルバムの流れからは外れ気味かなと思った。
悪い曲では無いんだけどかなりJ-POPだし…と思ったら
プロデューサーコバタケェェェェ!出たぁぁぁぁ!J-POP職人!

いやコバタケめっちゃ凄いとは思うよ。
でもなんか引っかかった曲は大概コバタケ。ちょ待てよ。
この曲の途中のAメロの入りがどうしても「からあげ!」に聴こえる
のはきっとコバタケのアレンジのせい。


でも邦楽ロックの一つの形としてJ-POP路線があるのは構わないし、
アルバムの構成上違和感が無ければ全然アリだと思う。

今回のアルバムも最後の方にシングル曲である2曲
『SNOW SOUND』と『明日、また』を寄せて収録している。

この2曲は (Encore Tracks) と扱われているので、
おそらくアルバムの本筋とは違いますよって事だろう。
確かにこの2曲は雰囲気が少し違うので最後の方が良さそうだった。



でもアルバムのラストが『明日、また』ってのはそれはそれで良いね。


はい、というわけでかなり満足感が大きかったドロスさんのアルバム。
ブルックリンで寝不足になってまで作った一枚は伊達じゃない。
でもちゃんと寝た方がいいと思うよ。皆さん体調に気を付けてね。

ちなみにドロスのバンド名だけど、
今年から?大文字で[ALEXANDROS]が正式になったらしいので注意。
ころころバンド名変わる奴らだな。音楽ファイルの整理が面倒じゃ。

あと略称についても「アレキ」か「ドロス」か決めてくれ。
たまに人に通じない事があるので統一規格頼みます。


【採点】
・繊細だけど強力    30点
・ナイスな曲順     30点
・寝不足は伊達じゃない 20点
・俺はドロス派     1点
81点