脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】サザンオールスターズ / 希望の轍 [1990]


紅白の真のラストはコレ。


大分遅くなったけど今更ながら紅白の話題

まだ賞味期限は切れていないはず!…多分。
音楽チャートとかも明らかに紅白に反応した動きだし、
レンタルショップ行ったらまだ紅白コーナーやってるし。


さて、「紅白なんてもう観ない!ガキの使い観る!」とか
「いやいやテレビ自体が既に落ち目、時代はNetflixでしょ」とか
色々言われてそうだけど、でも俺はやっぱり大晦日には紅白観るね。

ここ数年で紅白も面白くなって盛り返してきているしさ。
今回は米津玄師のご尊顔だったりユーミンのサプライズだったり
北島三郎の祭りが復活だったりと結構話題豊富だったと思います。

でも平成最後の紅白の大トリという役目を務めた、
サザンオールスターズのパフォーマンスがやっぱり良かった!

最初にサザンが平成最後の紅白の締めって聞いたときは
正直あまりしっくり来ないなーとか思っていたんだけど、
でも実際に観ていると豪華なお祭り騒ぎって感じで楽しかった。


サザンが披露したのは『希望の轍』と『勝手にシンドバッド』の2曲。
『勝手にシンドバッド』はサザンのデビュー曲であり、
みんな知ってる有名な曲なので相応しい選曲だろうね。

drr.hateblo.jp

 

曲のクライマックスでは桑田とユーミンとサブちゃんの掛け合いという
超レアな場面もあってこの感じが紅白の醍醐味だと思ったんだけど、
でもコレ昭和の曲だしサザンもユーミンもサブちゃんも昭和だし、
結局平成って感じはあまり無い大団円って気分でもあったわけよ。


でもね、この『希望の轍』を披露してくれた事、これがホームラン。
俺はとても嬉しかったんですよ。もうこの曲がホント大好きで。
コバタケはこの曲に関してはもう大正義だなって思ってる。

この『希望の轍』、サザンの曲の中では定番の一曲なんだけど
シングルでもないし『勝手にシンドバッド』等と比べると知名度は低い。

でも紅白の舞台にこの曲を選んでくれたサザン。
素晴らしい。きっと「希望」ってのが紅白の趣旨に合ってたんだろう。

だから俺の中ではこっちの方が平成最後の紅白の真のラスト
そだね、『勝手にシンドバッド』はアンコール的立ち位置って事で。


まずこの『希望の轍』は俺に轍という漢字の読みを教えてくれた曲だ。
歌詞にも出てこないので当時どうやって調べたか覚えてないけど、
なんか読めるようになってた。歌詞カードにフリガナがあったのかな?

轍という感じ読める?「わだち」だよ。「WADACHI」。
少し後の世代はコブクロの曲で覚えた人も多いはず。
『血の轍』で覚えたって人はボブディランファンか押見修造ファン。

あと俺の結婚式の時の最後の退場曲にも選んだんだよな、コレ。
あのとき手拍子して下さった皆さん有難う御座います。


それにこの『希望の轍』、知名度は劣るとはいいつつも
それでもサザンファンの中では屈指の人気曲であり
テレビ等でも結構流れてたりするのでマイナーってわけでもない。

特に出だしのイントロ部分が凄い印象的で、
茅ヶ崎駅の電車の発車ベルがこの曲のイントロだそうである。
俺もこのイントロは大好きで、その後桑田がシャウトして
徐々に盛り上がっていく感じがサイッコーにたまらない。


ちなみにこのイントロはあの『シェリーに口づけ』の
「トゥートゥー トゥマシェリー マーシェーリー」から引用したとか。


確かに言われれば似てると分かるけど…
パクリっていうより意外性の方が強くてむしろ感心してしまう。

あと以前はキーボードの原さんが
ライブ等のパフォーマンスの1曲目でこの曲を弾くのは
めちゃ緊張するからやめて欲しいみたいな事を言ってたけど、
もうさすがに慣れたのかな。何回かこの曲が最初の事があったと思うし。


さて、そんな俺もみんなも大好きなこの曲なんだけど
元々はサザンオールスターズ名義の曲では無かった。

桑田が監督した映画『稲村ジェーン』の
サウンドトラックに入っていた曲であり、
正確には桑田佳祐と稲村オーケストラによる曲だった。

しかしこの『希望の轍』はサントラのみ収録ながらも人気曲となり、
後のサザンのベスト盤にも収録される事になってしまって
もうすっかりサザン名義の曲として定着している。


あとこの『稲村ジェーン』のサントラなんだけど
サントラとしては異例のミリオンヒットとなったアルバムである。
これも今となってはサザンのアルバム作品扱いなのかな?
ビートルズのマジカルミステリーツアーみたいなポジション?

で、この『稲村ジェーン』のサントラがまた凄い出来でしてね…。
俺の中ではサザンのアルバムの中でも1,2を争う名盤になっている。
この辺りはまたそのうち書きたいね。


そして何よりこの『希望の轍』、
1990年の曲なのでちょうど平成が始まった頃の曲なのだ。
つまりだ、俺はどちらかというとこの『希望の轍』こそが
平成最後の紅白の真のラストナンバーだったんだと言いたい!

『勝手にシンドバッド』は知っていたけど、
この曲は初めて聴いたという人も多かっただろう。
どうだった?めちゃいい曲だったでしょ?

イントロもそうだけど、切なくそして情熱的に高揚感が高まる展開、
そしてサビで一気に弾けるあの熱量。桑田のボーカルも気合十分だ。
90年代のJ-POP黄金期の到来を予感させるような秀逸な曲である。


俺は事あるごとにコバタケを槍玉にあげる発作が発症するんだけど、
この曲のアレンジをしたコバタケに関してはもう脱帽に次ぐ脱帽である。
さすが桑田をして「あの男は恐ろしい」と言わしめるほどの人物だ。

Bメロに入ったタイミングで陽炎のように揺らぐ音、
2番に入ったタイミングで始まるバックコーラス、
曲の最後でボリュームが上がりながらフッと終わる演出。

どれもが平成初期にはちょっとした実験要素だったのかもしれないが、
この曲の手応えはその後のコバタケやサザンの楽曲に
繋がっていったのではないかと推察されるくらいにハマっている。

あとサビに出てくる「エボシライン」ってのは造語らしい。
桑田お得意の語感優先で無理やり充てた歌詞なんかなー。
意味はなくともカラオケで歌うと気持ちいいラインだからOKっす。


かつて『THE 夢人島 Fes.』という
サザン主催の伝説のフェスが開催された事がある。
2006年のフェスで映像作品として残っていないのが残念なのだが、
そのフィナーレで演奏されたのもこの曲だった。

しかもその時にこの希望の轍を歌ったのが、
サザンオールスターズにBEGINの比嘉栄昇、GLAYのTERU
ポルノグラフィティの岡野昭仁、ミスチルの桜井和寿福山雅治という
とんでもないオールスターメンバーだったのである。

これだけのメンバーがリレーで歌ったという『希望の轍』。
フェス行った人超羨ましい。つーか映像作品出してくれ…。


そういったわけで色々な場面で確かに歴史を作ってきた
平成の名曲がこの『希望の轍』という事なのである。
これが平成最後の紅白のステージで披露された事に俺はとても感激した。
ナイスチョイスだ。


しかしかつてサザンは紅白でやらかしたバンドだった。

1982年の紅白で『チャコの海岸物語』を披露する際に
同じ紅白に出場していた大物歌手の三波春夫のマネをしながら登場、
衣装や歌い方までをもパロディした形でパフォーマンスを行い
バッシングを受けてNHKに詫び状まで書かされる事態となったらしい。

でも時は経ち、今度はサザンが大トリをやる程のポジションになった。
だから今度は逆に若手の誰かがサザンのパロディを披露してたら
それもまた面白かったかもね。今の時代なら誰も怒らないだろうし。


あとこれまでサザンは中継とかで紅白に出た事もあったけど、
今回はちゃんとステージで観る事が出来て良かったなー。
やっぱり他のアーティストと同じステージってのが
俺は紅白らしくていいと思うんですよね。

司会のウッチャンとかaikoとかもめっちゃサザン好きだし、
サザンと一緒の紅白のステージが凄い嬉しかったんじゃないかな。
とてもいい雰囲気で終わった紅白だったと思います。


ちなみにこの『希望の轍』、あんまバラード感無いんだけど
何故かバラードベストである『バラッド3』に収録されています。
人気だからって無理やりねじ込んだ感が拭えない…。

紅白で『希望の轍』が気になった方は上記バラッド3もいいけど
やっぱり『海のYeah!!』が色々網羅してていいですよー。
『勝手にシンドバッド』も入ってるし。

平成に生まれ平成を締めくくった『希望の轍』。
平成は今年で終わるけど、サザンには次の時代にもまた
素晴らしいアンセムを生み出して欲しいです。


【採点】
・紅白の大トリ曲   30点
・サザン屈指の人気曲 30点
・平成の名曲     30点
・バラードは怪しい曲 -1点
89点