脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】星野 源 / POP VIRUS [2018]


一億総星野源化計画。

POP VIRUS POP VIRUS
星野 源

曲名リスト
1. Pop Virus
2. 恋
3. Get a Feel
4. 肌
5. Pair Dancer
6. Present
7. Dead Leaf
8. KIDS
9. Continues
10. サピエンス
11. アイデア
12. Family Song
13. Nothing
14. Hello Song

Amazonで詳しく見る by G-Tools


やっと出た。やっと出しやがった。

日本全国1億2000万人の星野源ファンの皆様お待ちかね!
国民的歌手様、星野源様のアルバム様が昨年末に出ましたね。

嵐も活動休止しちゃうし、もうこの穴を埋める国民的歌手は
星野源様しかいらっしゃいません。ジャニーズを超えていけ。
ちなみに今日嵐のファンクラブ入りました。チケット獲りたい。


しかしもう俺は星野源の人気が爆上げ過ぎて、
世の中みんな星野源化してるんじゃないかと思うんですよ最近。

星野源のライブに来る女性が連れてくる彼氏は
みんな星野源みたいな顔してるという説があるそうだが、
あれは彼氏が彼女に星野源を聴かされているうちに
次第に星野源ウィルスに侵されて顔が変形していくからだと思うの。

星野源ってのはそういう性質があるのだ。
周りを星野源化していく。一億総星野源化問題である。
早く研究が進んでワクチンとか出て欲しい。


なんて思ってたらほらヤバいのが来ましたよ。
アルバム『POP VIRUS』。ポップウィルスですって!!
もうウイルス撒き散らす気マンマンですよあの男。
やばい。これは手遅れになる前にみんなに知らせなくちゃ。


という事で人類星野源化計画を阻止するために
俺も身を挺してこのアルバムを聴かなければならないわけです。


…いやぁこれがですね、ホント困った

今回のアルバム、感想を書くのがやたら難しかったんだわ。
咀嚼するのに随分と時間かかったし、つーか正直まだぼんやりしてる。
簡単で聴きやすいと見せかけて難しそうででも聴きやすい。

ちょっと今回は敢えて感想を書かないという選択肢も考えたけど、
でも星野源化計画を止めるにはなんとか俺の貧弱な発想を総動員して
ここにこのウィルスの内容を書き留めておくしかないのだ。


このアルバムね、全ての元凶はタイトルの『POP VIRUS』だ。
これ。"ポップ"って定義されてるんだけど…

このアルバムは本当にポップなのか?

もうここがね、俺の中で今年の自由研究の課題になりそうなんですよ。
星野源様がこれをポップとおっしゃるのならポップなんだろうけど、
でもそんなにすんなり受け入れていいのか?という疑問があって。

俺が最初に聴いた印象は「難しい」「マニアック」だったんだけど
でも「ポップ」なわけですよ。こいつぁ一筋縄ではいかねぇなぁと。


一曲目がタイトル曲の『POP VIRUS』なんですけど、
俺がポップという言葉を聴いて浮かんだイメージとは
全然違った曲がいきなり来たもんだからもうこんらんですよ。
わけもわからずじぶんをこうげきしそう。



ポップかぁー。そっかぁー。うーん確かになぁー。

もうこういうこんらんのタネになる曲を邦楽のど真ん中に
ぶち込んでくるからもう星野源ってヤツはやべーのよ。マジで。

こういう曲って普段洋楽とかも抵抗なく聴いてる人からすれば
辺り前に「ポップ」と呼べる曲なんだろうけど、
でも現実日本人の大多数はそうじゃないハズなんだってこの手の曲は。

だいいちこの曲、歌詞の内容もちょっと内向きじゃないですか。

霧の中で 朽ち果てても彷徨う
闇の中で 君を愛してる

ポップなアルバムの開幕を告げる曲の一節にこのダークさ。

自分のやってる”ポップス”というものに対する自問自答的な内容で、
ジャケットのデザインにも関わってくるこのアルバムの指針的曲だ。
アルバムってのは良くも悪くも冒頭で全体の印象が左右されがちなので
俺はこの曲が一発目な時点でもう相当こんらんしていたのだ。

しかし、この曲がウケるのか?2019年ってそういう感じ?


そして2曲目にはあの大ヒット曲『』だ。
これはもうすっかり平成を代表するヒット曲になったな。



超メジャー曲なので今更取り上げるのもなんだけどさ、
これだってよくよく考えたら凄い曲である。

中国の楽器を導入したオリエンタルな楽曲で大ヒットという点もだし、
歌詞もそれまでの「恋」の解釈を広げた新時代感が圧倒的だった。
「夫婦を超えてゆけ」というワードのあの強烈さと言ったら。


そして次は『Get a Feel』。
これは80~90年代の洋楽を感じさせるファンクな味付け。
次の『肌』は『Family Song』のカップリングだったか。
正統派のソウルミュージックって感じだ。

あと『Present』は個人的に好きな曲だったんだけど
これも構成がややJ-POPとはちょっと外れている感じだ。
やや地味な展開後に、終盤でパッと広がっていく。あの部分がステキ。

そう、星野源って主軸はJ-POP的メロディラインではあるんだけど
ところどころにハズした要素入れてくるし、
バックの音楽は最新の洋楽っぽかったりルーツミュージックだったりで
結構マニアックな事やってたりするわけよ。

星野源ってヤツはこういうテクニックが圧倒的に上手いのだ。
感触としては安定感がある楽曲なのでギリギリJ-POPに聞こえちゃう。
マニアックになりすぎないラインを攻めるのが上手すぎるのだ。


あと『Dead Leaf 』で山下達郎御大をコーラスに使うという贅沢さ。
なんなんだ星野源。こういうマネをさらっとやってのける。
星野源は何気なく凄い事をやっちゃうモードみたいなのに入ってる。

『サピエンス』とか最初聴いたときちょっとびっくりしたもん。



いやいやこの曲こそマニアックだろ!

俺も名前は知っている新進気鋭のクリエイターSnail’s Houseを起用し、
実験的なシンセ・ドラムンベースを使った変則的かつ現代的な一曲。
この曲もまたアルバム全体の多彩なビートを印象付ける重要な曲なのだ。

docomoのCMだからってみんな完全に毒されてる
ヤバい。星野源の恐ろしさにみな気づけ。知らない間に洗脳されてんぞ。
ヤツはちょっと考えればヘンテコな曲もさらりと聴かせてくるんだぞ。


そして『サピエンス』の次は『アイデア』。
個人的には昨年のベストトラック級の曲である。



これについてはもう何も言うまい。

drr.hateblo.jp

 
ただね、最近俺が車で星野源を聴いてたら
3歳の娘がこの『アイデア』をとても気に入ったらしくて
この曲をやたら要求してくるようになった事が少し心配なのだ。

どうしよう。将来娘が「彼氏です」と言って星野源みたいな男
俺に紹介してきたらどうしよう。そいつは実はヤバイ奴だと
説明出来るだろうか。いかん、星野源ウィルスから娘を守らねば。


あと『Family Song』もね、最初はそこまで好きじゃなかったけど
『アイデア』の流れで聴くととてもよく響いた。



ラストの『Hello Song 』では
柔らかに暖かくアルバム全体を包んで締めくくっている。

うーん、なるほど。ポップか。ポップねぇ…。

最後まで聴いても、そして何回も聴いても、
でもやっぱり俺は納得がいっていない。
星野源様がこれをポップと豪語している点についてだ。


ポップってのはね、つまりは「大衆性」なのだ。

『ダイの大冒険』でポップがあれほどまでに読者の共感を呼んだのは、
ポップが名前の通り「大衆性の象徴」として描かれたからなのだ。


勇者でもないし逃げる事もあるし、どこまでも人間らしいキャラ。
だから俺はダイの大冒険でポップが好きだった。メドローア最高。

つまりポップと宣言するからには大衆に寄り添う存在であって欲しい。
なのに今回のアルバムからはそんな大衆性の匂いをあまり感じず、
やたら星野源のパーソナルな部分が主張されている感覚だったの。


星野源自身も確か言ってたんだよね。
あの『恋』の大ヒット以降自分を取り巻く環境が変わってしまって
それまでの自分が自分でなくなっていく感じがしたみたいなこと。

つまりこのアルバムって
星野源の思っくそ一人よがりなポップさが根底にあるんだよね。
自分の内面から、自分のルーツから、
自分の好きなように勝手にやってる感じ。

だから俺にはこれが大衆を向いてるようには聞こえなかったのだ。

ところがだ、恐ろしい事に嫁にこのアルバムの感想を聞いたら
「いや、普通にポップだったよ」などとおっしゃるわけである。

いやいやいやいや、ちゃんとダイの大冒険読んだか?
ポップってのがどういうものかお分かりか?
いいか、最終的にはカイザーフェニックスを分解するんだぞ?
すげーヤツじゃん。ポップ最高。最高の一般人だ。


これよこれ。これが星野源の怖さ。
これだけの音楽を違和感なく日本人にポップと認識させる怖さ
この妙技がヤツの最大の特徴なのだ。

ポップという定義が塗り替えられている。

これって事件なのかもしれない。
日本におけるポップの概念を誰にも気づかれないうちに
大衆にインストールさせてしまう、そんなパワーのあるアルバムだ。


だがそれが今の俺ではどうもうまく感じ取れなかったところもあって、
これって今年の暮れとかにまた聴くと評価が変わる気がするのだ。
だから今の段階ではとても分かりづらいアルバムだったという事だ。

というわけで悩んだあげくそれなりの点数でもつけようかと思った。

俺が勝手に点数つけていくスタイルでやってるからなんだけどさ、
こんなに悩ませてくれたアルバムもそうそうないぞ。
だから星野源はヤバいんだよ。今後関わりたくない。
それでも関わらずにいられない作品を出してくるのがヤツなんだ。

ですので今年以降のJ-POPを占うような、
そんな未来的なアルバムな気がします。
日本国民ならば喜んでウィルスに感染してみましょう。


でもやっぱり『ドラえもん』は入らなかったね…
この感じなら浮いちゃうだろうし、そりゃそうかw
そのうちベストとかに入るんかなー。


【採点】
・国民待望のアルバム   30点
・ポップの再認識     20点
・星野源の危険さに気付け 20点
・ダイの大冒険も読め    3点
73点