脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Ariana Grande / thank u, next [2019]


thank u, Ariana.

Thank U, Next Thank U, Next
アリアナ・グランデ

曲名リスト
1.imagine
2.needy
3.NASA
4.bloodline
5.fake smile
6.bad idea
7.make up
8.ghostin
9.in my head
10.7 rings
11.thank u, next
12.break up with your girlfriend, i'm bored

Amazonで詳しく見る by G-Tools


俺の体内時計では年に3回くらいの頻度で
洋楽をチェックするタームが訪れるんですけど、
なにやらアリアナグランデの新作が良いらしいという話を聞いた。

前作からわずか5ヵ月でリリースされたアルバム『thank u, next』。
どうやら来月日本のデラックス盤も出るらしい。

このアルバムでアリアナは全米シングルチャートのトップ3を独占し
なんとかつてビートルズが成し遂げて以来55年ぶりに
同アーティストによるトップ3独占という偉業を成し遂げたらしい。


しかし俺はですねぇ、
今までアリアナさんをまともに聴いた事が無かったんですねぇ。
Youtubeとかで何曲か聴いた事はあったけど、
ちゃんとアルバムを通して聴いた事は無かったんよ。

何で聴いてなかったのかって言われても、
俺みたいな男は彼女の音楽のターゲットじゃないよね
的な空気をなんとな~く察知してたわけよ。


ほら、あるでしょ。
明らかに自分とは違う人種のためのプロダクトだなって思う事。

車のダッシュボードに乗せるモフモフとか、
西洋の鎧みたいな装飾がついてる財布とか、
あの辺はそもそも俺のような人間を眼中に入れてないわけよ。

空気が読めない事で有名な俺も一応これくらいの空気は感じ取れる。
だからアリアナさんもおそらく俺向けの音楽じゃないと思ってた。
まめに女子会に行くコとか急に海を見に行くと言い出すコとか、
そういう行動力があるコが聴く音楽だと思ってた。


とは言ってもこんだけ話題のアルバムならば
さすがにいち音楽ファンとしてはスルーするわけにもいかないと思い、
Spotifyにもあったしアルバムを聴いてみる事にしたんですわ。


冒頭の『imagine』から「あ~キュートな声だな~」という始まり。
俺の中のアリアナ感を裏切らないアリアナ感。
あと思っていたよりボーカルがくっきりしてて大人びていた。

ほう、これはちょっとイメージしてた彼女の音楽とは少し違った。
あとアリアナグランデって結構キャリア長いのかって思ってたけど
まだ25歳なんやなー。かなり早い時期から音楽活動してたんだね。


それに大人っぽいと言いつつもトラックはしっかりポップしてるし、
洋楽トレンドの王道を往く楽曲群。そして何よりも凄い聴きやすい。
日本人ってどうしても洋楽を聴くハードルがあがりがちだけど、
このアルバムに関しては全くそんな事が無く洋楽の良さを楽しめる。

あと全体的に曲の長さがちょうどよくて、
すごい歯切れが良いなとも思った。4分を超える曲は2曲のみ。
トータルの長さも41分でスーッと聴けちゃうのは、強い。


特に重要なのはこのタイトル曲『thank u, next』だろうね。



再生回数は3億回を突破し4億回にタッチする勢いだ。
アリアナさんのキャリアの中でも重要な曲になるであろう一曲。

あと動画の35秒くらいに出てくる女性のシャツに
日本語で「女の赤ちゃん」と書いてあるのがめちゃんこ気になる。


この曲は歌詞も面白い。

Thank you, next (Next)
(ありがとう、次)

Thank you, next (Next)
(ありがとう、次)

Thank you, next
(ありがとう、次)


サビでリフレインされる「ありがとう、次」というワード。
「なんだかんだで感謝はしてるわ、でも私はもう次に行くの。」
といった清々しいまでのサバサバ女性の生き様を感じさせる曲。

「次」が指しているものが恋人にしても仕事にしても環境にしても、
この言葉が次々と繰り返される事により過去にはあまりこだわらずに
(でも感謝は示しつつ)新しいステップを踏みまくる姿が浮かぶ。

このカッコ良さが爽快でありそしてカリスマ的でもあるのだ。


あとやっぱり他の注目曲は既に再生回数4億越えの『7 rings』。



近年の洋楽の流行りであるトラップやダウナーな音楽性を意識して
アリアナ流に仕上げられた意欲作でもあるんだけど…

…この曲に関してはSNSで色々とあったので、
悲しいイメージが付きまとってしまったのが残念でもあるのだ。


アリアナさんがこの新曲『7 rings』にちなんで「七輪」という
タトゥーを入れた写真をSNSに投稿したところ多くの日本人から
「それは日本では焼肉のための道具」などのツッコミが入った。

まぁそれだけの話ならカワイイ間違いで終わった話なんだけど、
一部から「日本の文化を理解していない」「文化盗用」みたいな
痛烈な批判があって論争が勃発。

さらにそれでこの『7 rings』の曲自体もパクリじゃないのかと
(実際昔の曲をサンプリングしているらしいが)攻撃され、
アリアナさんも深く傷つく事態にまで発展してしまったのだ。

いやー七輪で炎上とかいろんな意味でありえないっしょー。


アリアナさんは日本好きでも知られており、
日本に住んでみたいと考え日本語の勉強もしていたそうだ。
(この『7 rings』のMVにも品川ナンバーの車が出てる)

だがこの騒動によって「日本語の勉強をやめる」と発言。
日本語のグッズも公式サイトから削除してしまったらしい。

この件はミスに寛容になれない人が招いた結果とも言えるが、
そもそも「文化の盗用」などと攻撃した人は日本人ではなく
アメリカ国内の人だったり噂では原爆Tシャツを着ていた事で
非難された防弾少年団のファンの日本への逆襲なんて話もある。

真相は俺も良く分からんのだけど、
少なくとも「日本のファンは分かってくれている」と
アリアナさん自身は認識しているようなのでそこは安心したいと思う。


といった感じでちょっと残念な事になってしまった曲だけど、
皮肉な事にこの件で日本でのアリアナさんの認知度も上がったのも事実。
折角なんでみんな一緒にこのアルバム聴こうぜ。


そしてこのアルバムのラストを飾る『break up with your girlfriend』。
こちらは再生回数2億超えだ。



しかし前述の『7 rings』『thank u, next』とこの曲で
アルバムのラストスパートとなっているわけで、
アルバム冒頭ではなくラスト3曲がYoutube公開曲ってのも珍しい。


世界的にも話題になっているアルバム『thank u, next』だけど、
日本でもちょっと変な形で話題となってしまったアルバムだ。
でもやっぱり日本人として彼女を応援したいところである。

あとアリアナさんが日本好きってのは、彼女自身の身長が小さくて
同じように小柄でカワイイ日本女性向けのファッションに
興味を持った事がきっかけらしい。

日本の女性が背伸びして欧米のファッションをお手本にしている中、
アメリカで身長にコンプレックスを持ったアリアナグランデが
日本のファッションを愛好するという構図は考えてみれば面白いね。


しかし最近は本当に海外女性アーティストの台頭が凄い!
去年のSNAIL NAILとかMitsukiもそうだったし、
今年はビリーアイリッシュという新時代の若手が大注目されている。

そんな中でも王道の洋楽っぽさを貫きながら
第一線で頑張るアリアナグランデ。

最初は俺が聴くタイプの音楽ではないとか思ってたけど、
色々あった事もあって少しずつアリアナさんに愛着が湧いてきたぞ。
むしろ今までちゃんと聴いて無くてごめんよ。




先日発表されたヴィクトリア・モネとのコラボ曲『MONOPOLY』では
アリアナがバイセクシャルをカミングアウトしたと騒動になっている。

そしてそれに対してアリアナさんは
私はこれまでもレッテルを張ってこなかったし、
 今でもその必要性はないと思う。それでOKなの。
と彼女らしいナチュラルな反応。うーん、さすがだなぁ。


彼女の事は今まで良く知らなかったけど、
今作をきっかけに俺も彼女にもっと注目していきたいと思いました。
そして今後も変わらず日本を好きでいて欲しいし、
好きでいて貰えるような日本でありたいですね。

とりあえず今度、七輪で焼き肉出来るお店に行こうかな。


【採点】
・大ヒット中アルバム  40点
・意外とまだ25歳    25点
・何かと物議を醸しがち  5点
・変な日本語Tシャツ  -1点
69点