脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】B’z / NEW LOVE [2019]


胸いっぱいの恋をしようよ。

NEW LOVE NEW LOVE
B’z

曲名リスト
1. マイニューラブ
2. 兵、走る
3. WOLF
4. デウス
5. マジェスティック
6. MR.ARMOUR
7. Da La Da Da
8. 恋鴉
9. Rain & Dream
10. 俺よカルマを生きろ
11. ゴールデンルーキー
12. SICK
13. トワニワカク

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「スキル」と「テクニック」。

日本ではどちらも”技術”と訳されるので混同しがちな二つの言葉だが、
ちゃんと違いを認識して使い分ける事が大事だという話を
元ラグビーのヘッドコーチ、エディー・ジョンズ氏が話されていて
なるほどなぁと思った事があった。


そう、我々人間は言葉によって支配されてしまう生き物であり
また言語圏の違いがそこに居住する人間の意識の違いだったりする。

例えば日本では「姉」「妹」と兄弟姉妹も年齢の上下によって
言葉を使い分けているが、英語ではどちらも「sister」となっている。
この事から日本が年齢の上下を気にする文化である事が伺えるのだ。


」と「」。

なんだかくっさいポエムみたいな話になる気がしてきたが、
この日本語では違うニュアンスを持つ二つの言葉は
英語ではどちらも「LOVE」と扱われていると思う。

まぁどちらかというと「愛」=LOVEが一般的なので、
日本語でいうところの「恋」に該当する英語は思い浮かばないわけよ。
つまり日本人は「恋」と「愛」の微妙な差を使い分ける人種と言える。

俺の感覚的には「恋」の発展形が「愛」と思うんだけど、
恋愛工学とかに詳しい人的にはどうなんでしょうか。
恋は落ちるもの、愛は育むもの」ってか?うあああああ
やめてくれ、そういうの耐性が無いからやめてくれ~。


さて、今年のサマソニへの出演でも話題となっている
B'zのニューアルバム『NEW LOVE』がリリースされました!


今回のB'zのニューアルバムはふんわりとは程遠いハード路線
バラード曲がほぼ皆無のゴリっとしたアルバムで
B'zならではの「NEW LOVE」を歌っているのである。


第一打席はアルバムのタイトル曲っぽい『マイニューラブ』。
これが最近の俺のすっごいツボな曲なんですよ。
アルバムのオープニングというポジションに超マッチしてる。
最近聴いたアルバムのオープニング曲の中でも随一のハマり方。


特にサビ。
稲葉の掛け声からシンバルのリズムが入り、待ってましたのB'z節。
フレーズを歌った後のちょっとした余韻もナイス。

そしてこのサビの歌詞がまた
この『NEW LOVE』のテーマのような気がする。

新しい恋のようなもの
見つけに行こうよ
愛しすぎちゃったらそれは
もう愛じゃなくなる

学んで目線変えて
マイ・ニュー・ラブ


一見「新しい恋をしようよ」 というガールズっぽい内容だが、
(※稲葉の歌詞が女々しいのは平常運転)この部分こそが重要。

「愛しすぎちゃったから新しい恋を探す」となると、
えっ!不倫!?と考えてしまいそうだがここでいう「恋」というのは
おそらく対人だけの話ではない。何か新しい好きなモノ、コトを
見つけてみようというもっと広い範囲への「恋」を意味すると考える。

それは趣味でもいいし、もしかしたら今現在愛している人の中の
新しい別の魅力に気付いて欲しいという事かもしれない。
つまりは「学んで目線変えて マイ・ニュー・ラブ」という
サビの〆の言葉に集約される。新しい何かへの恋を奨励しているのだ。


ここで「恋」という日本ならではの表現が活きていると考える。

「愛」という重い雰囲気ではなく、ちょっとした興味のような
「恋」から始めるというわけだ。しかも稲葉さん的には
恋のようなもの」とさらにぼんやりとした言い回しになっている。

まずはそんなうっすらしたきっかけでもいいから、
新しい「LOVE」を探してみようというニュー・ラブソング。
とてもいい曲だと思う。俺も稲葉さん流の恋愛工学を教わりたい。


とまぁ、最初の1曲だけでもこんなにもステキなんだけど
続いては今作のリードトラックとも言える『兵、走る』だ。



何やら戦の始まりを告げるような掛け声の
ヘイヘイヘイホーヘイヘイホー」が印象的な曲だが、
曲名の「兵」は「へい」じゃなくて「つわもの」と読むらしい。
なんだか紛らわしい…

リポビタンDのラグビー日本代表応援ソングとしてMVが先行公開された。
水泳ソングの定番となったウルトラソウッに続き、
さてはラグビーまでもB'z色に染めようとしているな。
”TRY”というフレーズが入ってていかにもラグビーな漢の一曲だ。


続いてファンキーな『WOLF』。



『兵、走る』と同じセットで収録されたと思しき経費節約MVである。
さすがB'z。生産性と効率化を重視する昨今の空気を取り入れたスタイル。

韻を踏みながら軽快に進行するサビの最後では
なかなかレアな稲葉さんの「ワォーン」の遠吠えが聴けるぞ。
ホーンの音が絡まるダンサブルな曲でライブで盛り上がりそう。


そういえばこのアルバムを冠したB'zのツアー名は
Whole Lotta NEW LOVE」だそうで、
これはあのレッドツェッペリンの『Whole Lotta Love』の
オマージュという事になるだろう。

確かに今回のハード寄りのアルバムの感触は
ジミヘンとかツェッペリンっぽいなーと思ってたし、
B'zもその辺りの音を意識していたというわけか。

『Da La Da Da』なんてかなりツェッペリンっぽい音をしているし、
あとアルバム全体的にグルーヴ感を重要視してるのかな?
ロック感は高いけど、疾走感というよりはグルーヴ感が強い。
その反面キャッチーさはやや抑え気味で好みが分かれそうな作風である。


そんな中で貴重なバラードナンバーが『マジェスティック』。



またもや同じスタジオで収録されたと思われるMV。超効率的。

ちなみにポッキーのCM曲らしい。B'zがポッキーだと!?マジか。
スポーツ界だけじゃなくお菓子界まで掌握しようというのかB'z。
あとポッキーだけに「マジェスティック」。女子力たけぇぜ稲葉さん。


そして6分を超えるブルージーな『Rain & Dream』では
ギターになんとエアロスミスのジョー・ペリーが参加している。
俺は別にギターが聴き分けられるような耳はしていないけど、
それでもいつもの松本とは違う調子のギター音がするなとは思っていた。

ギターロック好きにはこの上ないコラボレーションだろう。
今の時代にはもう古臭い音なのかもしれないけど、
この曲のギターに酔いしれていたら6分なんてあっという間だ。
良い曲ってのは時間を感じさせないものなのよ。


ラストの『トワニワカク』はツアー中に体が不調となった稲葉自身が
「若くいたい」という気持ちを歌詞にしたアンチエンジングソング。
なんだかんだで稲葉はもう50歳を過ぎたし松本は還暦に近いしな…。
まだまだ二人とも全然若そうな感じはするけど。

あと一瞬『トニカクカワイイ』に見えたのは俺だけでいい。


しかしアルバムの前半はタイアップ曲も多くて良かったんだけど、
後半がダレ気味だったかな…。というか似た様な調子の曲が多くて
起伏が弱い分、徐々に印象が薄くなっていったって感じか。

あと昨年のツアータイトル曲『HINOTORI』は未収録だったね。
あの『LOVE PHANTOM』の続編という位置づけの曲なんだけど、
確かに今回のアルバムの雰囲気とはタイプが違う曲だし仕方ないか。
『RED』と同様に暫くアルバムへの収録はお預けになりそう。


そう言えばこの『NEW LOVE』はシングルが無かったのも特徴だ。
タイアップ曲は多かったもののシングル曲は一切無かった。
これは意外に注目すべき点かもしれない。

初期のB'zにはシングルとアルバムは別物としていた時期があって、
いきなりアルバムを出す事はかつては普通だった事を考えると
30周年を終えて初期と同じように新たな気持ちでいるという事かも。


いつまでも若くいたい女子達の願いも詰まった『NEW LOVE』。
なんだか壮大なスケールのジャケットもB'zらしくてカッコイイ。
Brotherhoodの宇宙版?とか思った。

コレ聴いて新しい恋のようなもの、見つけにいこうぜ。


【採点】
・B'z流恋愛工学    30点
・シングルなしで勝負  20点
・経費節約スタイル   20点
・女子力高めの稲葉さん 10点
70点