脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】サカナクション / 834.194 [2019]


音楽オタクをぶっ壊す。

834.194 834.194
サカナクション

曲名リスト
DISC-1
1. 忘れられないの
2. マッチとピーナッツ
3. 陽炎
4. 多分、風。
5. 新宝島
6. モス
7. 「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」
8. ユリイカ (Shotaro Aoyama Remix)
9. セプテンバー -東京 version-

DISC-2
1. グッドバイ
2. 蓮の花
3. ユリイカ
4. ナイロンの糸
5. 茶柱
6. ワンダーランド
7. さよならはエモーション
8. 834.194
9. セプテンバー -札幌 version-

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日本全国の非音楽オタクの皆様こんちには。
面倒な音楽オタクから国民を守る党」代表のこへいです。


普段の生活の中で、皆さんは健全に音楽を楽しめていますか?

どんな音楽聴いてるの~?」という質問に日々怯えていませんか?
聴いてる音楽でマウント取られそうな危機感を感じたら、
是非このブログを読んで下さい。あなたの防御力を高めて差し上げます。


さて、そんな国民の皆様に本日訴えたいのはコチラです。
サカナクションが今年リリースしたアルバム、
834.194』で御座います。

この834.194というタイトルですが、
こちらはサカナクションの出身地であります札幌と
東京の間の距離だそうです。”優しい臼歯”と覚えましょうね。


まずはサカナクションについて簡単に説明させて戴きます。

サカナクションというのは2005年に結成された
日本のロックバンドでして、2013年に発売されたアルバムの
『sakanaction』では堂々のチャート1位を獲得、
同年の紅白歌合戦にも出場し国内における知名度も抜群で、
さらには音楽クラスタからの評判も高いという存在であります。

つまりは一般の皆様からも音楽好きからも広く支持を集める
稀有なアーティストとも言えるわけです。
また似た様な存在にスピッツというバンドも存在します。

drr.hateblo.jp

 

つまり私の主張としてはですね、
このサカナクションの動向を追っておけば
面倒な音楽オタクと言われる方々からもですね、
ある程度の自己防衛が出来るのではないかと思うわけですね。


しかしながらこのサカナクションというバンド、
前回のアルバムからなんと6年もの歳月が経過していたんですね。

6年ですよ6年。参議院議員の任期と一緒ですよ。
当時の小学1年生はもう中学1年生になっているんですよ。
この間にベスト盤『魚図鑑』が出ていたとは言えですね、
ここまで間が空くとさすがに問題ではないかと私は考えたわけです。


そんな6年もの期間が空いてしまったが故に
サカナクションの山口さん自身もですね、
さすがに忘れられたんじゃないかと心配になったんですかね、
アルバム発売に合わせてゲリラサイン会とかやったみたいなんですよ。



フリップの「山口一郎本人だよ!」がウケますよね。

でもそんな我々の懸念も杞憂に終わったようでして、
サカナクションは全然忘れられていなかったみたいで、
私もホッと胸を撫で下ろしたというわけですね。


そう、つまり『忘れられないの』なんですよね。



こちらが今回のアルバムのリードトラックとなっています。
MステでもこのMVと同じようなスタイルで披露されていました。
これはですね、所謂80年代へのオマージュとも言える作風ですね。

こんなパフォーマンスを恥ずかしげもなく堂々とこなす
サカナクションのメンバーの方々には畏敬の念を抱きますね。
特にベースの草刈さん、ハットが似合い過ぎてますよね。


さて、この曲はアルバムの先頭打者となっているわけですが、
私個人の意見としてはこの最初のイントロ部分がですね、
どーしても今期絶賛放送中のプリキュアのOPテーマであります
『キラリ☆彡スター☆トゥインクルプリキュア』のイントロ
聴こえてしょうがないんですよ。本当にこれは由々しき事態ですよ。


しかしながらこの曲がアルバムのトップバッターという事で、
今回のアルバムの方向性を示す重要な曲だとも言えるんですね。

今や国民の皆様にもお馴染みとなった『新宝島』のMVもそうですが、
どことなく懐かしき昭和の匂いが垣間見える、
そんな「温故知新」の精神をもこのアルバムは携えているんですね。

そう言えばついに『新宝島』は一億再生を超えましたね。
おめでとうございます。国民を代表して賛辞を贈らさせて戴きます。



私にも4歳の娘がいるわけですが、
たまに「ていねていねていねいに」と歌っております。
サカナクションは子育て環境にも役立つと感じているところであります。


この『新宝島』はすっかりサカナクションの代表曲、
いや国民的ヒットソングとも言える曲として支持を得たわけですが、
しかしながら今回のアルバムはその他の曲にも
是非注目して欲しいと、それを声を大にして私は訴えたいんです。

『マッチとピーナッツ』という曲は後ろで鳴っている
ポンポコした音が心地よいと言いますか、
不思議なリズム感で楽しませてくれる面白い曲で御座います。

特に「深夜に噛んだピーナッツ」という声に出して言いたい日本語詞。
普通に生活していれば一生涯口にする事は無いであろう言葉ですが、
これをこの曲に乗せて発声すると妙に気持ちいいんですよね。
これはサカナクション独自の強みが出ている例だと言えるでしょう。


またベストにも先行して収録されていた『陽炎』ですが、
ベスト『魚図鑑』の時とは違うバージョンで間奏が入っております。
これは好みの問題でもありますが、私自身は今回のアルバムの方が
良いと考えております。しかしまだ議論の余地はあるでしょう。

しかしこの『陽炎』ですが珍しく山口氏の力んだ力強いボーカルが
聴けるというのも特徴ですね。またヨナ抜き音階と言うんですかね、
オリエンタルなメロディが魅力的ですね。



しかしやっぱりこの曇天ダンスというのはあまり流行らなかったですね。


さらに言及しておかねばならないのは『モス』という曲です。
モスというのはですね、なんですよ。蝶じゃない。

蝶というのは綺麗な存在として良く色んな場面で
モチーフとして描かれる事が多いんですが、
しかし対して蛾というのは忌み嫌われれる存在であったわけです。

そんな「蛾=マイノリティ」というテーマを掲げ、
マイノリティでも強く舞う姿を想像させる曲がこの『モス』なんです。



多様性、つまりはダイバーシティ。
昨今は良くこんな言葉を耳にするようになりました。
そう、我々はマイノリティに対するケアも忘れてはならないのです。
マイノリティでも自信を持てる社会を目指していくべきなんです。

ちなみにこの『モス』のMVですが、ずーっと繭の静止画かと思いきや
途中でちゃんと山口さんが出てきます。それも何故か学ラン姿です。
私の所感としてはですね、山口さんは学ランが似合うと、
そんなところですね。多分、髪型とメガネのせいですね。

ちなみにこの『モス』と『忘れられないの』のシングルカットが
8月21日に予定されています。しかも懐かしき8cmCDだそうです。
皆様にはそちらにも是非是非、注目して戴きたいと思います。


さて、他にも忘れてはならないのはですね、
今回のアルバムが2枚組だという点。ココですね。

ベスト盤でもないのに2枚組のアルバムを出すというのはですね、
この忙しい現代社会においては非常に厳しい選択だったと思います。
サカナクションの皆様も勇気ある決断をされたと思います。


ここから今回のアルバムは非常に難産だった事が伺えるわけです。
実際にかなり前からサカナクションにおかれましては、
「アルバムを出す、アルバムを出す」と何度も口にされていました。

しかし度重なるアルバムの延期。
私はこのままアルバムが出ないのではないかとすら思っていました。
でもやっとこの度アルバムが出たんです。それも2枚組という形で。

それだけにこの6年間の苦労が結実した、
ある意味では集大成とも言える大作になったという事ですね。
良く頑張った。感動した。それに比べてX JAPANはいつアルバム出すんだオイ。


2枚組という事はですね、やっぱり意味があるんですよ。
1枚目と2枚目でコンセプトを分けているという事なんですね。

1枚目は比較的最近サカナクションを知ったという
新規の方々に向けた内容ではないかと思います。

これまで述べてきたような
ファンキーでグルーヴィーな曲が中心であり、
ラストを飾るのは『セプテンバー -東京 version-』となっています。

ベスト盤では収録が見送られた『多分、風』も収録されています。
これを待っていた国民の皆様も多いのではないでしょうか。



対する2枚目についてはどちらかというと
昔ながらのサカナクションのファン向けといった雰囲気であります。

ベストにも収録されず溜まっていたシングル曲
『グッドバイ』『ユリイカ』『さよならはエモーション』『蓮の花』
が一気にこの2枚目に収録されている点に注目すべきでしょう。

またMVも制作されている『ナイロンの糸』は
この2枚目を象徴する新曲で、静かで幻想的で美しい曲です。



ただ非常に個人的な意見ではありますが、
過去に私自身はナイロンの糸で手を切った経験があるので、
タイトルからしてちょっと嫌な記憶が呼び覚まされてしまいます。

ちなみに2枚目の中では『茶柱』が印象的だと思いました。

このDisc2のラストは『セプテンバー -札幌 version-』であり
実質的にアルバムの最後の曲になるわけですが、
1枚目のラストの『セプテンバー -東京 version-』よりも
2枚目のラストの『セプテンバー -札幌 version-』の方が
やや有機的な感触がありました。

実はこの『セプテンバー』という曲は
サカナクションがかつて札幌にいた頃に作られた曲だそうですね。

それを東京時代の今現在の形でアレンジしたのが
『セプテンバー -東京 version-』であり、
当時の空気に近いままで収録したのが
『セプテンバー -札幌 version-』というわけです。

これはダイレクトに今回のアルバムのテーマにも繋がっていますね。
札幌⇔東京間の距離である「834.194」というタイトルの通り、
札幌と東京の対比、そして過去と現在の対比、
そういうコンセプトで作られた結果がこの2枚組という事ですね。


また今回のこのサカナクションのアルバムですが、
サブスクリプションの音楽サービスである
Spotifyですぐに解禁されて聴けたというのは凄い事だと思います。
かくいう私もそちらの方で早々に聴かせて戴いたのですが(笑)

特にインターネット産業の分野で世界に後れを取っていると言われる
日本ですから、サカナクションのようなアーティストが率先して
サブスクのような最新型の仕組みに取り組んでいるという姿勢は、
是非とも皆さんにもマネして戴きたいなと考えております。


しかしですね、
敢えて私から厳しいコメントをさせて戴くとですね、
やっぱり真新しさが弱かったかなという点が気にかかります。

比較的今風な空気と言えるDisc1もですね、
『新宝島』も『陽炎』も既に聴いていたのでインパクトは薄くて、
Disc2は良くも悪くもサカナクションといった内容なわけですね。

東京と札幌と言うコンセプチュアルな切り口はいいんですが、
星野源が『POP VIRUS』で繰り出してきたような「ムムッ」といった
違和感のようなものはなくて無難に落ち着いた感はあります。


ただ名実ともにトップアーティストになったサカナクションが
苦難の末に生み出したアルバムという意味では
ミスチルで言うところの『深海』的なポジションとも言えます。

特にベストを出すと次の一手が難しいと言われている中、
この内容はベストと地続きであるという点で非常に納得感があります。
むしろベスト+このアルバムでサカナクションの集大成なんですね。

しかし、となると逆にこの次が非常に難しいわけです。
テーマ的にも今作でかなり出し尽くしたような感があるし、
これは次のハードルがかなり上がってきましたよ。


「面倒な音楽オタクから国民を守る党」としてはですね、
サカナクションというアーテイストの動きは
常に監視しておかなくてはいけないと考えております。

もし新たな情報がキャッチ出来た場合は
すぐに国民の皆様にも届けられるように今後も努力致します。

以上、ご清聴ありがとう御座いました。
これからもこんな私をどうぞ、どうぞ宜しくお願い致します。


【採点】
・ようやく出たアルバム   40点
・コンセプチュアルな2枚組 20点
・ベストと併せて聴きたい  10点
・スピッツのアルバムも期待  3点
73点