脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】The Who / My Generation [1965]

分かり始めたマイジェネレーション。


世間の話題からは大分遅ればせながらだけど、
映画『聲の形』を観たんですわ。

漫画は読んでたからあらすじはもう知ってはいたんだけど、
京アニだし監督がけいおんの山田尚子だし原作漫画も結構好きだったし
映画館で観る程じゃないけど…気にはなってたわけよ。

映画の感想についてはなかなかに良かったんだけど、
漫画の内容を凄い頑張って2時間に収めたなぁって印象。
俺が漫画を先に読んでたからではあるんだけど、
ちょっと各人物の心理描写の掘り下げが少ない感は否めなかったな。


しかし!
驚いたのはですね、この映画『聲の形』のOPテーマがですね、
The Whoの『My Generation』だったんですね。
映画観ててもうオラのっけからびっくらこいただ。

あのデゥンデゥンデゥンデゥン♪のイントロが始まった瞬間、
全身の血が沸き立つと同時に「山田尚子やりやがったな」である。
さすがけいおんの監督。けいおんでもあんだけフーのネタやっといて
まだ飽き足らずに自分の好みを『聲の形』にも持ち込みやがった。

まさかこんなゴキゲンでハードなロックナンバーが
聴覚障害を題材にしたアニメ映画のOPテーマなのかと面喰いつつも、
全くこの曲が『聲の形』と関係ないかというとそうとも言い切れず
監督が完全に趣味に突っ走ったとは言い難い妙味のある選曲。

これは判断が難しいライン上にあるなぁ…とか考えてしまったのだ。


そんな個人的に物議を醸したこの『My Generation』。
ロック好きには説明不要の偉大なロックアンセムとして有名な曲である。

過去にも何回か言及してきたかと思うけど、
フーってのはビートルズやストーンズに比べると、
日本での知名度が明らかに低いバンドである。

上記2組と合わせて英国3大ロックバンドの一角なんですけど、
多くの日本人にとっては「フー?誰?世界保健機構?」な状態。
文字通り「Who?」というわけ。メタ的ネーミングが効いてる。

そんなフーというバンドが日本でイマイチパッとしない理由については
全盛期の時に来日しなかったからとか色々言われてはいるんだけど、
しかし彼らのこの『My Generation』は聴いた事がある人は多いハズ。


この曲を俺が最初に聴いたのは確か2000年くらいから流行り出した
洋楽コンピレーションアルバム内に収録されていた同曲を聴いた時だ。

Youtubeやサブスクが浸透した今ではじじいの昔話になっちまうが、
俺が中高生の頃は洋楽の入門編として数多くのコンピレーションが
沢山発売されてて、みんなそこから有名な洋楽を体験していったのだ。

俺も洋楽コンピにかなりお世話になって色んな洋楽を聴き始めたのだが
俺がフーとの出会いとなった曲がこの『My Generation』であり、
そしてそれ故に(ベタではあるけど)フーの中でも大好きな曲である。


しかし洋楽コンピに入るというだけあって、この『My Generation』は
フーがその名を世に知らしめた彼らの代表曲でもあり、
かつ世界的にも重要なロックチューンの一つに挙げられる曲なのだ。

あの懐古主義として名高い「ローリング・ストーン誌が選んだ
オールタイム・グレイテスト・ソング500」の大規模ランキングでは
なんと11位という超高ランク位置につけている楽曲であり、
そして数多くのアーティストにもカバーされている人気曲でもある。

有名なのはパティ・スミスやオアシス、グリーンデイのカバーかな。



日本では木村カエラが洋楽カバーアルバム内でカバーしている。
つーか木村カエラの洋楽カバーアルバムは選曲がガチおっさんでビビる。

ちなみに全く別の曲だがリンプの『My Generation』も大好きだ。



これ、久々に聴いたけどYoutubeで観るとピー音モザイクが凄いな。

あと日本で『My Generation』と言えばジュンスカとかYUIとか。



YUIのマイジェネもいいなぁ…。しっかしYUIはイケメンだなぁ…。


と話がやや逸れてしまったが、
このMy Generation=私の世代というテーマはつまりは
音楽において昔から歌い継がれてきた人類の普遍的なテーマとも言える。


フーのマイジェネレーションに話を戻すと、
まずその音楽については言わずもがなノリノリのロックである。
イントロから始まるあのワクワク感で思わず体が動いてしまう。

しかもこの曲って結構ジャズ的な要素もあると思うんだよね。
緩急のついた展開もそうだが、ロジャーのボーカルの乗せ方とかも
アドリブっぽくてかなり個性的である。その時の気持ちのままに
感情をぶつけるような歌、そこにジャズのような緊張感を感じる曲だ。


そして若者が大人に対するフラストレーションを歌うという
以降のロックの典型例にもなったと言える歌詞はとてもアグレッシブ。

「Talkin' 'bout my generation(俺らの世代の事を言ってんだ!)」
というリフレインを軸に、若者を抑圧しようとする大人に対し
あんな年寄りになっちまう前に死にたいぜと叫ぶ突き抜けっぷり。

そしてフーのライブではこの曲のラストで楽器を破壊しがち
そのフラストレーションを爆発させる様を体現したパフォーマンスに
観る者は熱狂しがち。でもそんな暴力性もこの曲の魅力の一つだ。


しかしですねぇ、こういった若者と大人を対立させた曲と言うのは
音楽のコンセプトとしてすっかり浸透した感があるけれど、
こういった曲がより世代間の断絶を煽っているんじゃないかと
考えてしまう時がたまにあるんですよね…。

特に年齢なんて関係ないと言われているこれからの時代には、
敢えて世代を意識させ断絶させるような曲はマッチしない気もするの。

まぁでもこういった類の曲で歌われている若者や大人というのは
物理的な年齢ではなくて気持ちの年齢だと解釈すればいいんだろうな。
いつまでも若い気持ちでいれば、年よりにはならないって事だね。


さて、そんなわけで冒頭の話に戻るけど
この曲が映画『聲の形』のOPテーマとして起用された事については、
おもっくそ山田監督の趣味という可能性も捨てきれないけど
苦悩する若者達を描いた同映画の主旨に反するわけではなさそうだ。

でもやっぱり曲調としてはあの映画の雰囲気には合ってない…。
全体的なBGMも悲しげで落ち着いているしエンディングはaikoだし、
明らかにOPテーマだけ浮いている。やっぱ監督の趣味説、アリだな。


ただ同監督のアニメ「けいおん!」もそうだったけど、
こういったアニメによって日本で知名度が低かったフーの存在に
スポットライトが当たるのはフー好きとしては嬉しい限りである。

ちなみにけいおんではりっちゃんが尊敬するドラマーとして
フーのキース・ムーンを挙げてたんだけど、
しかしキース・ムーンが好きな日本の女子高生って、
どれくらいいるんだろうか。つーか現実にいるんだろうか。

いたらりっちゃんを見習ってカチューシャしてて欲しい。
でもキースみたいに早死にはするなよ!


あ、あと2012ロンドンオリンピックのラストを飾ったのも
この『My Generation』だったな。



閉会式の大トリとして出演したフーが
『Baba O'Riley』『See Me, Feel Me』に続けて最後に演奏。
花火と共にオリンピックの大団円を演出した曲でもあるのだ。

この辺のお陰で割りと日本でも知られ始めたマイジェネレーション。
永遠不滅のロックナンバーとしてこれからも歌い継がれていくだろう。

そして俺も無駄に年を取らないように、長生きしたいな。


【採点】

・3大ロックバンドの一角  30点
・ロンドン五輪のトリ    30点
・爆ぜろフラストレーション 20点
・りっちゃんよりむぎちゃん派 5点
85点
My Generation My Generation
Who

曲名リスト
1. Out In The Street
2. I Don't Mind
3. The Good's Gone
4. La La La Lies
5. Much Too Much
6. My Generation (Stereo)
7. The Kids Are Alright
8. Please, Please, Please
9. It's Not True
10. I'm A Man
11. A Legal Matter
12. The Ox
13. Circles
14. I Can't Explain
15. Bald Headed Woman
16. Daddy Rolling Stone

1. Leaving Here
2. Lubie (Come Back Home)
3. Shout and Shimmy
4. (Love Is Like A) Heat Wave
5. Motoring
6. Anytime You Want Me
7. Anyhow Anywhere Anyway
8. Instant Party Mixture
9. I Don't Mind
10. The Good's Gone
11. My Generation (Instr.)
12. Anytime You Want Me
13. A Legal Matter
14. My Generation (Mono)

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