脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】SOPHIA / マテリアル [1999]

人生80年なんて当たり前の時代。

マテリアル マテリアル
SOPHIA

曲名リスト
1. 大切なもの
2. 航海
3. Place~
4. せめて未来だけは・・・
5. 黒いブーツ~oh my friend~
6. take me away
7. Birds eye view
8. 言葉
9. センチメンタリアン・ラプソディ
10. beautiful
11. 贈り物
12. material of flower

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 

SOPHIAってヴィジュアル系って認識がある人も多いっぽい。
当時はソフィアがヴィジュアル系なのか脱ヴィジュアル系なのか
音楽雑誌とかで真面目に論じられていた事もあった。

しかし歌っているテーマは所謂ヴィジュアル系の要素から外れていて、
自身の葛藤のような曲が結構多い硬派なバンドである。
と思いきやちょっと突き抜けたおちゃらけた曲も多いのがまた特徴。
もはやヴィジュアル系かどうとかなんてどうでもいい。俺は結構好きだ。


そんな彼らのアルバムの中でもダークで鬱な雰囲気が人気な一枚がこちら。

ちょうど彼らの人気が出始めた頃だった。
前作のALIVEも同じような暗い方向性だが、
このアルバムは曲調のみならずなんかもう歌っている内容が後ろ向き。

このアルバムに収録されている彼らの代表曲の一つ
『黒いブーツ縲徙h my friend縲怐xもおどけたサウンドで人気だが、
この曲、夭折した松岡の友人の事を歌った本当は悲しい曲だ。

他にも『せめて未来だけは…』の間奏でのナレーションなんて
過労死を想起させる内容で不安になるったらありゃしないし、
不気味なリフレインが続く『take me away』も何か怖い。
全体的にブラックで陰鬱な匂いがプンプン漂っている。


そしてシングル曲『beatiful』も結構生き生きとしたメロディの癖に
”僕の人生せいぜい80年”と現実的な台詞を吐き捨てている。

でも待ってほしい。
これは1999年の作品なわけで”せいぜい80年”は当時の感覚だ。
今後医療技術等が発達して寿命が延びれば、
”余裕で80年”な時代になってくる事は想像に容易い。

年金制度だって設立時はこんなに寿命が延びるとは思ってなくて、
制度設計に失敗した結果ごらんの有様なわけだ。
超高齢社会へと時代が進むにつれて
だんだんと事態が変わっているという事を考えさせられる曲である。

そんなダークな未来をも感じさせるアルバム。
ある程度売れたバンドはみな比較的高い確率で鬱期に入るらしいが、
このアルバムはきっとソフィアのそんな時期のアルバムだろう。

でもこのアルバムは決して絶望だけでなく光も見え隠れする、
心の闇から希望までをありありと描いたとても人間臭い作品だとも思う。

【採点】
・黒いブーツ    20点
・黒い歌詞     20点
・黒い雰囲気    20点
・黒くはないけど何か不安を煽るジャケット
          15点
75点