脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

ドラマ電車男から10年。オタクについて再考察してみる。 その1

10年分を振り返る。

 

もう10年前という事に衝撃と焦燥感を感じるぜ。
こんな感じであと10年も過ぎると思うとゾッとする。

この10年の間に、所謂”オタク”をとりまく環境はかなり変わったと思う。
そこに一役買ったのが今から10年前のドラマ
電車男」であるのも事実である。

という事で今回は今更ながら、
あの当時の話とオタク談義をしてみようか。


書籍化、映画化でビジネスの波に取り込まれた所謂オタク文化は、
2005年の夏に「電車男」としてテレビドラマ化され広がる。
ある程度腰を上げないと触れられない書籍や映画と違い、
テレビドラマはより多くの人が視聴する機会を生んだのだ。

電車男当時は俺も大学生となりオタクしての素養があった俺
もれなくアニメやゲームにどっぷり浸かり始めた頃でもあって、
この辺りの所謂”オタク”をとりまく空気は
自身の経験則からも結構覚えているのでアリマス。

今思うとやはりあの頃って楽しかったなあ(遠い目)。


さて、「所謂オタク」という表現をしたのは、
オタクやオタク文化という括りが非常に曖昧であるからだ。

オタクという言葉については俺は
「没頭できる何かがあり、その分野に熱くなれる人種」
というオーソドックスな定義が本来のものだと思っている。

だから実際オタクはどの趣味にも存在する人種で、
普通は「○○オタク」のような呼び方が正しいのだろうけど、
一般的にオタクと言うと「漫画・アニメ・ゲーム」等の
特定の趣味に限定された使い方をされる傾向がある。

そこに違和感を覚えるものの、
まあ認知されたものはしょうがないという部分もあるので、
今回は「漫画・アニメ・ゲーム好き=オタク」という形で進める。


さて、ドラマの内容はまあ別にいいとして
(ぶっちゃけストーリーはあんまり覚えてないや)、
結果的に電車男によってオタクはかなり認知度を高める事となった。

オタクの社会的認知は90年代からじわじわ進行しており、
遅かれ早かれどの道浸透するのは間違いなかったのだろうが、
電車男」等の”オタクを題材にしたビジネス”は
それを加速させた大きな要因である。
いや、ビジネス化された時点ですでに浸透したと言えるのか。


そして電車男はどちらかというと、
オタクの「存在」というより「生態」が
クローズアップされた出来事と言えるのかもしれない。


「オタクの楽しみってこういうモノなんだ」みたいな、
90年代までのオタクの内輪のノリが
徐々にオープン化していくような感覚があった。

そしてオタク=ネット民みたいなイメージは
よくよく考えれば関連性は無いハズなんだが、
この電車男ネット掲示板2chを軸とした話のため、
なんとなく結びついて根付いた感は否めない。

まぁ10年前はまだネットと言えばアンダーグラウンドな世界で、
今みたいに小さい子でもLINEやツイッターやるような時代とは違い、
そういった意味ではオタクとは親和性があったのかもしれないけど。

あとPCに強い人が漫画アニメゲーム好きが多いという傾向から、
電気街だった秋葉原が「萌え」化した背景もあるわけで、
結局ネットとオタクの関係性は自然な流れだったのかもしれない。


しかしだ!

オタクの生態はより知られる事にはなったけど、
印象は必ずしも良くなかったというのも事実だと思われる。
電車男で日の目を見たというのはあまりに楽観的というか。

俺の周りもオタクについてのイメージ像はみんなあったけど、
正直それ自体は明るい感じでは全然無かったし、
少なくともある程度オタクが一般化した現在よりも悪かった。
結局その「オタクの生態」に皆魅力を感じていなかったのだ。

それは電車男の内容に原因がないとも言えない。
秋葉原が電気街から「萌え化」したのも90年代後半からとは言え、
電車男を始めとする当時のオタク関連ビジネスが
「オタクってこういうもの」という方向性を決定付けてしまった。

結局電車男もビジネスなわけで、
オタクのイメージ向上なんてのはどうだっていいのだ。
結果的にオタク界への人口の流入は増えただろうけど、
社会的なイメージ改善にはクリティカルでは無かった。


さて、電車男から2年後の2007年の話である。

一世を風靡した深夜アニメ『らき☆すた』のファンが
聖地巡礼として埼玉県の鷲宮神社に押しかけた際に、
近隣の市民が「治安が悪化する」とHPに記載したところ、
大炎上した事件があった。

HPは賛否入り混じるコメントで大荒れ。
今思えばこれが炎上事件の先駆け

オタクを「気持ち悪い」と思うのは個人の感想なので
無理に「カッコよく思え!」とか俺も言わないけどね、
でもこの炎上の問題点はやはり「オタク=犯罪者」のような
認識で書かれていた事だろう。

しかし自由に書き込めるネットの性質もあって、
その問題点に沿って議論が深まる様子はなかった。

オタク擁護のコメントには
らき☆すたを観て下さい!きっとイメージが変わります!」
とか絶対オタク批判派は観るわけがないのに、
必死にアニメの魅力を伝えようとするモノもあったりした。

でもその熱さこそがある意味オタクらしいと言えばオタクらしいけど。


そりゃ犯罪者扱いするのは勿論偏見だけど、
「こんな素晴らしいものはきっとみんな分かってくれるハズ!」という
なんかもうラブ&ピースな思考も違うなとか思ったものだ。

結局電車男から2年経っても
賛否双方のコメントが多数吹き荒れるという事。
オタクのイメージの払拭にはまだまだ至っていなかったわけである。
勿論今でも改善はしたが完全に払拭は出来ていない。


しかしオタクが犯罪者というイメージは
一体どこから始まったのだろうか?

世代別のデータがあるわけじゃないけど、
オタクに対するイメージについて差が大きくなる要因は
やはり1980年代末に起こった連続幼女誘拐殺人事件
通過したかどうかじゃないかと思う。


といったところで、一旦話を切ろう。

次回もハッキシ言って、おもしろカッコいいぜ!

 

drr.hateblo.jp

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4104715018 電車男
中野 独人
新潮社 2004-10-22

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