なめたらアカン、セルフカバー。
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THE SWINGIN’ SIXTIES the brilliant green 曲名リスト 1. There will be love there~愛のある場所~ 2. 冷たい花 3. You&I 4. Rock’n Roll 5. Hello Another Way-それぞれの場所- 6. Stand by me 7. Bye Bye Mr.Mug 8. そのスピードで 9. Blue Daisy 10. 長いため息のように 11. A Little World Amazonで詳しく見る by G-Tools |
世の中にはセルフカバーアルバムというものが存在する。
昔の自分の曲を今の自分でカバーするという、
ただでさえアーティストというのは自己満足人間だというのに
さらにそこに自己満足を重ねる所業だ。
漫画家で言うならば、昔書いた漫画を同じプロットで
もう一度今の筆致で書き直すという事になる。
彦摩呂も「自己満足の二段重ねやー」とか言うに違いない。
あぁ、かなりの人物を不快にさせる発言をしてしまった…。
でも安心して下さい。俺のこのブログもそりゃもう自己満ですから!
まぁ多少攻撃的な言葉になってしまったのは、
俺がセルフカバーをあまり好きじゃないからだ。
なんというかやはりその時その気持ちで歌った曲こそが
その人が本来表現したかった全てであって、
本人がそれをカバーする事は他人がカバーして別の色を出す事とは違い、
その時の自分の存在の上書きにもなりかねない。
そう思っていた時期がありました!
このアルバムを聴くまでは。
これはブリグリが自分達の曲をセルフカバーしたアルバムだ。
そう、もれなく自己満である。自己満の二段重ねだ。
いくらブリグリ好きな俺でもこれには食指が動かなかった。
実際、ボーカルの川瀬智子も最初は拒否したそうだ。
おいおい俺の大事なトモクォさんに何してくれとんねん
ワーナーミュージックさんよぉとか悪態をつきたくもなる。
しかしまぁ、そこはやはりトモクォへの愛で溢れる俺だ。
なんのかんので彼女が承諾したこのアルバムを聴いてみた。
な、なんだこれは。
ちくしょう。この自己満は…アリだ!
このアルバム、タイトル通り60年代風アレンジとなっている。
なんとあろう事か時代を遡って解釈し直したセルフカバーなのだ。
こんなアプローチもあったとは、セルフカバーの世界は恐るべし!
ブリグリはおおよそ80~90年代のブリティッシュロックを
うまくパクっ取り入れて自分達の味に料理しているのが特徴だ。
ここではその料理のカロリーをすっきりと落として60年代風にしている。
あのブリグリのあの曲達がクラシカルなオーラを伴って、
生まれ変わったかのような新鮮さで耳に飛び込んできたのだ。
これはこれは…もうセルフカバーへの俺の認識を変えなければ。
特にRock'n Rollの軽快さは溜まらないね。
ビートルズの『Get Back』を彷彿とさせるアレンジ。こりゃいい。
あと『Stand by me』。ちょっとアイリッシュロックっぽい。
可愛さと切なさが増幅されてて新しい魅力にハッとする。
『長いため息のように』も新感覚で面白い。
うーむ、セルフカバーもやりようによっては化けるね。
ブリグリ好きなら怖いもの見たさでもいいので是非聴いてほしい。
そして喜んで「自己満の二段重ねやー!」と叫ぼうぜ。
【採点】
・自己満の二段重ね 30点
・新しいブリグリ 20点
・60年代風サウンド 20点
・セルフカバー見直した 5点
75点