脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Arcade Fire / Funeral [2004]


葬式のBGMに使って欲しい。

Funeral Funeral
Arcade Fire

曲名リスト
1. Neighborhood #1 (Tunnels)
2. Neighborhood #2 (Laika)
3. Une Annee Sans Lumiere
4. Neighborhood #3 (Power Out)
5. Neighborhood #4 (7 Kettles)
6. Crown Of Love
7. Wake Up
8. Haiti
9. Rebellion (Lies)
10. In The Backseat

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2016年「起こらなかった」事は何ですか。

こう言うと妙な感じがしちゃうけど、
実際起こると思っていたのに起こらなかった事があるのだ。

世の中にはいろいろな法則がある。
人はその法則に気付いた時には喜びを感じるし、
それを見つける事で様々な事を予見して期待したりする。


2016年、Arcade Fireの新作が出なかった
彼らは今まで2004・2007・2010・2013と
実にしっかり3年間隔でアルバムをリリースしてきた。

だから次は間違いなく2016年だろうと誰もが思っていた。
多くのファンが期待を寄せていた。俺もずっと待っていた。
2016年12月31日までサプライズで配信開始の発表が無いか待っていた。
しかしそんな彼らの法則は昨年ついに崩壊したのだ。
宇宙の 法則が 乱れる!


さて、彼らがここまで多くの人に期待されるバンドとなった
全ての始まりはこの1stアルバムだったと言えよう。
このアルバムに一体どれだけの人が感動し感嘆し心が打ち震えたのか。

アーケイド・ファイアはカナダ出身の7人組大所帯ロックバンド。
2000年代はカナダ出身のアーティストが非常に活躍した時代だ。
アーケイド・ファイアも2004年のこの1stが高評価を得て以降、
グラミー賞を受賞したりフジロックのヘッドライナーになったり大活躍。

様々な楽器を使った幾重にも重なるバンドアンサンブルを主体とした、
繊細でドラマティックな音楽に抒情的な歌詞が特徴的だ。
そしてバンド内にリーダーが不在というゆとり仕様
実質的にはメインボーカルのウィン・バトラーがリーダー格だが、
そんな階級みたいな事を決めるのは良くないという話らしい。


そんな彼らのこの1stアルバムは喝采で迎えられたのだ。
今でも尚2000年代を代表する名アルバムとして知られている。
今聴いても凄い。本当に凄い。何から何まで凄い。
聴き終わると自然と大きな溜息が出ちゃう。

曲に転調が多く、その予測不可能なワクワクが実に心地良い。
そしてアンティークでノスタルジックなオーケストラサウンド。
高揚感とセンチメンタルが奇跡的なまでのバランスで同居しているのだ。

このアルバムにはここでしか味わえない不思議な世界が広がっている。
おとぎの国のような現実のような。大人向けの絵本を読んでいる感じ。
エロい意味ではなく。決してエロい意味ではなく


アルバムのタイトルはFuneral。日本語にすると「葬式」だ。
英語だとカッコイイんだけど日本語だとなかなかに衝撃的。
『葬式』って邦題で日本盤をリリースしても良かったんじゃない?

でも葬式とはいいつつも決してテンションが下がる感じではない。
どちらかというと祈りを捧げる祝祭的な雰囲気に近い。
荘厳で美麗な楽曲群からはどちらかというと力強さすら感じる。

この葬式というタイトルは、アーケイド・ファイアが作品制作中に
メンバーの身近な人たちの不幸が相次いで起こった事から、
亡くなった方々に捧げるという意味でつけたものらしい。


アルバムの中盤までに『Neighborhood~』という曲が連なっている。
Neighborhood、つまり「隣人」。身近な人の死を連想させる楽曲群だ。
しかしNeighborhood#1~#4どれも煌びやかでのびのびとしている。
特に#3 (Power Out)は攻撃性すらあって好きな曲だ。

そして彼らの代表曲であり神秘的なコーラスが売りの『Wake Up』、
嘘だ!嘘だ!という竜宮レナのリフレインが売りの『Rebellion (Lies)』
等の珠玉の名曲達を経て『In The Backseat』、後部座席で終わる。
後部座席という小さな空間で静かに穏やかに、

I've been learning to drive
My whole life
I've been learning

「学び続ける人生を進んでいく」という小さな決意を抱いて終わるのだ。
いきなりの生涯学習ユーキャンの宣伝にやや戸惑うが、綺麗な終わりだ。


身近な人の死を受けて、そして自ら学び続ける人生を宣言するという
とてもドラマティックで涙が溢れそうになる圧巻のアルバムである。
あと世代の音ってのもあるんだろうな。俺は2000年代っ子だから
俺はこのアルバムのイントロを聴くと2000年代を感じてまた涙する。

だから別の世代の人がこのアルバムを聴いてもピンと来ないかもしれない。
でも俺はこのアルバムの良さが分からない人とは正直話したくもない
俺の葬式ではこのアルバムをBGMにして欲しいくらい好きな一枚。
俺と会話したければコレ聴いて良さを分かち合えるようになってから来い。


ごめんなさい言い過ぎました話してください構ってくださいお願いします。


しかし彼らの新作はいつになるのだろうか。
3年間隔の法則が乱れた以上、全く予想出来ない状況になってしまった。
やっぱりこの前のアルバムが2枚組だったからなのか、
次は6年後説が現実味を帯びてきたぜ…。

でも早く聴きたい!お願い!
かまってちゃんの俺の心を満たして!


【採点】
・2000年代の大名盤  50点
・大人向け絵本の世界 30点
生涯学習の大切さ  20点
・宇宙の法則が乱れた -5点
95点