脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Aimer / daydream [2016]


君の名はエメ。

daydream(通常盤) daydream(通常盤)
Aimer

曲名リスト
1. insane dream
2. ninelie with chelly (EGOIST)
3. twoface
4. Higher Ground
5. for ロンリー with 阿部真央
6. 蝶々結び
7. カタオモイ
8. Hz
9. 声色
10. closer
11. Falling Alone
12. us
13. Stars in the rain

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daydreamって単語いいよね。

日本語訳としては空想・白昼夢って意味だけど、
単語を分解すると「day」と「dream」なわけで
「一日限りの夢」みたいな儚さを文字から感じる事が出来る。
アーティストならどこかで一回使ってみたい単語じゃなかろうか。

というわけでAimerのアルバム『daydream』です。
アーティスト名はAimerで「エメ」と読む。これもなかなか難しい。
Wednesdayで「ウェンズデイ」と読むと知ったときくらいの衝撃。


エメは特徴的な歌声を持つ女性ボーカリストとして
近年注目を浴びている日本の歌手だ。
そんな彼女のこの『daydream』は、2017年のCDショップ大賞
大賞を獲った宇多田ヒカルの 『Fantôme』に続く準大賞を獲得した。

そんな話題作だったもんだからもっと早く聴きたかったんだけどね、
これが全然レンタルショップに置いてなかったんよね。
CDショップ準大賞のアルバムですよ?なのに置いてないとか、
ちょっと俺の近所のレンタルショップちゃんと情報仕入れてますか?

そんなわけで大分聴くのが遅れたんだけどやっと聴けました。
最近新しくオープンしたレンタルショップがあってそこに置いてあった。
まぁ「そんなに聴きたいなら買えよ」って話ですよね。すんません。
エメのアルバムは初めて聴くもので、買うには勇気が足りなかったの。


そう、俺はエメのアルバムをちゃんと聴いた事は無かったのだ。
ただガンダムUCとかのアニメで何曲か知ってはいたので、
なんとなくどんな曲を歌う人なのかのイメージはあった。
アニメやゲーム等で幻想的な曲を歌ってる人なんだろうな、と。

そう、そんなイメージだったわけですよ。
だからこのアルバムもそういった内容だと思っていた。
タイトルも『daydream』だしね、ファンタジーな内容かと。

でもイメージって怖いよね。先入観になってしまう。
いつも思ってるんだけど、そんな先入観ってのは簡単に覆るものよ。

バンドサウンドを基調としたカッコイイサウンドが多いアルバム。
今までのアルバムは違うのかもしれないけど、このアルバムは
全体的にロック寄りで俺が想像していたエメとは違っていた。

その意外性に最初こそ戸惑ったものの、
続けて聴いているとこのアルバムの魅力が段々と分かってきた。
なるほど確かにこれは面白い。CDショップ大賞の準大賞もおかしくない。


というのも、このアルバムは実は色々なミュージシャンが関わっている。

ガンダムUC等のアニメでお馴染みの澤野弘之だけでなく、
ワンオクのTaka阿部真央、それにRADの野田スキマスイッチ
凛として時雨のTKなど、錚々たる顔ぶれが楽曲制作に参加しているのだ。

この面子はすげー!というか面子的にバンド色強くなるのは必然だな。
しかしこんなにプロデュースして貰えるとか最早反則気味である。
何故こんなにもエメに人が集まるのか。副業で宗教の開祖とかやってる?


そんなバラエティに富んだ顔ぶれとなったアルバムなわけだけど、
やはりなんとなく誰がどの曲なのか分かる。みんな楽曲のクセが凄い。

『蝶々結び』とか完全にRAD。完全に野田。そして完全に君の名は。
曲の内容も歌詞も「君の名は。」っぽくて野田が君の名は。
使えなかったアイディアをこっちに採用したんじゃないかって思う。

だが、それだけ色んな人の曲が入っているのも関わらず、
不思議と連帯感があるしどの曲も出来が良くてアルバムを通して聴ける。
やっぱり大きいのはエメのその「歌声」なんだろう。


特徴的な声って正直ズルいよね。羨ましいよね。

楽曲を聴いて「ああ、これ○○っぽいね」という印象を確立するには
自分の個性を突き詰めていく事になるわけだが、
声を聴いてすぐ「ああ、これ○○だね」と分かって貰えるのは
もう生まれつきとか才能とかのレベルで決まる事が多いわけで、
そういう声を最初から持っている人はかなり得なんじゃないかと思う。

このアルバムの様々な方向性に向かいそうな曲を束ねているのは声だ。
他の人のクセが強い曲をも自分の世界に引きずり込む程のパワーが
エメの魅力的な声に秘められているからこそアルバムが成立するのだ。

これが並みの声だったならばカバー集で終わってしまうだろう。
シングルならまだしもアルバムとして統一感を出すのは至難の業。
どんな楽曲でも声で支配してしまえるってのはかなり強力だ。

ちなみにエメの楽曲ジャンルをWikipediaで参照すると

J-POP
アニメソング
バロック・ポップ
アダルト・コンテンポラリー
トリップホップ
ドリーム・ポップ
オルタナティヴ・ロック
ポップ・ロック

となっている。何が何だかもう良く分からん
ハイパーメディアクリエイターくらい良く分からん。
何刀流だよ。でもそれくらいに何でもござれな歌手なんだろう。


というわけで、豪華な楽曲提供陣と強力な歌声の分業制で
充実した内容のアルバムだったとは思うんだけど、
ただやはり気になるのはエメ自身はこの状況をどう感じているのかだ。

要らぬ心配かもしれないが、
他の人の曲ばかりのアルバムで評価されたという事には
複雑な気持ちもあるんじゃなかろうか、と。
実際にそういった話はたまに耳にするもんでね。

だからむしろこのアルバムは実験的要素が強かったんだと思うね。
こんな事やってみたけど、どうなるかな?みたいな。
つまり大事なのはここからである。エメ自身が次にどんな曲をやるのか。

しかしあれだけのジャンルを歌いこなすエメなら、
次も意外性のある面白い曲をやってくれるのかもしれん。
いきなりアイドル歌謡とかどうだろうか。

ジャンルレスな活躍を期待しています。


【採点】
・CDショップ準大賞  40点
・楽曲のクセが凄い  20点
・声の特徴が凄い   20点
・レンタルショップの怠慢 -3点
77点