【Song】Team.ねこかん[猫] / エアーマンが倒せない [2007]

ゲーマーの苦悩を叫んだ金字塔。

ニコニコ動画で流行った同人音楽は今や数知れず。
プロになる人間も出現するんだからもう立派な市場だと言える。

そんな同人音楽達の先駆けとも言える一曲と言えばコレでしょ。
先日10周年記念バージョンとしてリメイクされ、
再び盛り上がりを見せている『エアーマンが倒せない』だ。

まだニコニコ動画黎明期だった2007年、俺が大学生の頃に話題になって
そりゃあもう周りのニコニコ野郎達がニヤニヤしながら聞いてたさ。
俺も例に漏れずニコニコしてたのでニヤニヤしたさ。
毎日朝起きたらニコニコ動画を観るのが日課だったさ。不健康的だね。

さて、そんな10周年バージョンが作られる程に人気だったこの曲、
最初に同人サークルのてつくずおきばが曲を作ったものに対して
Team.ねこかん[猫] がアレンジ・ボーカルを加えて人気に火がつき、
一般的に良く知られる元祖的な楽曲となった経緯がある。

ちなみにオリジナルバージョンはコレだ。

この内輪感満載のノリはメジャーで流通しているアーティストでは
まず聴く事が出来なかった。だからこそカウンターカルチャー的な
曲として若者を中心に脚光を浴びたとも言えるのだ。

ちなみに俺は正直ロックマンについては良く分からない。
昔友達から借りてやった記憶はあるけど難しくて投げ出した気がする。
根性なしだ。そこは今も昔も変わっていない。

しかし、そんなロックマンを知らない層にもこの曲は流行り、
ロックマンを実際にプレイしたくなるという人まで多数現れた。
多くの人に愛されて10周年を迎えた曲なんだと思う。

10周年にあたり、曲もやや変わっているのがポイントだ。
オリジナルの方が勢いはあるけど、10周年Verは音が作りこんである。
動画も少し変わってて、当時を知る人は懐かしさを感じる事が出来るぞ。

まさに才能の無駄遣いというネットスラングが当て嵌まる曲だが、
決して無駄じゃないぞ。
あれだけのニコニコ野郎をニヤニヤさせただけじゃなく、
ネット動画で火を点けるという現象のパイオニアとなったわけだ。

実際、結構な数のコンピCDに音源が収録されている曲だ。
ネット発の音楽が商業化まで漕ぎ着けるという
今ではもう珍しくない図式を浸透させた記念碑的な曲だ。
この曲のヒットが多くの人間をネット動画に向かわせた事は間違いない。

ちなみに俺もニコニコのコンピCDは購入した。
俺のCD棚は50音順で並ばせているんだけど、
ニルヴァーナの隣にニコニコのCDがあってなんか面白い。

DTM環境が整ってきた今でこそ、
プロが作る音楽と全く変わらない品質の音楽を
無名の投稿者が動画サイトにアップする時代だが、
この曲が出た当時はまだそこまでの人間もかなり限られており、
どちらかというと親しみやすい曲がネット上ではウケていた。

そういった意味ではこの曲はまずメジャーでは聴かない歌詞と、
そのDIY精神が強みとなって人気となったのだろうな。
商業目的ではなく「純粋な面白さ」を追求したという作り手の熱が
ネットユーザーに伝わって広がったという好例である。

また、ゲームがクリアできないという苦悩を歌にしたという点。
どんな些細な感情でも曲にしてアウトプットにしていいんだという
当たり前の事を再認識させてくれた突破口でもあったんだよね。
そういった色々な意味でもこの曲が果たした役割は大きい。

何が流行るか分からない。
そんなブラックボックス的な楽しみ方がニコニコ動画の醍醐味だ。
それ故に不思議な文化圏がニコニコ動画には形成されていたのだ。

最近は俺も殆ど観ていないニコニコ動画だけど、
昔と比べると色々と変わっている部分も多いんだろうな。

しかしこの曲がもう10周年というその時の流れの速さには驚愕だ…。
懐かしさと共に悲しさも襲ってくる曲である。

【採点】
・才能の有効な遣い方　３０点
・新たな同人音楽の礎　２０点
・ニコニコがニヤニヤ　２０点
・10年経ってもやっぱりエアーマンは倒せない
　　　　　　　　　　　ー３点
６７点