【Album】スピッツ / CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection [2017]
今のスピッツを再確認。
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection(通常盤) スピッツ 曲名リスト 1. 魔法のコトバ 2. ルキンフォー 3. 群青 4. 若葉 5. 君は太陽 6. つぐみ 7. シロクマ 8. タイム・トラベル 9. さらさら 10. 愛のことば -2014mix- 11. 雪風 12. みなと 13. ヘビーメロウ 14. 歌ウサギ 15. 1987→ Amazonで詳しく見る by G-Tools |
こんな呑み屋で書いたようなへべれけな文章のブログを
定期的に読んで下っているという実に心が広い皆々様なら、
俺が好きな音楽の傾向は大体ご存じかと思われる。
俺はそれなりにCDを買うタイプの人間なのだが、
それでもアルバムを毎回買っているアーティストというのは
さすがにそこまで多くはない。財布の戦闘力的にも限界があるし、
途中で買わなくなったアーティストだって結構多い。
しかし必ず毎回アルバムを買っているアーティストもいるわけで、
そんなアーティストの一つがスピッツなのである。
スピッツはね、ずっと好きなんだよ。何故ってスピッツだから。
そんなスピッツも今年で結成30周年。
メンバーチェンジも活動休止もなく30周年という非常に稀有な存在。
というか凄すぎる。もう仲良しとかそういうレベルじゃない。
メンバー4人は前前前世からずっと一緒にいたんじゃないかって思う。
という事でそんなアニバーサリーな先日、ベスト盤が発売されました。
スピッツは過去にベスト盤で揉めた事があったけど、
今回はメンバーが公認したベスト『CYCLE HIT』の第3弾である。
過去にも『CYCLE HIT』シリーズは
1991-1997と1997-2005の2パターン発売されているんだけど、
今回は2006-2017の期間となっている。
一応上記の全期間を網羅した大ボリュームな3枚組の完全盤も
一緒に発売されているが、さすがに前の2枚を持っている
(&最近財布の戦闘力が無い)俺は第3弾のみ購入したのだ。
CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-(期間限定盤)[3CD]
だがベスト盤ってのは実はファンにとってはあまり嬉しくない。
最近ベスト盤の話題を何回かしたけど、ベスト盤ってのは
作品的価値というよりも資料価値のウェイトが大きい。
となるとそのアーティストの過去作品を所持している人間にとっては
資料的価値をあまり感じないベストより新作の方が価値が高くなる。
だからベスト盤というのは新規ファンの開拓という意味はあっても、
既存ファンへのアピールとしては効果はいまひとつなのだ。
しかし俺は買った。買うしかないじゃん。だって新曲が入ってたもん。
これがね、ぶっちゃけ俺は悔しいんだよ。ホントは。
収録曲が全部持ってる曲ならね、もうベスト買わなくていいやって
簡単に結論出してもいいんだけどね、サービス的に2、3曲の
新曲とかが入ってるベストとかね、それに釣られて買っちゃうんだよ。
分かってる。まんまとあちら側の策略にハマってるって事。
分かってるんだよ。でも買うしかないんだよ。だから悔しい。
もう飼いならされた犬。スピッツに飼いならされた犬。わんわん。
犬に飼いならされた犬ってもう本当に犬の中の犬だよね。わんわん。
そんな資本主義の犬と化した悲しい俺は
最近飲み会も多いし、他にも買いたいCDが結構あるんだけど
スピッツの新曲が入ったベスト盤は買うしかない。マストなの。
そしてやっぱりなんだかんだで良かったの。畜生。犬畜生。
スピッツの有名曲ってのは90年代に発表された曲が多いので、
今回の2006-2017って期間は正直スピッツ知らない人にとっては
本気のマジで知らない期間だと思う。え?活動してたの?
まだ空も飛べてないの?ルララ宇宙の風に乗ってないの?みたいな。
でも、そういう人にとってこそこのベストは新鮮だと思うわけよ。
ベスト盤ってのは「お、久々に聴いてみるか」的な
きっかけをファン以外の多くの人に与えてくれる。
スピッツもちゃんと活動してたんだよ。これを機に聴いてみな。
そしてファンにとってもまた嬉しいベストだった。
新曲が3曲。どれもスピッツらしいしそしてどれも良い。
ファンも買って損は無いよ。新曲めっちゃ良いよ。
ミドルテンポでキラキラした『ヘビーメロウ』、
切なく響くバラードナンバーの『歌ウサギ』、
原点回帰で結成時のスピッツが出した新曲というコンセプトで作られた
パンキッシュなのに泣けてくる自伝的な『1987→』
どれもこれも今のスピッツを語るに相応しい曲だ。
『ヘビーメロウ』は個人的には凄い面白かった。
ヘビーメタルをめっちゃネイティブっぽい発音で言ったら
ヘビーメロウになるっていう含みもあるタイトルなんだろうけど、
「メロウ」ってのは豊かで美しい、心地よいという意味。
それがヘビーってんだからどういう事ですかって事だよね。
まず曲の構成が珍しい。サビとAメロのみの繰り返しである。
特に第一線で活躍するアーティストにはなかなかお目にかかれない。
スピッツの曲で言うと『スカーレット』の感覚に近いかな。
こういう売れ線の定理から外れたある意味では挑戦的とも言える曲は
大体若いバンドがチャート上位のバンドに対するアンチテーゼとして
取り組んだりするものなんだけど、
それをスピッツのようなベテランがやるってのが熱い。
だから若い。いつまでも若葉。それでこそスピッツなんだ。
そして曲はやや落ち着いた感じ。音の要素も少なめでシンプルだ。
「ヘビー」と言うとその言葉自体で重たいってイメージになるんだけど、
それが「メロウ」という言葉に係るとこういう事になるんですよ。
くどくなく、長くなく、ラストもスッと終わる。これがヘビーなメロウ。
そして『1987→』は説明不要。MV公開されてるから見るのが一番。
初期衝動のまま突っ走る爽快なナンバー!
インディーズ時代の曲『泥だらけ』から引用されたイントロに始まり、
勢いよく切ないサビに突入するというスピッツお得意の展開。
らしくない自分になりたい 不思議な歌を作りたい
似たような犬が狼ぶって 鳴らし始めた音
ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう
無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道
この辺の歌詞がスピッツらしいし最高に泣けてくる。
3分足らずで終わる曲だが、ベスト版のラストをこの『1987→』という
これからもどこまでも続くという宣言で終わらせるのがカッコイイ。
こういった捻った曲たちはベストに収録というのが凄いしっくりくる。
ちょっとアウトローな感じがスピッツの魅力でもあるのだ。
ただ一つ、『シロクマ』と両A面だったシングル『ビギナー』が
収録されていないのが惜しい!というか何故入っていない!?
この曲めっちゃ好きで俺の結婚式の入場にも使ったのに…。
とても残念。個人的にこれは外せない曲だ。各自補完して下さい。
そういえば嫁も以前はスピッツのイメージって90年代で止まってて、
しかもシングル曲のイメージしか無かったんだよなぁ。
だから俺が熱心にスピッツのアルバムを聴かせてたいたら、
俺の努力の甲斐があって嫁も段々とスピッツの魅力を知り始め、
今では俺がスピッツの新作を買うのを楽しみにしてる程だ。
だからこのベストを皮切りに
スピッツをもっと聴いてみようと思った方はベストだけでなく
是非ともアルバムにも手を伸ばして見てほしい。
スピッツ程ベストで終わるのが勿体ないバンドは無いと思う。
そして俺と一緒に仲良く資本主義の犬になろうぜ!わんわん。
【採点】
・スピッツは若い 40点
・スピッツは犬 20点
・スピッツの犬 20点
・このバカ犬~ 2点
82点