脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】LiSA / LiTTLE DEViL PARADE [2017]


アニソンもロックも関係ねぇ。

LiTTLE DEViL PARADE LiTTLE DEViL PARADE
LiSA

曲名リスト
1. LiTTLE DEViL PARADE
2. Catch the Moment
3. LOSER ~希望と未来に無縁のカタルシス~
4. the end of my world
5. JUMP!!
6. 狼とミサンガ
7. Rally Go Round
8. Empty MERMAiD
9. Peace Beat Beast
10. Blue Moon
11. Brave Freak Out
12. TODAY
13. そしてパレードは続く

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今年はね、アニメ関連の話題に良く触れている気がするの。
このブログでもアニメの話題をかなりやったし、
テレビ等でもアニメ関連の企画を最近良く見かけた。

やっぱりアニメがもう当たり前のように
日常に浸透してきたという事なんだろうね。
昔からアニメと共に過ごしてきた俺にとっては嬉しい限りである。

今の20代の若者と話すと皆当たり前のようにアニメの話をするし、
最近の若者にしてみればアニメを観るなんて珍しくもなんともなく
他の趣味と並列に消費されるワンオブゼム的なポジションにあるようで。
世の中の常識なんて気付いたら変わってるもんなんだろうなー。


そんなわけで今回はLiSAのアルバムである。
アニソンシンガーのイメージで注目を集めている彼女の最新作。
と言っても俺はLiSAのアルバムを聴くのは初めてだ。お手柔らかに。


アニメソングと一口に言っても、
共通したイメージが浮かびにくくなっている昨今。
とりあえず「アニメで使われた曲」というのが大枠のアニソンの定義だ。

しかしアニソンにもアニメに関連するワードを叫ぶタイプから、
やや世界観がリンクするけど曲として独立しているタイプ、
有名アーティストのタイアップ曲でアニメ感が全くない曲など、
アニソンの実態は非常に多岐に渡っているのが現状なのだ。

そんな中でも昔から、ほぼ専属的にアニメの関連曲を歌う
「アニソンシンガー」というポジションが存在している。
声優もこれに近いけど、声優が本業じゃない。
昔なら水木一郎御大等がこれに該当する歌手だろう。

例えばワンピースの映画の曲を担当したミスチル
普段からアニソンバンドって訳じゃないのはみんな分かるはずだ。
明確なラインは無いんだけど、とりあえず「アニメで良く聴く人」。
これがアニソンシンガーの感覚的な定義になると思われる。


そういう定義でいけばLiSAはアニソンシンガーという事になる。
アニメ関連の曲を歌う事で人気となったアーティストだ。
彼女を「アニソンの人」と認識している人は俺も含めて多いはず。


だが俺は今までアニソン歌手の「アルバム」を聴いた事はほぼ無かった。
というのもアニソンというのは基本的に世界がその一曲で閉じるからだ。

アニソンというのは短い間に聴衆を惹きつけるという使命がある故に、
1曲に大量の情報を混ぜ込み、盛り付け、洪水のように展開するのが特徴。
つまりその性質上、単曲で成立・完結する事が殆どなのだ。

となるとどうしてもアルバムとして聴く気があまり起きない。
というかアニソンには元々アルバムという概念が無いと思うんだよ。
コンピやベスト盤といった企画物になるのが通常だと考えられる。


しかし昨今はアニソンシンガーと呼ばれる人達も
きっちりアルバムを出す。つまりアニメに引っ張られることなく
アーティスト独自の世界を構築可能であるという事だ。
アニソン感がありつつもアーティストとしてのアイデンティティもある。
そんな驚異のバランス感覚で勝負している方々がいるわけだから凄い。

というわけで今大人気のアニソンシンガーのLiSAさんのアルバムで、
ちょっとそのカラクリを紐解いてみようなんて高尚な事を考えたのだ。
随分と長い前置きになったが大丈夫か。結局内容が薄いパターンだぞコレ。


アルバムは最初からもう元気ハツラツゥだ。
表題曲の1曲目『LiTTLE DEViL PARADE』は、
ちょっと大人しめの立ち上がりかと思えばそんな事は無かった。
爽快なロックチューンで歌詞もまた良い。てかLiSA良い歌詞書くね!

そして劇場版SAOの主題歌でヒットした『Catch The Moment』の他、
アニメタイアップのシングル曲を中心に構成されているアルバムだが
なるほど、想定以上にロック感が強い。実にパワフルだった。

彼女がもともとロックバンドで活動していたのは知っていたけど、
実際にロックフェス等にも良く出演しており活躍の幅がかなり広い。
ライブパフォーマンスも人気だし、「アニソン歌手」というのは
彼女の性質を表すほんの一面でしかないんだろうね。


だって良く良く考えたらヴィジュアルがそもそもアニソンっぽくない。
このCDジャケットの服装とか乳首にハートマークですよ。ビビる。
でも全然やらしくないし可愛い。ファッションにもロックな個性がある。
この方向性は今までのアニソンシンガーが開拓していなかった道だ。

やっぱりアニメソング中心とは言え歌手だもんね。
色んな事を歌ってみたい・やってみたいと思うのは自然な事だろう。
むしろロックシンガーのエネルギッシュさを持ちわせている分、
彼女のようなタイプはアルバムでガッツリ楽しむ方がいいのかも。

このアルバムは曲のバリエーションが結構豊富で、
確かに「これはアニソンっぽい」って思う曲はあるけど
普通のアルバム曲の底力も負けていないので、
アニソンのシングル曲ばかりが際立っている感じはしなかった。


正直「アニソンで人気の歌手」としてピックアップする事自体が
誤解を生む事になるんじゃなかろうかというのが一番の感想だ。
という意味では今回の俺のこの記事の書き方は罪だね。ゴメンよ。

でもこれはある意味では「アニソン歌手」と紹介する事で、
既存のアニソンシンガー観への挑戦にもなり得るんじゃないかな。

大量の情報量とサビでの盛り上がりというのが現代のアニソン感だ。
しかしながら、そんな現代のアニソンを歌っているからと言って
アーティスト自身がそんな雰囲気に囚われているわけではない。

「アニソン」で一括りに出来ない、そういう時代に来たんだ、と。
頭では分かってはいたんだけど、その実感をさせてくれる、
今のアニソン歌手はこんな事をやるんだと教えてくれたアルバムだ。


普段からアニメを観ている人には最早当たり前だけど、
観ていない人はアニソンが今どうなっているのか分からないだろう。
自分が良く知らない世界でも間違いなく時は流れているのだ。

勿論、昔ながらのアニソン!って感じの曲も否定はしないけど、
よりJ-POPにそして邦ロックに根付いた形で変化してきたアニソンがある。

LiSAのこのアルバムを聴くと、
アニソンとしての側面とアーティストとしての側面と、
そのどちらの属性をも共有する音楽が浸透しているんだという事を
納得感を持って感じる事が出来る。なるほどなるほど。


はい、とまぁ結局大した事が言えてない記事になったけど、
(いつも別に大した事は言えてないとかそういうのいいから)
アニソンがどうこう等と言った面倒な事抜きで聴いてみるのが良いかも。
アニソンもJ-POPもロックも関係ねぇ、そんな息遣いを感じる一枚だ。

でもやっぱジャケットでちょっとビビってしまう人が多そう…


【採点】
・今のアニソン歌手   30点
・最早アニソンじゃない 20点
・ロックフェスでも人気 20点
・ジャケットも可愛いよ  3点
73点