脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】サザンオールスターズ / KAMAKURA [1985]


私を鎌倉に連れてって。

KAMAKURA(リマスタリング盤) KAMAKURA(リマスタリング盤)
サザンオールスターズ

曲名リスト
1. Computer Children
2. 真昼の情景(このせまい野原いっぱい)
3. 古戦場で濡れん坊は昭和のHero
4. 愛する女性とのすれ違い
5. 死体置場でロマンスを
6. 欲しくて欲しくてたまらない
7. Happy Birthday
8. Melody(メロディ)
9. 吉田拓郎の唄
10. 鎌倉物語

1. 顔
2. Bye Bye My Love(U are the one)
3. Brown Cherry
4. Please!
5. 星空のビリー・ホリデイ
6. 最後の日射病
7. 夕陽に別れを告げて|メリーゴーランド
8. 怪物君の空
9. Long-haired Lady
10. 悲しみはメリーゴーランド

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今月頭に放送されたアニメ『ちびまる子ちゃん』の話に
桑田佳祐が登場して話題となった。

www.oricon.co.jp


1時間の拡大版の内容で、
まる子たちが鎌倉に行ってそこで当時高校生の桑田と出会う話だった。

クラスで友人達と話していたまる子は
そこで話題となった鎌倉という場所に魅力を感じるようになり、
「連れて行って」と親に頼むが「簡単に言うな」と断られてしまう。

しかし、鎌倉に別荘を持っているという花輪君が
まる子を含めた友達一同をあっさり連れて行ってくれる事になり、
多少無理のあるストーリーも強引に叶えてくれる花輪君が神過ぎて
金持ちキャラって制作側にとっては便利だなーと思った。
あ、『けいおん!』ではむぎちゃんが一番好きです。

ちびまる子は作者のさくらももこの子供時代の話なので
確かにちょうど桑田が高校生くらいの頃であり、
エピソードはフィクションとは言えど時代が一致しているのは面白い。


まる子達は明日高校の文化祭でバンドをやる桑田と出会うのだが、
話の中ではバンドのボーカルは桑田ではなく別の生徒という事だった。
しかしその生徒が盲腸で入院してしまい桑田が代打でボーカルを
依頼されるわけだが、桑田は歌う勇気が無くて舞台の直前まで悩む。

しかし文化祭当日応援に駆けつけたまる子達の声援もあって、
桑田は勇気を出して歌い切り、ステージは大盛況となった。
そしてまる子は桑田に「将来、歌詞を書くから曲を作ってよ!」と
お願いし、桑田も「100万年も待つさ」と約束する事で話は幕を閉じる。

そしてエンディングの『100万年の幸せ!!』となる。いい話ダナー。


この曲は本当にサザンが好きなさくらももこが歌詞を書いて、
桑田が作曲したという曲であり、ちゃんと本編とリンクしている。
同番組のEDを5年半担当したこの曲はこのエピソードをもって終了だ。


で、そんなちびまる子ちゃんの話を観て無性に聴きたくなったのが
サザンの2枚組大作アルバム『KAMAKURA』である。
今から30年以上も前に発売されたサザンのアルバムであり、
今でもファンからは「最高傑作」の呼び声が高い名盤なのである。

俺はこのアルバムを聴いたのは高校生の頃でそれも図書館で借りた。
図書館って結構昔のCDがあってマイケルジャクソンとかも置いてあった。
財政事情が厳しい高校生にとって図書館はなかなかに有り難い存在だった。

そしてこのアルバムを聴いた俺は、
その頃まで持っていたサザンのイメージが覆された。
ちょうど桑田の『波乗りジョニー』がヒットしていた頃だったし、
サザンと言えば『海のYeah!』や『バラッド3』の印象が強かった。

なんなんだこのアルバムは。俺の知ってるサザンじゃない。
確かに音が古い。でも凄い。曲のパワーが凄い。しかも2枚組。圧倒的。
で、結局ブックオフで買った。1000円くらいだったと思う。
財政事情が厳しい高校生にとってブックオフも有り難い存在だった。


2枚組みのアルバムって結構しんどいもんなのよ。
ベスト盤にしろオリアルにしろやっぱ長いのだ。

ビートルズの白盤、フーの四重人格
ピンフロの壁、ZEPのフィジカルグラフィティ…B'zの7thBluesも2枚組み。
2枚組のベストなんかは数えきれない程あるだろう。

しかし、ベストならまだ適当にピックアップして聴けるから良い。
でもオリアルとなるとやっぱり通して聴きたいから、
「よし聴くぞ!」って構えないとなかなか聴く覚悟も出来ない。


このサザンの「KAMAKURA」も2枚組みオリジナルアルバムです。
全20曲で確かに長い。長いんです。
しかし、このアルバムは聴くほどに惹きこまれて飽きない
全くその長さを感じさせないのが傑作である証拠なのだろう。

サザンの実験的サウンドが色濃く反映されたアルバムとして
当時ファンの間では賛否が大きく分かれたようだが、
個人的には邦楽アルバムの一つの金字塔的作品ではないかと思う程だ。


初っ端の『Computer Children』から
コンピュータサウンドを駆使した挑戦的な音作りで、
当時としては斬新だった事は勿論、今聴いても全く色褪せていない。
ちなみに当時はその特異な構成について来れないリスナーから
音飛びしているとのクレームがあったとか。

珍しいリズム展開の『古戦場で濡れん坊は昭和のHero』、
吉田拓郎へのメッセージソング『吉田拓郎の唄』、
「この顔でモテたら面白い」と自虐全開の歌『顔』、
明石家さんまがCMで口ずさんだサザンの代表曲『Melody』等々。

色々な要素が混じりあった聴き応えが十分すぎるアルバム。
どれもこれも個性的で一癖も二癖もある連中である。
ちなみに『顔』をサザンファンのaikoがLIVEでカバーしたという話を
昔聴いた事がある。本当だとしたらaikoやりおる。aiko大好き。

そんなわけでこのフルボリュームかつマニアックな『KAMAKURA』は、
なんだかんだで150万枚の大ヒットとなった。
CDバブル期の90年代でもない時期にこのヒットはかなりのものだ。


この頃はバンド内でも色々問題があって試行錯誤していたようで、
実際このアルバム発売後にサザンは長期活動休止に入っている。
そんなサザンが活動休止直前に生み出したのがこのアルバムだ。

デビューからこの『KAMAKURA』までサザンは突っ走っていた。
まだ若手だったし毎年のようにアルバムを出していた。
そんな初期サザンの集大成とも言うべき意欲作がこの作品だったのだ。
当時としては異例のレコーディング時間を投入し、
ありとあらゆる実験的要素も盛り込んだ末に生まれた大作なのである。

新たな試みは勇気がいる事だが、当然ながらそれで変わる事もある。
特にサザンはいつも時代の変化にうまく対応しているバンド。
だからこそ長い期間支持されているのだと思う。


そんなわけで久々に引っ張り出してきたこのアルバム。
やっぱり『KAMAKURA』って良いなぁ。
あと俺は鎌倉行った事ないので行きたいなぁ。
あの落ち着いた情緒に溢れる雰囲気を感じてみたいなぁ。
そして俺も将来大物になる誰かと会って約束を取り付けたいなぁ。


ちなみに次のちびまる子ちゃんのED曲はPUFFYだった。

natalie.mu

さくらももこ織田哲郎のパワータッグだ。
コミカルでナンセンスな曲。こちらにも注目です。


【採点】
・2枚組でも飽きさせない 50点
・図書館は便利      30点
ブックオフは便利     5点
・金持ちキャラは便利    2点
87点