脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】KICK THE CAN CREW / KICK! [2017]


いつか千%。

KICK! (通常盤) KICK! (通常盤)
KICK THE CAN CREW

曲名リスト
1. 全員集合
2. 千%
3. 今もSing-along
4. SummerSpot
5. なんでもないDays
6. 完全チェンジTHEワールド
7. また戻っておいで
8. また波を見てる
9. I Hope You Miss Me a Little
10. タコアゲ

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最近の若い子たちはラップ音楽というものをどう思っているのだろうか。

「最近の若い子」なんて言い回しがするりと出てきてしまう辺り、
俺も年を重ねたなと感じる今日この頃。この前誕生日を迎えました。
また思い出が遠くなりました。うぅ。これだから誕生日はイヤなんだ。


さて、俺が中高生の頃はDragonAshの台頭を皮切りに、
ヒップホップ文化・ラップ音楽が若者に人気を集めていて
RIP SLYMEケツメイシ、SOUL'd OUTが活躍していた時期だった。

だから俺はあまりラップにダサい印象はなく、
むしろお洒落でイケてる音楽くらいの認識でいる。
もっとも上記に挙げたアーティスト達は、
ハードコア系のラップを好む層からは「セルアウト」と敬遠されるけど…。


まぁそんな懐かしき時代に人気だったヒップホップグループの一角が彼らKICK THE CAN CREWだったわけですよ。

俺はキックが結構好きでね、リップとかケツメより断然キックだった。
売上的にはその辺りには負けるけど、
やっぱりKREVAの生み出すトラックが心地よくてお気に入りだったの。

だが2000年代中盤くらいになると加熱していたラップブームも落ち着き、
KICK THE CAN CREWも2004年に活動を休止した。
以降、俺もすっかりキックの事は忘れてラップもほぼ聴かなくなった。


そんなキックが復活して14年ぶりのアルバムをリリースした。
おいおい、嬉しいけど14年とかいう年月に眩暈がした。
やめて。俺の高校時代からもうそんなに経ってるとか認識させないで。

でも復活の予兆はあったんだ。
2014年のROCK IN JAPAN FESTIVALで10年ぶりに復活&トリを務め
10年の月日を感じさせない大盛り上がりだったという話題を聞いて、
キックも再始動するんじゃないかという期待感が沸き上がった。

そして満を持して発売されたのがこの『KICK!』だ。
アルバムジャケットが『magic number』ぽい。


この懐かしさも感じさせるジャケットもあって
キックが帰ってきたんだという実感が湧いてくる。


アルバムの一発目『全員集合』でもう
「あああああキックだなぁぁぁぁぁぁ!」って感じだよ。
あの軽快なトラックと3人の掛け合うようなMCが超キック。

この気分はキックならではだね。
タイムカプセルを開けた時のような感覚が俺の中を巡った。
タイムカプセルを開けた事は無いんだけど。
でも多分こんな気分なんだと思う。

そして2曲目の『千%』。
これがマジでヤバイくらい凄い。つまり語彙力が侵されるくらいヤバイ。


今年のベストトラックレベルの曲でしょコイツぁ。
何せ1000%だぜ。戸愚呂弟ですら瞬殺だ。

キックの曲の中でも大好きだった『アンバランス』に通じる匂い。
これまでのキックの曲の歌詞を断片的に盛り込んだ憎いリリック。
そしてまだまだ終わらないぜという強い意思表明。恐るべしだ。

Bigな番狂わせ
キックザカンクルーagain


 の韻の踏み方はずるいっしょ。こんなん1年間考えても出てこない。
今までキックを知らなかった人にも
キックの凄みを一瞬で感じて貰える素晴らしい曲だ。


しかし!

正直この『千%』が良すぎたが故に
以降のアルバム曲をどうしても見劣りしてしまうのが難点だった。

他にもいいなと思える曲もあったんだけど、
『千%』のインパクトがデカすぎて残念ながら霞んでしまっているのです。

あとやっぱり以前の『マルシェ』や『TORIIIIIICO!』のような
弾けるようなポップチューンが欲しかった。
全体的にKREVA色が強くて大人びた作品になっている。

そりゃ確かに以前のキックのリアルタイムリスナーは
もういい感じの大人になってるわけで、
年齢相応の音楽を聴けという事なのかもしれないが
俺は嫌だ。大人になんかなりたくなかった。もう年なんて取りたくない。

あと10曲はちょっと短いかな…。
まぁ復活の挨拶代わりの一枚という位置づけなんだろう。
きっとこれからも何かをやってくれるだろうし、期待したいと思う。


今も日本のラップシーンは面白いんだろうけど、
だた若い人達にとっては実はちょっととっつきにくいのかもしれない。
気軽に楽しめる皆のアイコン的なヒップホップユニットってのは
最近のメインストリームではパッとは思いつかない。

だから「こんなラップ音楽があるんだよ!」という
再認識をシーンに与えるという視点では、
今回のキックの復活にはとても大きな意義があるとも言える。


俺も年齢を重ねたけど、まだまだきっと10%だ。
そう俺はまだ本気出してないだけ。いつかきっと1000%になるさ。

そんな事を考えてるうちにまた年を取るんだろうな…。


【採点】
・キックの復活アルバム 40点
・懐かしさを君に    20点
・新しさを若者に    20点
・俺は10%      -10点
70点