脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】RYUCHELL / Hands up!! If you’re Awesome [2018]


いざ、原宿。


原宿系は好きですか?

俺は好きです。別に原宿系っぽい服は持ってないし
家族に普段着てほしいとかは全く思ってはいないんけど、
でも観てるだけでめちゃ楽しくないすか?原宿系ファッション。

キラキラした多幸感に包まれるようなあの感じが好き。
きゃりーぱみゅぱみゅが好き。藤田ニコルが好き。
誰だ今にこるんを強欲の壺だと言った奴はぶっとばすぞ。
まぁ最近にこるんは原宿系をフェードアウト気味だけど…。


そんな中、やっぱスゲーなって思うのがりゅうちぇるですよ。
男の原宿系って女性に比べるとあまりアイコン的存在がいなくて、
正直言って過去に一番認知された男の原宿系ってハマタやと思う。



だが今やりゅうちぇるはファッションは勿論のこと、
その歯に衣着せぬ物言いも色んなメディアから注目されている。
「りゅうちぇるは若者の代弁者」なんて評される事もあるが、
本人はそんな事全然気にしていないあたりもさすがだ。

てかりゅうちぇるってテレビの収録中に
うんこ漏らした事があるってこの前暴露してたよ。
だからどちらかっていうと大便者だよね。


はい、というわけでそんなクソ野郎りゅうちぇる氏、
最近はメディアへの露出も減ってきたかと思ったら
なんと先日アーティストとして曲を配信しておりました。

それがこの曲『Hands up!! If you’re Awesome』。
うおっ!りゅうちぇるこんなんやるんだ!!
ってのがストレートな感想です。

明らかに80年代の洋楽を意識したポップチューンだ。
ミュージックビデオまで完全に80年代のソレ。
ビデオテープのようなざらついた感触、
冒頭のロゴマークから左下の英字テロップまで
MTV時代の洋楽をこれでもかってくらいにパロっている。

でもさらに左右に黒い帯が入って
縦横比を誤魔化すところまで入ってれば完璧だったのに…。

しかし昔の音楽のリバイバルって定期的に誰かがやっているんだけど
リバイバルと言っても完全に似せて作る事は少なくて、
昔の音楽をベースに今風の要素を足したりするのが定石だ。

でもこの曲は何もかもが本気で80年代なのが面白い。
MV観てたらマジでタイムスリップしたかと思った。
知らない人が聴いたら絶対今の曲とは思わないだろう。


しかも何が驚きかって、りゅうちぇるが自分自身の曲に
80年代洋楽をチョイスしてる点だ。明らかに彼の世代ではない。
りゅうちぇる、俺の10個も年下なのになぜこの趣向なのだ…。

一番考えられるのは親が聴いていた世代って事だろうね。
だとしても今の若者が好んでいる音楽としては一線を画しているけど。
Youtube等で色んな音楽に触れられる時代とはいえ、
ここに辿り着いたRYUCHELLは明らかに只者ではないセンスだ。

そういやアーティスト名のRYUCHELLって綴りも
MITCHELL(ミッチェル)っぽくて洋楽らしさに一役買っているね。
ダンスもめちゃ決まってるし、りゅうちぇるの本気具合が伝わってくる。


曲調も日本語詩とは言えがっつり洋楽の味付けだ。
逆に今どき誰がこんなの作れるんだよとか思ったら
作曲は水曜日のカンパネラケンモチヒデフミだった。
お前か!お前もやたら変な引出しいっぱい持ってるもんな!!

でも80年代洋楽って結構日本人に馴染みやすいん音楽だと思うんですよ。

80年代に青春を過ごした方々と喋っていると、
他の世代と比べて洋楽の話題がより出てきやすいんだよね。
あのキラキラした音とくっきりしたメロディは
確かに日本には親しみやすかったんだと想像出来る。

2000年代前半にブリグリ川瀬智子
Tommy february6としてソロプロジェクトを行った時も
80年代洋楽直系の音楽で想像以上の大ヒットを記録した。

古い音楽ながら実は日本人の波長にフィットするのが80年代なのである。

そしてまた歌詞がりゅうちぇるらしくて非常に良い。

「周りの目気にして自分を出せない」「普通を変えよう」
「新しいキミだけのスタイルで」「立ち止まらないで!」

ありがちっちゃありがちな歌詞だが、
りゅうちぇるが歌う事で説得力が倍加するのがポイントだ。
特に”原宿系”の価値観は今、とても大事な考え方になっていると考える。

昨今は「多様性」を大事にするムードが徐々に広がり始めている。
りゅうちぇる自身もジェンダーレス的振舞いを行っているし、
原宿系という何でもアリのスタイルはまさに「多様性」を担保している。


そういや渋谷系音楽と言えばなんとなくイメージ出来るものなんだが、
対して原宿系音楽というものは不定形だ。きゃりーは原宿系だろうけど、
音楽ジャンルとしての原宿系に明確な定義は実のところ存在していない。

そういうわけで今回、
原宿系のRYUCHELLは80年代音楽をやったわけなんですけど
これも原宿的にはアリなのだ。きゃりーっぽくする必要はない。
原宿系ってのはあらゆる個性を許容する寛容な文化ってわけだ。

そういえば原宿系に染まる人は皆口々に
「自分を表現できる場所がここにあった」
みたいな趣旨の発言をしている。

世間からは変だ奇抜だと思われる事も、
受け止めてそれも個性だと言ってくれる、
そういう懐の深さが原宿系にはあるんだろうね。


だから今こそ我々は原宿系的価値観に注目すべきではないだろうか。
あの街に宿っているのはきっと未来の人類の魂なのである。
原宿に行けばきっと未来が分かる。原宿の価値観は世界を幸せにする。
学校でも修学旅行の行き先に取り入れた方がいいんじゃないかな。

まぁ俺は原宿行った事無いんですけどね…。

でも行けばきっと楽しいんだろうなと思う。
りゅうちぇる観てたら人生楽しそうでしょ?
そういう事です。いざ、原宿。原宿色に皆染まれ。


【採点】
・80年代アプローチ  30点
・りゅうちぇるの本気 20点
・今こそ原宿的価値観 20点
・若者の大便者    -3点
67点