脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】チャットモンチー / BEST MONCHY 1 -Listening- [2018]


chatmonchy has gone.

BEST MONCHY 1 -Listening- BEST MONCHY 1 -Listening-
チャットモンチー

曲名リスト
Disc1
1. ハナノユメ
2. サラバ青春
3. 恋の煙
4. 恋愛スピリッツ
5. 東京ハチミツオーケストラ
6. シャングリラ
7. 女子たちに明日はない
8. バスロマンス
9. とび魚のバタフライ
10. 世界が終わる夜に
11. 橙
12. 親知らず
13. ヒラヒラヒラク秘密ノ扉
14. 風吹けば恋
15. 染まるよ
16. Last Love Letter
17. 8cmのピンヒール
18. ここだけの話
19. バースデーケーキの上を歩いて帰った

Disc2
1. 満月に吠えろ
2. テルマエ・ロマン
3. ハテナ
4. きらきらひかれ
5. コンビニエンスハネムーン
6. 変身
7. こころとあたま
8. いたちごっこ
9. ときめき
10. 隣の女
11. きみがその気なら
12. majority blues
13. 消えない星
14. Magical Fiction
15. I Laugh You
16. たったさっきから3000年までの話

Disc3
1. Shangrila (Takkyu Ishino Remix)
2. あいまいな感情 (Dub Mix)
3. 変身 (GLIDER MIX)
4. Last Love Letter (Koji Nakamura Remix)
5. やさしさ -seb remix-
6. 砂鉄 (golmol Remix)
7. 恋の煙 (同期ver.) with 小出祐介 (Base Ball Bear)
8. お調子者
9. マイネオムーン イズ ヒア
10. 夢心地
11. BETSUBARA
12. 息子
13. かわいいひと
14. きっきょん
15. とまらん

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時々、自分の性別が逆だったら…と思う事はないだろうか。

ある?あります?
もしかして「入れ替わってるー!?」とか言ってみたい系?

俺はね、チャットモンチーを聴くたびにね、
「ああ俺がもし女だったら
 もっとチャットモンチーの魅力が分かってただろうになぁ…」
って思う。でも残念ながら俺は男なのである。

実生活では「こへいさんって男らしくないですよね」
みたいなややディスっぽい言葉を浴びる事もある俺だけど、
それでもやっぱり女ではなく男なのである。


チャットモンチーが今年完結した。
それは以前、ラストアルバムの『誕生』の際にも触れた。

 

drr.hateblo.jp

 
そしてホントにホントに最後の音源である
チャットモンチーのオールタイムベストアルバム
『BEST MONCHY 1 -Listening-』が出てしまった。

タワレコから発送されてきたCDを手に取ったとき、
俺の中では届いた嬉しさよりも寂しさが勝っていた。
たぶん、俺が女だったらCDを手に取ったまま
寂しさのあまり満月に吠えていたかもしれない。


そう、それくらいにチャットモンチーは
多くのロック少年少女に愛されていたバンドだったし、
特にガールズバンドのフォーマットとなった重要なバンドであった。

今の時代、男らしい女らしいなどとうっかり言おうものなら
ポリコレ警察に逮捕されるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまうけど、
もう俺は逮捕されてもいい。敢えて言わせてもらう。
チャットモンチーは最高の”女の子らしい”バンドだったよ。


チャットモンチー出現までのロックバンドと言えば
当然のように男がメインプレイヤーの世界だったし、
勿論ガールズバンドもいたんだけどそれはやっぱり
典型的な女子っぽい女子ではなく「カッコいい」女子だった。

しかしチャットモンチーはそんなロックの風潮から逸脱した、
まさに新しいスタイルのガールズバンドだったのだ。
女の子がくっきりとした意思表示を
女の子らしい切り口で表現する女の子ならではのロック。

つーか逆に男では構築できない世界観を持っている、
そこがチャットモンチーの凄さである。
発想の起点がそもそも男譲りのロックとは違うの。
純正のガールズバンドとしてのポジションを開拓したのがチャットなの。


そういや前に友達と話した事があったなぁ。
「最近のバンドって大体がバンプかアジカンか
 東京事変かチャットモンチーのジェネリックバンドだよね」
みたいな事。ごめん、あの時は多分俺も酔ってたんだ。
でも人間って酔うと本音が出るからね。おっと。

しかしそれくらいチャットモンチーがシーンに残した功績はデカい。
彼女達が開拓したガールズバンドの道を
いったいどれくらいの数の後発バンドが通って行っただろうか。


といいつつ俺はちょっとチャットを聴き始めるのが遅かったんだよな。
1stフルアルバムの『耳鳴り』は実は完全に当時スルーしてた。
ほら、俺男だから。女子だったら多分即効でハマってたと思うよ。

だいたい当時は音楽雑誌とかもやたらチャット推しだったわけ。
「凄いバンドが現れた!」みたいな騒ぎ方で
もう音楽メディアはチャットモンチー激プッシュ。

当時俺は大学生だったんでさ、ほら大学生ってそういうのを
ウザがり始めるお年頃じゃん?だから斜に構えてたの。
「10年に1人の逸材」とかってのもだいたい毎年現れてるし。
だからチャットが話題になり始めた時も「ハイハイ」って感じだった。


だけどそんな俺がチャットを認めざるを得なかったのは
やっぱりこの曲だったんだよなぁ。『世界が終わる夜に』。



人に話すと高確率でWANDSの『世界が終るまでは…』
勘違いされる曲だけど、この曲はもうホントに今も大好きな曲だし
初めて聴いたとき泣いてしまってずっと忘れられない曲だ。

多感で斜に構えてて若かった当時の俺は
漠然と流れていく日々に不安と焦りを感じていたんだろう。
この曲のメッセージと切ないメロディがクリーンヒットした。


それからチャットモンチーの魅力を分かり始めた俺。
女子でもないのに『女子たちに明日はない』にやたら共感したり、
『風吹けば恋』にめちゃキュンキュンしたりと、
少女マンガに没入するような感覚でチャットモンチーを聴いた。




あぁ^~心がきゅんきゅんするんじゃぁ^~
もう私が女だったらこんなくらいじゃ済まなかった、って感じ。

そんなわけで俺はチャットモンチーに女ごころを学んできたのだ。

まぁ今の俺もそんなに女ごころが理解できる男ではないんだけど、
でももし俺がチャットモンチーを聴いていなかったとしたら、
それこそ女ごころなんて微塵も分からない人間になっていたと思う。
「洋水腐ってる」とか「産む機械」とか「早く結婚した方がいい」
とか発言していたかもしれない。怖い怖い。チャットモンチーに感謝。

しかしだなぁ、俺がヤンキー系ママにやたら絡まれるのは何故だ…。
保育園とかでヤンママっぽい人に結構いじられるんですけど、
これもチャットモンチーを聴いた効果なんですか。
いや別にいいんですけどね。捉えようによってはご褒美ですし。


で、そんなチャットモンチーが完結したのです。
このチャットモンチーのベスト『BEST MONCHY 1 -Listening-』は
数多くの学びと涙を運んでくれるチャットの楽曲達を
時代順に聴きながら歴史を感じる事が出来るマストアイテムである。




しかしDisc1の内容は昔出たベストとほぼ同じ内容だな~

『サラバ青春』が入っている点で今回のベストが1曲お得なんだけど、
しかしそうなると前のベストも持ってる俺はやや複雑な気分…

そしてDisc2はチャットモンチーが2人体制になってからの楽曲だ。
一般的にはこちらの内容の方が新鮮なんじゃないかと思う。
『Magical Fiction』とかは持ってなかったので嬉しいなぁ。

そして初回盤についてくるボーナスディスクのDisc3もなかなか。
『シャングリラ』の石野卓球リミックスって何かウケるね。
タイトルも『Shangrila』になってるし電気グルーヴに寄せてやがる。
あと『とまらん』が入ってたのがたまらん。


チャットモンチーの総括として十分なベスト盤だと思うよ。
でも個人的には『ウィークエンドのまぼろし』と
『真夜中遊園地』もベストに入れて欲しかった…



でも俺が一番良かったと思ったのは実は付属のブックレットだ!
ベスト盤だし収録曲の殆んどはもう持っていたわけで、
正直CDそのものはアーカイブ的な役割がメインである。

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で、で、で、このブックレットがもう泣ける。てか泣いた。
だって各曲の歌詞の隣にファンから寄せられた
各曲に対するコメントが載ってるんだもん。ずるいよこれ。

これらのコメント、チャットモンチーの完結ベストの
発売が決定したタイミングに公開された特設サイトにて、
ファンから募集した各収録曲へのコメントなのである。

もうみんなの想いが詰まったコメントを読んでたら
俺も自然と涙が溢れてしまったよ。こんなん泣いてまうやろ。
ブックレットの最後にはファンの寄せ書きまで載ってるしさ。


かくいう俺もコメントを投稿しようと思ってたんだけどね、
でも多分書いてたら筆がとまらんくて長文になりそうだったし
あとこのサイトで自由に書けるし結局投稿しないままだった。
でもブックレットに載る可能性を考えると書いときゃ良かったな~。

でも今も別のサイトにてコメントが書き込める模様です。
やっぱりみんなチャットモンチーとのお別れが寂しいんやなぁ…

www.chatmonchy.com



そんな悲しくて寂しいベスト盤だったんだけど、
特典でついてきたマグネットには笑わされた。

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おい。
この前ちょうどウチのトイレもつまってトラブったんだけど、
チャットモンチー呼べば安くて早くて安心だったのか?

こういうとこ、さすがチャットモンチーやなぁ…。
どうせ嫌いになんてなれないんだなぁ。
またトラブったときのために冷蔵庫に貼っとこうかな。


13年間。
チャットモンチーの長いようで短かった13年間が終わった。
チャットモンチーは公式にはチャットモンチー(済)になった。

しかし邦楽史に名を残すガールズバンドとして、
チャットモンチーはこれからも多くの人を励まし、刺激し、
また新たに生まれてくるガールズバンドの目標になるだろう。

きっと3000年になっても消えない星。
チャットモンチーが辿った軌跡を改めてこのベストで噛みしめたい。
そして俺は自分が男だという事をいつまでも残念に思うのだろう。


でも俺にガールズと言うものを教えてくれた
チャットモンチーはもういない。もういないんだ。
だから俺もいつまでも女々しくて女々しくて辛いよとか言ってらんない。

これからはボーイズでもガールズでもなく、俺として生きていく、
何故か勝手にそんな決意をしたチャットモンチーのベスト盤。

ありがとう、チャットモンチー。
平成という時代のピリオドに完結したチャットモンチーの物語。
これを聴かずに平成は終われないぞ。

ガールズバンドの真骨頂を刻みこんで新時代に向かおう。


【採点】
・寂しい完結ベスト  30点
・涙のブックレット  30点
・俺が女だったら…  20点
・ヤンママとも仲良く  1点
81点