脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】フランシュシュ / 徒花ネクロマンシー [2018]


サガテレビではやってない。


一時の過熱っぷりからすると、
徐々に落ち着いてきたように見えるアイドル界。

それは人々が冷静になったというよりも、
もうありとあらゆるジャンルがやり尽くされたからのように感じる。


「○○アイドル」みたいななんじゃそりゃ的アイドルが量産され、
突き進み、しゃぶりつくされ、何でもアリだったアイドル事情は
実際に今や「何でもある」業界になってしまった。

何せマネキンがアイドルする世の中なのだ。

drr.hateblo.jp

 
むしろ一捻りも二捻りもある個性が無いと注目されない時代。
他と差別化出来ない只のアイドルでは見向きもされない厳しさの中、
人は皆まだアイドルが開拓されてないジャンルを掘り続ける…。


そんな新しいアイドルの開発競争が熾烈を極める状況。
とうとうこんなのまで登場してきたもんだから、
21世紀もまだまだ序盤なのにもう世紀末気分である。



巷で話題になりつつあるアニメ『ゾンビランドサガ』。
過熱したアイドル業界はついにゾンビがアイドルをするという
ちょっと何言ってるか分からない境地に至ってしまった。

というかタイトルが完全に『ヴィンランド・サガ』意識しすぎ
ヴィンランドサガを愛読している俺にとってはちと鼻につく。

ちなみにヴィンランドサガも来年アニメ化します!
漫画は超面白いよ。オススメの漫画と言われたら俺は結構コレを推す。
しかしアニメ化のタイミング的にはヴィンランドサガの方が
ゾンビランドサガのパクリに見えなくもないのが可哀想…


さて、そんなタイトルが非常に気になるこのアニメ
実はタイトルの「サガ」というのはそのまま「佐賀」の事でもある。

そう、このアニメは俺が住んでいるこの佐賀県を舞台とした
ゾンビ×アイドル×佐賀という何言ってるか分からないと言うより
完全に意味不明なコンセプトで繰り広げられる
ご当地ゾンビアイドルアニメという新ジャンルなのである。


アニメの内容は過去に死んでしまった子達がゾンビとして蘇り、
皆で佐賀を盛り上げるためにアイドル活動を行うという物語だ。
公式の説明によると、存在が風前の灯となっている佐賀を救う
「ゾンビランドサガプロジェクト」だそうだ。やかましいわ。

だからアニメの随所に佐賀県にまつわる場面やネタが盛り込まれており、
佐賀県民としてはそこも楽しめる要素。アニメ第1話では早速
俺も何度も行った事があるあのライブハウス「GEILS」が登場!
佐賀のライブハウスと言えば真っ先に名前が挙がるライブハウスだ。



そして第5話では佐賀県民ならきっと誰もが知ってる
あの有名店「ドライブイン鳥」ががっつり登場する。

いや~ドライブイン鳥はいいぞぉ~。あそこの鳥飯は最高に美味い。
とか言って俺ももう2年くらい?は行ってないので食べに行きたいな。
今度誰か県外から俺の家に遊びに来たら連行しようかな。

アニメのアイキャッチにも佐賀ネタが挟み込まれるので
地元民としてはそういったところもニヤニヤ出来るポイントだ。


と、これだけだと単なる佐賀にフォーカスしたアニメに過ぎない。
佐賀県民85万人に通じるネタを内輪のノリでやってるだけじゃ、
その他1億1915万人の日本人に通用する作品とは言えないのは自明だ。

俺も最初は「佐賀を面白がって扱っているアニメかなー」くらいの
まぁ正直ちょっと冷めた目でこのアニメを観ていた。
佐賀県民ってのは割とノリが悪いのよ。海苔はめちゃ食う癖に。

だがこのアニメ、ゾンビという設定が存分に活かされてて
まさに”新感覚のアイドル”と呼ぶにふさわしい内容でして、
単なるネタアニメで終わらせるわけにはいかない作品である。


公式に「時代や性別を超えたアイドル」とされているように
ゾンビとして蘇ったメンバーは皆、出身の時代が異なっている。
そこで昭和出身のメンバーと平成出身のメンバーの間で
アイドル感にギャップがあって対立したりするわけだ。

つまりはゾンビアイドルという設定のお陰で、
リアルではなかなか描きにくいこういった問題を
しっかりピックアップする事が出来るのである。

この辺りを描いた第6話、第7話辺りはまさに必見のストーリーだよ。
雷雨の中のサガロックフェスティバルのパフォーマンスは感涙モノだ。
つーかゾンビだから死なないし年も取らないしゾンビアイドル最強。

ちなみにサガロックフェスティバルというフェスは実在しないけど、
佐賀さいこうフェスってのはあるよ。今年も行ってきた。
千綿ヒデノリと向井秀徳がカッコ良かった。ちなみに両名とも佐賀出身。


そして「時代や性別を超えたアイドル」という事は…

…そう、つまりメンバーの中に男の娘もいまーす!
最近明かされたんだけど、ビックリしたし笑った。
こういったところも新感覚アイドルというわけか…。

ちなみに俺はサキちゃん推し。

サキちゃんカワイイじゃろがぁぁぁい!

作中ではユニットのリーダーを務めてる元暴走族のメンバー。
佐賀はマジでヤンキーがモテる(byはなわ)からな。


そんなサキちゃんがリーダーの作中アイドルの名はフランシュシュ
もう飽和してしまったかのように思えたアイドル業界に
色々と掟破りのコンセプトで風穴を開けるアイドルである。

そしてフランシュシュはその音楽性もまた掟破り。

このアニメの主題歌である徒花ネクロマンシーは、
一般的なアイドルソングと呼ぶには似つかわしくない、
どちらかというと特撮ヒーローの主題歌に近い曲である。
出だしに口上が入る辺りも特撮ヒーローっぽい。

そしてこの曲はサビ前で一旦メロディーを区切ってから
改めてサビに繋げるタイプの曲であり、
この手の展開の曲は最近あまり聴いてなかったのでちょっと新鮮だ。

またOP映像でゾンビが並んで踊るシーンは
マイケルジャクソンのスリラーを感じさせる構図でもあり、
歌詞もアイドルと言うより昭和の歌謡曲風。ちょっと椎名林檎っぽい。

確かにこれは時代もジャンルも超越したアイドルソングだ。
つーかタイトルの『徒花ネクロマンシー』がもうアイドル感無さ過ぎ。
つーかこの漢字+カタカナって構成も初期の椎名林檎っぽい。
スタッフに誰か椎名林檎好きでもいるんか。出てこい。握手して。


そしてそんなアイドルらしからぬ
ジャンルレスな音楽性は本編でも発揮されている。

第1話でいきなりヘビメタで登場したかと思えば、
第2話ではラップバトルを繰り広げる。



第8話ではミュージカル仕立ての曲も披露していたし、
EDテーマの『光へ』はしっとりとしたバラードである。



このED曲も最終回に近づくと凄く切なくなってまた泣けるんだろうな…

このように多岐に渡る音楽性もフランシュシュの特徴。
一体どんな曲が飛び出してくるのか分からないゾクゾク感があるのだ。


ギャグあり、シリアスあり、そして先の読めない展開で
今後どうなるか全く予想がつかないアニメ『ゾンビランドサガ』。

佐賀ローカルのネタアニメと思いきや、意外や意外、ハマるアニメだ。
そしてコレを放送しているのが地元の佐賀テレビではなく、
お隣福岡のTVQ九州ってのも個人的に笑えるポイントだったりする。


ガルパンとかラブライブサンシャインとか、
アニメ人気で地方が盛り上がるって例は珍しくない。
佐賀は少し前にもアニメ『ユーリ!!! on ICE』でも注目されたしね。
(あれは佐賀市というよりどちらかというより唐津市だけど…)

そして個人的にはこの『ゾンビランドサガ』は
ポテンシャルはもっと高いアニメだと感じている。
アイドル業界も停滞気味だし地方も元気が無いと言われてるし、
フランシュシュにはもっと人気になって欲しいなーって思います。

www.saga-s.co.jp

そう言えば今年の紅白歌合戦には先日東京ドーム公演も行った
ラブライブサンシャインのAqoursも出演する。
アニメ放送が終わって一年近く経つけどまだまだ人気は健在だ。


ロックにしろアイドルにしろ冬の時代ってのは必ずあるもんだ。
それでもゾンビのように蘇っては我々に新しい楽しみを提供してくれる、
そういう風に時代は回っているんだと思う。

という事で脱R論はいつもロックとアイドルを応援しています!

…あと佐賀県もよろしく。


【採点】
・新感覚アイドルアニメ 30点
・佐賀ローカルネタ満載 20点
・ジャンルレスな音楽性 20点
・マジでヤンキーがモテる -2点
68点