脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】MUSE / SIMULATION THEORY [2018]


3年に一度のお約束。

SIMULATION THEORY SIMULATION THEORY
MUSE

曲名リスト
1. Algorithm
2. The Dark Side
3. Pressure
4. Propaganda
5. Break it to Me
6. Something Human
7. Thought Contagion
8. Get Up and Fight
9. Blockades
10. Dig Down
11. The Void

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俺がMUSEに出会ったのは高校のときだった。
2003年発売の『Absolution』である。

あのストーム・トーガソンが手掛けたジャケットといい
『Time Is Running Out』のカッコいいMVといい
何もかもが俺の心を奪っていった。
しゅごい。こんなバンドが世界にはいるのか。

そして
2006年『Black Holes and Revelations』
2009年『The Resistance』
2012年『The 2nd Law』
2015年『Drones』
と以降彼らは必ず3年おきに新作アルバムを出してきた。

こんなに規則正しく3年を守るバンドもしゅごい。
きっと「アルバムは3年置きに出しなさい」みたいな
家訓でもあるんだろう。厳しい家系だなぁ。


これまでこの3年置きルールが観測されていた
アーケードファイアが昨年ついにその家訓を破ってしまったので、
正直MUSEについてもちょと俺は心配していた。

つーかそもそもMUSE自体がもう
アルバムという媒体を出さないのではないかなんて考えた事もあった。

バンドとしてはもう既に大物ポジションにいるMUSEは
昨今の時代の流れの速さも当然感じ取っているんだろう。
ここ最近のMUSEは幾度となくYoutubeで新曲を発表していた。

それはまるでCD・アルバムという形態自体はもう意味が無いとし
1曲出来たらすぐにリスナーに向けて届ける形式にシフトして
曲の集合体のより曲単体で楽しむというスタイルを
率先して進めているようなそんな雰囲気すらあった。

俺もストリーミングが流行りだしてからその点は考えていた。

俺自身は音楽はアルバムで聴く方が多いんだけど、
でももう皆が時間を惜しんでいる現代においては
曲は単体で聴くという姿勢の方が合っているのも自然だ。

だからあのMUSEならもういちいちアルバム制作なんてせずに
曲を単体で出す方向に舵をきっていってもおかしくないと思ってた。
2018年、約束された3年の月日が流れたこのタイミングで
MUSEのアルバムが出なければきっともう出ない。そう思ってた。


そしたら…出ました!

ちゃんとまたきっかり3年スパン!さすがMUSE!
やっぱり家訓には逆らえないよね!良かった良かった!


さて、そんな規則正しく届けられた今作『SIMULATION THEORY』。
直訳すると”実験理論”。文系の方々から避けられそうなタイトル。

しかし「実験」と自称しているからには、
何かしらの実験的要素が今作には盛り込まれているに違いない。

という事で冒頭から、MUSEのこれまでのセオリー通り
1曲目はアルバムのオープニング的な役割を担うお見舞いの1曲。



その名も『Algorithm』。そう、アルゴリズムである。
ここでまた文系の人間の多くが脱落。プログラマーは歓喜。

前作『Drones』ではゴリっとしたギターロックに回帰したMUSEだが、
今作はその反動からなのかエレクトリックなMUSEが前面に出てる。



1曲目の『Algorithm』から世界が繋がっているようなMVの
2曲目の『The Dark Side』。これマトリックス感が半端ないって。
とことんSFしてる。金かかってそうなMVやなぁ~。

と、そんなエレクトリックで理系なロックを打ち出している今作だが
かつてのMUSEらしさも健在。前作がやたらゴリゴリしてただけか。


アルバムに先駆けて公開された『Pressure』は
音の鳴り方がいかにもMUSEっぽい。



しかしこれまた映画みたいなMVである。
このマリモみたいな生物が人を襲う展開って
確かウルトラマンティガに似たような話あったぞ。


つーか今作は全体的にそういった映画的なヴィジュアルが多い。
だってジャケットがこれだもん。



ど う し て こ う な っ た

映画のフライヤー(それもレトロでベタベタなデザイン)っぽい。
ん?これは笑っていいのか?MUSEなりのギャグだったりするのか?

しかしこのジャケットがアルバムの中身を現しているというのも事実。
SF映画チックな理系エレクトロロック。何も間違ってない。
冷静に考えるとこのジャケットデザインは正解なのである。


今回のMUSEの路線、
既に公開されていた『Thought Contagion』からその傾向はあった。



だから今回のコンセプトは大分前から固まっていたとも言える。


しかし今作はちょっと大袈裟だなぁというのが素直な感想だ。
MUSEが大袈裟なのはそりゃまー昔っからだけど、
それでも昔の方が「壮大」という感触があったんですね。

今回は壮大っていうよりも大袈裟ってイメージが先行してる。
やっぱあのジャケットのせいかな。確かにMUSE的ではあるんだが
特筆すべき程の感動があったわけではないアルバムだった。

ただ『Something Human』とか『Get Up And Fight』とか
今までにないソフトなポップソングがあって、
この辺りはMUSEの新境地なのかもしれん。あんま好みじゃないが。


大御所バンドともなると次の方向性など
色々と考えるところはあるんだろうけど、
今回の『SIMULATION THEORY』については
タイトル通り本当に「実験」的なアルバムにしてみたんだろうか。

では今回の実験を踏まえて次はまた…3年後ね!
セオリーに従って次は2021年にMUSEの新作を期待しましょう。
東京オリンピック終わってるやん…。

ちなみに最近だとMumford & Sonsが
新たな3年置きバンドになる仮説が立ちましたので、
引き続き観測したいと思います。


【採点】
・3年セオリー遵守  30点
・とことん映画的   20点
・ちょっと大袈裟   20点
・ジャケットがギャグ -3点
67点