脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】Spice Girls / Wannabe [1996]


轟けオバチャンガールズ・パワー。


2019年、あの女たちが帰ってくる。

かつて世界を震撼させたガールズグループ、
スパイス・ガールズである。

rollingstonejapan.com


もうガールズなんて年齢でも無いだろうに
いつまで経っても女性は「女子」でいたいというのは
世界各国共通なのであろうか。


さてさて今年復活するらしいスパイス・ガールズ、
かつて「ガールパワー」をコンセプトに
世界の音楽シーンに殴り込みをかけた
女性では珍しいステータスが攻撃偏重のグループだ。

彼女達の鮮烈なデビュー曲がこちらの『Wannabe』である。
もう今から23年前の曲である。当時小学生だった俺は
リアルタイムでこれを聴いた記憶は無いんだけど、
後年一時期流行った洋楽コンピでこの曲を知った。


最初にこの曲を聴いたときはとにかくビビった。
いきなり勢いよくまくしたててくるあのボーカル。
こちらの心の準備おかまいなしに次々と耳に飛び込んでくる。

それはまるで大阪のオバチャンだった。
大阪のオバチャンの実態は知らんけど、
無駄にパワーが有り余っているあの感じ。

そう、それまでのガールズグループにはない刺激があったのだ。
まさにスパイスなガールズ。そしてこの曲は世界中でヒットし
これに続くアルバム『SPICE』は世界で3000万枚のメガヒット。
新世代の超強力ガールズユニットは一躍スターダムに躍り出た。


しかしこの曲はそのパワフルさだけが見どころではない。
サビではふと穏やかになって繊細な歌声を聴かせてくるのだ。
それまで大阪のオバチャンだった彼女達が
突如キュンとした表情を見せる。この落差がまた憎い。

それまで傲慢だった女の子たちが、
ちょっと優しい雰囲気を出してくるのがサビの部分だ。
しかしそれでもホントの本音はなかなか見せてくれない彼女達。
なんと緻密に計算されたあざとい曲なんだろうか。


そしてこのパターンは同時に日本にも輸入されたように思う。
ちょうど90年代後半から「元気なガールズグループ」が
日本でも台頭し始めた。女性歌手像に新たな風が吹き始めたのだ。

女の子だってもっとはっちゃけたっていいんだ!
という想いが世界的に噴出するタイミングだったのかもしれない。


だけどねぇ、あんまり言いたくはないんだけど
やっぱり日本人女性ではこの『Wannabe』クラスの攻撃力を出すのは
無理があるんじゃないかと思ったりもするんよね。

それは日本人の体格が華奢である事もだし、
日本語でこのパワフルなグルーヴを生み出すのは至難の業なのだ。
この曲は英語というアクセント重視の言語だからこそ
活き活きと曲にボーカルが乗るのであって日本語だとそれが厳しい。

だからこの曲に対抗できる日本人はもう本当にマジで
大阪のオバチャンしかいないと思う。
大阪のオバチャンが大阪弁で一気にまくしたてる、
そんなオバチャン・パワーの曲があればきっと世界で勝てるだろう。


さて真面目な話、彼女達が当時活躍できたのは
スパイスガールズが時代背景から見て
「カウンター的存在」だったからだったんじゃないかと考える。

80年代のマッチョで華やかだった音楽文化も
ベルリンの壁の崩壊や冷戦終結と共に衰退し、
90年代は退廃的でオルタナティブな音楽が流行り出す。
ちょっとインテリっぽい音楽が持て囃されたわけだ。

そんな音楽シーンでスパイス・ガールズの登場は
まさにカウンターだったと思うし、
だからこそ一時代を築き上げたわけである。


ちなみに彼女達は2012年のロンドン五輪閉会式でも
一夜限りの再結成をしておりました。
その際も会場は大盛り上がり。やっぱ世界的アーティストって凄い。




そんなスパイス・ガールズがまた表舞台に立つ。
ヴィクトリア・ベッカムは参加しないそうで、
なんか色々コメントしてるみたいだけど。


なぜ、この今の時代に彼女達はそう決めたのか。

真意は分からないけれども、
でも世界的に女性の活躍が注目される時代になって、
Metoo運動などを経て女性の声が大きくなっているタイミングだ。

それに音楽的にもまたインテリっぽい小難しいのが流行ってるし、
再び「力強いガールズ」たちの登場を世間は待っているのかもしれない。
再結成したスパイス・ガールズが新曲を出すのかは分からないが、
それでも今彼女たちが活動を再開した事に何かの意図はあるだろう。


そして日本も最近は何かと女性だのフェミニズムなどの話題が盛んだ。
あの界隈の話題は下手な事言うと火傷しそうなんで
正直なんかもうあんまり言及したくない空気ではあるんだけど、
それでも日本はやっぱり女性が活躍しにくい国だと俺も思う。

だから是非とも日本でもまたガールパワーが炸裂し、
カウンターとなるような動きが起こればいいなと思っています。

そうですね、日本人なら
サイサイの『GIRLS POWER』でも聴きましょうね。


2019年、ガールパワーに刮目せよ。


【採点】
・強力ガールパワー 40点
・永遠のガールズ  20点
・時代のカウンター 10点
・サビではキュン   5点
75点