脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】ゴールデンボンバー / ガガガガガガガ [2019]


トクサツジョシノキモチ


色んな事が立て込んで体調不良とかでダウンして
気づけばもう3月になってしまって
嵐のチケットに落選したりしてなんか色々ありました。

俺は忙しいのは嫌いじゃないし
やりたい事が沢山ある事は幸せだと思うんだけど、
最近ちょっと気張り過ぎましたかね。皆さんどうでしょう。


さて、そんな大変な日々に潤いを与えてくれるのは
やっぱりリアルタイムなコンテンツってわけだ。

昔っから誰にもあったはずだ。
「今日はこのテレビの放送日だ!楽しみ!」みたいな
ちょっとした楽しみを見つけて毎日を過ごした事が。

今や動画やラジオの生配信もネットでやっている時代。
きっと誰もが何かしら進行形の楽しみを持って日々を乗り切っている。
みんな心の支えとなる何かをきっと求めながら生きているのだ。


というわけで最近の俺の毎週の楽しみだったのが
NHKドラマ10の「トクサツガガガ」だった。



このドラマの主人公の日々の生活の楽しみは特撮
特撮オタクのOLがオタクを隠しながら頑張る日常を描くドラマだった。
先日最終回を迎えた。あかん、俺の日々の楽しみが減ってしまった。

ちなみにこの作品は漫画原作。
昔試し読みでチラッと漫画を読んだ事があって、
以来気になってはいたものの未だちゃんと読めていない。

ドラマは終わったがこちらはまだ連載中なので、
いつかガッツリ読んでみたいところだ。

ちなみに俺はドラマが始まる前まで、
『トクサツガガガ』を発語する場合のアクセントについて
ずっと森繫久彌と同じと思っていたらなんと山口百恵と同じだった。
この手のアクセントって誰が決めてんだ。あと例えがじじいですまん。


この作品の主人公、仲村叶の日々の心の支えは特撮なんだけど
彼女にとっての特撮は日々の心の支えというよりも人生訓に近い。
特撮から学んだ事を思い出しながら様々な問題に立ち向かっていくのだ。

そしてドラマの最終回のクライマックスは「親との和解」だった。
女の子が特撮に興味を持つという事を理解できない母親との対立が
ストーリーの1つの軸となっておりその困難さも描かれている。


周りからは理解されづらいオタクノキモチの葛藤という題材自体は
2000年代以降は頻繁に扱われているテーマではある。
特に『電車男』がヒットしてからはちょっと供給過多な気もする。

だから個人的にはこの手のオタクが理解されない事を自虐的に扱う系は
気分的には前時代的だし、もしかしたらオタクのイメージの再生産に
繋がるんじゃないかと思う事もある。あと俺自身が職場でもどこでも
隠れる事もなくオタク的な発言をしている方なので共感し辛いのもある。

しかしトクサツガガガは「働く女性の特撮オタク」という
かなりフォーカスされた設定であり社会との連続性が強いのも特徴だ。
特に親との対立の描写はオタク的なものに対する世代間のギャップや
ジェンダー的な話にまで発展性があるのでより現代的とも言える。


あとドラマ内の特撮パートもめちゃしっかり作ってあったし、
最終回は特撮のレジェンドが登場したりして凄い盛り上がった。
あと木南晴夏いいよね。今回もキャラが立っててバッチリだった。


そしてこちらの曲もドラマを盛り上げてくれた。
ゴールデンボンバーの『ガガガガガガガ』だ。

タイトルを考える事を放棄したようなタイトル。
トクサツガガガの主題歌である事を知らない人が目にすると
このガガガの文字列がなんなのか意味不明な状態となる。


しかしこのジャケット。



やっぱこうなりますよね
特撮のイメージってこうだもんね、うん。
期待通りの仕事をしっかりこなすのがゴールデンボンバーなのだ。


そして曲も勿論しっかり期待通りの仕事をこなしている。

この曲は作中に登場する特撮番組『獅風怒闘ジュウショウワン』の
テーマにもなっており、懐かしき特撮番組風の曲調となっている。
ちゃんと番組の内容にしっかり寄せてくるのが職人:鬼龍院翔だ。

それにどうもこの曲、鬼龍院翔の得意分野っぽい感じがするんよね。
大ヒット曲『女々しくて』をはじめ、昭和歌謡のノリとJ-POPを
いい感じにミックスさせてくるのはキリショーの特殊能力なのだ。

何よりキリショーの声に昭和的な艶やかさがあるので、
おそらく本人もそれを分かった上で曲を作っているのだろう。
だからこの『ガガガガガガガ』は結果的に様々な要件がマッチしており
ゴールデンボンバーの起用はナイスチョイスだったと言える。



そして考えてなさそうに思えたタイトルの『ガガガガガガガ』も、
歌詞をちゃんと眺めてみると答えが見えてくるのである。

このドラマは、なかなか好きなものを好きと言えない主人公の悩みを
時におかしく時に真面目に我々に示してくれたわけだが、
この曲はその「好きって言いたいのに言えない」気持ちを歌っている。

僕を異常と言うのなら 何が正解と問いたくなる
きっと和解は出来ないから 逃げ避け生きてるよ

別に迷惑かけてないのに
but!but!but! ガ!ガ!ガ! However!! 言えない!


つまりこの「ガ」はしかしの意味の接続詞としての「ガ」なのだ。

好きって言いたい、「が」、言えない。
これまでも切ない曲を量産しているゴールデンボンバーらしい歌詞だし、
ちゃんと番組の内容にもしっかり寄せている秀逸な曲なのである。

しかし惜しいかな、MVがやたらコメディタッチになっていて
歌詞との関連性があまり感じられないのがちょっと残念。
なんか変質者出てくるし。面白いMVではあるけどね。


ドラマ主題歌が売れる時代では無くなってしまったけど、
NHKのドラマはオーダーがとても上手いと思います。
次の朝ドラ曲はスピッツだしそっちもかなり期待しているところ。
あ、サチモスの件は触れるな。あと言っとくけど俺は好きだぞ。

しかしこれでゴールデンボンバーも、
NHKドラマの主題歌を担当したアーティストになったわけだ。

…という事は金爆、年末紅白出場する?


そして俺は次なる楽しみをまた探します。
つーか『トクサツガガガ』のドラマ、続編やって欲しいな。


【採点】
・日々の生活に楽しみを  30点
・特撮女子のお気持ちを  30点
・久々の紅白出場を    10点
・アクセントは誰が決める -2点
68点