脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Song】スピッツ / ロビンソン [1995]


ルララ 時代の風に乗る。


年内には達成するだろうと言われてはいたけど予想以上に早かった…

スピッツの『ロビンソン』がYoutube再生1億回を突破した!
おめでとう!!
これは90年代に発表された邦楽の中では史上初となる快挙!!!

www.excite.co.jp


ああー記念すべき1億回目を踏みたかったなぁ…
平日の昼間に突破したみたいでさすがに無理だったわ。


スピッツ好きのワタクシとしても実に嬉しいニュースであり、
こういう話を聴くとまたスピッツが聴きたくなるわけですね。
来月のアルバムが楽しみだ。ああ、まだ予約して無かったわ。

そんなわけでニューアルバムも待ち遠しいスピッツ。
『ロビンソン』が再生1億回を突破というのは、
よくよく考えるとやっぱ凄いよね。

だってMV観てごらん?意味不明なモノクロ映像でしょ?
こんなの絶対に映像観たさで観られてないやん?
シンプルに音楽だけ聴きたいって人が再生してるでしょ?
そこが凄いところ。馬鹿にしてません。決して馬鹿にしてませんよ。


しかし冗談抜きで90年代の曲が令和の時代になって
こんな快挙を成し遂げるというのは本当に珍しい話で、
『ロビンソン』がいかに長く聴き続けられきた、
そして聴き続けられていく曲だという事かが分かって戴けると思う。

『ロビンソン』は最近何かに起用されたとか言うわけでも無く、
一過性のブームではない日本に根差した素晴らしい曲という事だ。
俺は簡単に”名曲”なんて単語は使いたくないんだけど、
こんなに愛されている『ロビンソン』は間違いなく名曲だと言える。


じゃあ『ロビンソン』以外のスピッツの曲はどうなのかと言うと、
『チェリー』が6600万回、『空も飛べるはず』が5700万回と
やっぱり有名シングル曲でちゃんと売れた順に再生数が高い。

しかし次は『楓』や『春の歌』といった
アルバムからのシングルカット曲の再生数が高くて、
スピッツ好きのワタクシとしましてはニヤリとするポイントです。



まぁそれはそれでいいんですけど、
今最も話題になっている”べき”であろう
朝ドラの主題歌『優しいあの子』が340万回って少なくない!?



そりゃ340万回でも十分な再生数なんかもしれんけど、
『ロビンソン』とのギャップがちょっと大きすぎるなぁ。

あと草野マサムネのビジュアルもロビンソン期と比べると、
やっぱり老けた感じがする?おっと、こんな事言うと
マサムネファンに刺されそうだ…。マサムネファンはガチだから…。


さて、肝心の『ロビンソン』についてだけど
有名な曲故に既に語られまくっているので
俺がここで何を言っても余談にしかならない曲なわけだが、
とりわけ有名なのはこの曲は当初「売れない」と言われていた事かな。

正確には草野自身がこの曲を「地味で売れない」と言っており、
むしろカップリングの『俺のすべて』の方が好きだったらしいのだ。
『俺のすべて』も悪い曲では無いがさすがにそれは俺もどうかと思うぞ。

まぁ最終的には『ロビンソン』がA面で発売され大ヒットしたわけだが
下手したら草野の判断で歴史が変わっていた可能性があると思うと
なかなかゾッとするエピソードである。


この曲は大したPRもされず大きなタイアップも無かったものの
じわじわと売れ続けオリコン最高位4位ながらロングヒットを記録。
オリコン史上TOP3に入っていない曲の中での最大ヒット曲らしい。

当時はほぼ無名で「ロビンソンというバンドのスピッツと言う曲」
みたいに思われていたなんて話もあるが、
結果的にこの曲の大ヒットにより以降のスピッツの活躍があった。

しかし草野自身は
「なぜあんなに売れたのか分からない」とずっと思っているようだ。
マサムネさん、再生1億という結果から分かって下さいよ。
それだけこの曲が日本人の心に刺さったという事です。


この曲の何がそんなに魅力的なのかという説明は難しいが、
まずはやっぱりイントロのギターのアルペジオ。
この入り方はいつ聴いても完璧すぎる。

『ロビンソン』が時代を超えて愛される理由の一つは
俺はあのギターにあると言っても過言では無いと思う。
切なくて優しくて浮遊感のある隙のない発明品だ。


しかし切ないギターの入りと相反するように
曲の進行は思った以上にリズミカルなんだよね。
ドラミングはあの有名なウィンストンズのアーメンブレイクっぽい。



世界で最も有名な6秒間として知られているドラムのリズムで、
音楽関連の訴訟の一つの目安と言われる6秒間の由来ともされる
ウィンストンズが開発したドラム進行、アーメンブレイク。

『ロビンソン』が悲しすぎない独特の浮遊感を感じさせるのは
テンポよく刻まれるあのアーメンブレイクのようなドラムにある。
ギターは泣けるんだけどリズムはポップ。そしてマサムネの声。
これらの組み合わせによって『ロビンソン』は独特の味を出している。


またこの曲は意外にも間奏・Cメロに当たる部分が無いのだ。
2番のサビ後にもう一度サビが繰り返されて終わる構成の曲で、
それなのに長すぎず短すぎない4分20秒くらいの程よい長さ。

確かにあそこで間奏に入るとやや大げさになって
冗長化してしまいそうな感じはする。
うまい具合に絶妙なバランスの中で纏まった理想的な構成と言える。


勿論、その魅力的な歌詞にも注目したい。

スピッツの歌詞は良く議論を巻き起こすし、
正直誰もマサムネの本当のキモチなんぞ理解出来ないんだろうけど、
その曖昧さがまたとてつもなく綺麗でたまらないんだよな~。

ロビンソンももう気分的には数億回と聴いたであろう俺は
歌詞も暗唱できるレベルで覚えているんだけど、
未だに何のことを歌っているのか良く分からんのである。

だが良く言われている通り「死後の世界」を歌った曲って事は
雰囲気的にもなんとなく感じ取れるのではないだろうか。

1番では

新しい季節は なぜかせつない日々で
河原の道を自転車で 走る君を追いかけた
思い出のレコードと 大げさなエピソードを
疲れた肩にぶらさげて しかめつら まぶしそうに

と青春時代の1ページを想起させるような描写だが、
CD全盛期の90年代でレコードという単語が出てくるという事は、
この場面はそりよりももっと前の時代を描いていると思われる。

対して2番の

待ち伏せた夢のほとり 驚いた君の瞳
そして僕ら今ここで 生まれ変わるよ

では三途の川のほとりで出会ったかのような描写になっている。
青春時代から死後の世界までずっと二人だけの国を想っていた、
そんなぶっとんだ世界がこのロビンソンの歌詞からは感じられる。

サビを締める

ルララ 宇宙の風に乗る 

からもこの曲がぶっとんだ世界を示しているのが分かる。
視点が身近なところから宇宙まで広がっていくのもまた
このロビンソンの歌詞で注目すべき秀逸な点である。


しかしタイトルの『ロビンソン』については
実はテキトーにつけられた曲名で、
確か台湾のお店の名前かなんかを見てその場で考えたとか
そんないい加減な感じだった。

今となってはもう『ロビンソン』でしかあり得ないくらいに
ハマった曲名になっているのだが、
それもまた多くの人がこの曲を支持してきた結果なんだろうな。



そういえば死んだ俺のばあちゃんも
俺の影響でスピッツが好きになって
ライブに行きたいとか言ってたなぁ。

さすがに一緒にライブは行けなかったけど、
俺が死んだらきっと三途の川のほとりで待ち伏せてるんだろうな。

時代も世代も超えて聴かれる名曲。
むしろ時代がやっとスピッツに今頃追い付いてきたとも言えるのか。
この勢いでスピッツの他の曲もきっともっと注目されていくんだろう。

そして『チェリー』が一億回に到達するときは…

俺が一億回目を踏んでやるぜっ!


【採点】
・一億再生おめでとう  30点
・時代を超える名曲   30点
・完璧なまでの構成   20点
・マサムネの危うい判断 -2点
88点