脱R論

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アンネの日記の完全版と著作権の話とか

世界を揺るがし続ける一人の少女。

アンネの日記 増補新訂版
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アンネの日記著作権が切れるかどうかで話題だ。

⇒「アンネの日記」が著作権切れで無料公開へ、アンネ・フランク財団は「法的措置を取る」と警告 

既に切れたとしてインターネットで一般公開されているようだが、
今後の動向は気になるところだ。

そこで今回はちょっとアンネの日記著作権の話でもしてみる。


海外の著作権の期間は著者没後70年間がスタンダードである。
思えば戦後70年経ったという事は、
アンネがナチスの収容所で命を落としてからも70年経過したという事だ。
今回の騒動はそんな事も思い出させてくれたのだ。

さて、そんなアンネの日記についてなのだが
いわゆる小学校の図書室に置いてあるような「一般的なアンネの日記」と
完全版のアンネの日記」の二種類がある事はそれなりに有名な話だ。


アンネの日記ユダヤ人であったアンネの一家が
ナチスからの迫害から逃れるため隠れ家生活していた期間に記した日記を
戦後にアンネの家族の中で唯一生き残った父が書籍化したものであるが、
その内容は実際にはかなり編集されていた。

ここが今回著作権で揉めている大きな要因の一つでもあるのだが、
父の意向で編集で大幅にカットされた内容が存在したのだ。
争いから身を隠して慎ましく過ごした純真な少女という
一般的なアンネの日記はある意味では虚構なのだ。
みんなが幼き日に見たアンネは幻だったのだ。俺も騙されていたよ。


最初のアンネの日記の出版後に
検閲があったのではという批判が生まれた。誰だか知らないが鋭い。
年頃の娘がこんな綺麗な日記など書くわけないとでも思ったのか。

そんなわけでカットされた内容も含めた完全版のアンネの日記
40年くらい経ってから増補版として出版される事となる。
これがまた衝撃的な内容だったのだ。

そこには「母への悪口」「知人の悪口」「性の目覚め」
ひいては「ユダヤ人としての民族的な目覚め」まで、
実に生々しい思春期の少女の姿が描かれていたのだ。
あの純真なアンネではない。しかしそのリアルさこそが大事である。

アンネも思春期の女の子の一人だ。
教室でギャーギャー騒いでいる日本の女子高生と構成要素は同じだ。
失礼な例えかもしれないが、その同世代の女子なら分かるであろう
等身大な彼女の姿こそが真のアンネ・フランクの姿なのだ。


今回公開されたアンネの日記が完全版かどうかは定かではないが、
個人的にはどちらかと言えば完全版であって欲しい。


アンネの日記は世界で3000万部も売れた大大大ベストセラーだ。
しかし、アラブ系の地域ではこの日記の存在はあまり知られていないらしい。

ユダヤ国家であるイスラエルがどれだけ周辺に攻撃的になっても、
国際社会(主に白人社会)がイスラエルに対してあまり強く出れないのは、
ユダヤ人が迫害されてどんな想いでいたのかという可愛そうな実態が
このアンネの日記によって広く知れ渡ったからだという説もあるくらいだ。

ただアラブ系のこの辺の事情を理解していない人にとっては、
なぜイスラエルが国際的に認めらているのかはかなり疑問なんじゃないかな。
今回の日記公開を機にアラブ系の多くの人がこの日記を読む事に繋がれば、
多少はその疑問が解けるんじゃなかろうか。


当然ながら迫害されて悲惨な目にあった人種はユダヤ人だけではない。
しかしながら結果的にこのアンネの日記が広まった事で、
ユダヤ人の悲しき事実が浮き彫りになり国際世論にまで作用したのだ。

そういった意味でこの日記はプロパガンダ的だと言われる事もあるが、
ユダヤ人に限らず人種差別の悲しさを物語る重要な資料である事は揺るがない。
そんな日記が著作権が終わり公共財となる事の意義は非常に大きいのだ。


日記の著者としてのアンネが亡くなってからは確かに70年が経過した。
しかしそれを編纂して出版した父もまた著作権保有者だという考え方が
アンネ・フランク財団の主張だそうだ。

俺も詳しい事情は知らないものの、
なんとなくだが財団からは利権を手放したくないという意識を感じる。

正直このような歴史的な著書は広く読まれるべきだと思うし、
というか今でも図書館に行けば無料で誰だって読めるのだ。
今更公共財となったところで我々の意識は大差無いと考えられる。

そして出版した父にも著作権があるというのなら、
極力編集がされていない完全版のアンネの日記を公開するならばどうか。
そうすればアンネの死後70年という論拠が強くなる。
その場合どこからを著作物として認めるのかという話になりそうではあるけど。


ちなみにこの国際的なスタンダードである著作者没後70年という
著作権の有効期間はTPPによって日本にも波及する可能性がある。

個人的にはTPPで関税撤廃が進むのは歓迎したいところだが、
著作権はこの関税の部分と切り離して論じる事は出来なかったのか気になる。

現在日本では著作者没後50年までが著作権の適用期間だ。
これはどうやら芸術作品は後年評価される事もあるため、
作者の家族、特に子供がある程度成長する期間まで考慮した形だとか。
これを海外では孫の代まで広げているので70年だそうだ。

しかし俺の感覚からするとちょっと長い。
完全に主観ではあるが許しておくれ。

先程も述べたように優れた内容の作品が広く知られるメリットに加え、
創作活動には過去の名作を参照したり時には露骨にパクったりして
そこから新しい価値に気付かされるケースもあるのだ。
著作物を早い時期に開放するのはそういった効果も期待できるわけよ。

勿論今回の著作権関連の国際基準化の話は
海賊版のようなコピー製品の氾濫を抑止する制度等も含んでいて
セットで検討された内容なので個別の調整が難しいんだろうな。
海賊版の撲滅はそりゃ俺もやるべきだろうと思うし。

しかしここはやはり日本独自の線を貫けないものか。
「我が国は創作活動が自由です!」という地方自治的な主張により、
貪欲なクリエイター達を呼び込めるような国に出来ないかな。


著作権という問題はまだまだ発展途上なのだ。
グローバル化が進み多国籍の人々の共作が増えればまた複雑化するし、
AIが曲作ったりする時代だ。この問題に終わりはまだ見えない。

アンネの日記著作権
戦後70年で再認識された問題だった。

俺もそのうち日記でも始めようかな。
今日食ったコンビニの新商品の感想とかで。

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