脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】Rage Against The Machine / Rage Against The Machine [1992]

なんだか色々強烈。

Rage Against the Machine Rage Against the Machine
Rage Against The Machine

曲名リスト
1. Bombtrack
2. Killing In The Name
3. Take The Power Back
4. Settle For Nothing
5. Bullet In The Head
6. Know Your Enemy
7. Wake Up
8. Fistful Of Steel
9. Township Rebellion
10. Freedom

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90年代のロックシーンはオルタナ・グランジの流れとは別に、
ラップメタル、ニューメタル系の流れがある。

ラップメタルは90年代後半から勢いを増していく勢力なのだが、
その萌芽はこのアルバムから既に芽生え始めていたのだ。


重厚で殺傷力のあるギターが織りなすグルーブに、
強烈な政治的メッセージを込めたラップで一躍注目を集めた、
Rage Against The Machineのデビューアルバムだ。

その鮮烈な印象から、当時はレコード会社が争奪戦を繰り広げたらしい。
なんて人気者なんだレイジ。
奴らはきっと俺らロック少年のモテ期を奪っているに違いない。
モテ期がこないロック少年はレイジを怨もうぜ。


あと実は俺は彼らのサウンドについてはちょっと苦手だ。
どちらかというと彼らと敵対したリンプビズキッドの音の方が好きだ。
レイジの音に独自性と革新性があった事は勿論分かるが、
まあこればっかりは好みの問題なので難しい。
そのうち分かるようになるのかもしれないが。

しかしまぁこのジャケットはまた強烈だ。
ちょっと分かりにくいが、これはベトナム戦争時に
ベトナム僧侶がアメリカ大使館前で行った抗議の焼身自殺の写真だ。

当時の南ベトナムはアメリカのいいなりであり、
仏教徒への差別政策を進めていたらしい。
それをジャケットに選ぶ事からも彼らの政治的な姿勢が伺える。


そもそもレイジの思想はラップ系によくある左派的思想なのだが、
このアルバムが出た1992年はソ連が崩壊した直後であり
共産圏は事実上敗北していた状態だ。

そして左派の多くは共産主義に親和性があるので、
(レイジは良くチェゲバラのグッズを売っていたそうだ)
彼らはまさに時代に対して明確に抗っていたともいえる。
さすが「機械(アメリカで言う政治システム)に対する怒り」のバンド名だ。


しかしそんな西側諸国が勝利したタイミングでも
彼らが支持を得た事にはやはりそれなりの理由がある。
冷戦に勝利しても拭えなていない社会の影の部分があったからだ。

例えばアメリカの人種差別は根強く、
米ソの対立が弱まったとしても人種差別は続いている。

彼らの曲にはそういった人種差別を批判した歌詞があり、
その歌詞を強烈に歌い上げる姿に魅力を感じた人は多いだろう。

ただ当然アメリカだけの問題ではない事柄もあるのだが、
アメリカ人である彼らが発する事自体が十分刺激的であったため、
潜在的な反米勢力からの圧倒的な支持を得る事になったのだ。
それについては方向性として非常に内向きなので、
個人的にはあまり好まれた傾向ではないのだが…。


まあしかし冷戦に勝利しても尚残り続けるアメリカの歪、
終わりのない疑問点を音楽を通してぶつけた事は、
後進のアーティストにとっても一つのフォーマットとなった。

そういった意味でもこの強烈なアルバムが売れた事には
単なる音楽性だけに留まらない大きな意味があったのだ。

またラップという手法は
通常の曲よりも大量の歌詞を乗せる事ができるため、
彼らのようなスタイルにはうってつけだったとも言える。

そして英語のラップを聴きながら歌詞が理解できる程の
堪能な英語力を持ち合わせていない俺は、
タモリ倶楽部空耳アワーでこのアルバムにも収録されている
『Killing In The Name』が「ナゲット割って父ちゃん」に聴こえる
というネタで、深く頷いてしまったのである。

というかもう、そうとしか聴こえなくなったよ…


【採点】
・ラップメタルの先駆者 20点
・強烈なジャケット   20点
・強烈なメッセージ性  20点
・強烈な空耳アワー    5点
65点