脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

1991年の洋楽、いくらなんでもやりすぎ説


「歌は世につれ、世は歌につれ」

NECA カート・コバーン 7インチ アクションフィギュア
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2016年もそろそろ終わり。
年賀状書きましたか?俺はまだ書いてねぇ。面倒だぁ。
スーパーの特売焼き鳥を撮って印刷して終わろうかな。

さて、ちょっと前、俺は今年はビートルズ来日50年という記事を書いた。

50年前が音楽史においていかに重要な年だったか、
これを読んで戴ければそれなりに納得して貰えるのではないかと思う。

そして今回は1991年の話をしよう。
ちょうどビートルズ来日から25年後、そして今年から遡る事25年の年だ。
実はこの25年前も恐るべき年だったのだ。

1991年ってヤバい。


1991年の社会的な出来事と言えば、やはり湾岸戦争ソ連崩壊だろう。
国力が下降する一方で改革真っ只中だったソ連と、
そんな東側陣営の親玉であるソ連のコントロールが効かなくなったイラク
そしてイラクは暴走してクウェートに侵攻して湾岸戦争が始まった。

そんな湾岸戦争はテレビで史上初めての同時生中継が行われた戦争である。
テレビに映される空爆の映像はさしずめゲーム画面にようだった事から、
この戦争は「Nintendo War」なんて呼ばれたりもした。

映像が伝えるリアルは世の中に「可視化」の流れを生み出すとと共に、
一方では事件をバーチャルな別世界の出来事のように映してしまうという
ジレンマもあった。俺はまだ保育園児で当時の様子は覚えちゃいないけど。


しかしそんな全く新たな時代の幕開けとなった1991年、
音楽も不穏な社会の動きの機微を捉えた名盤が数多く生まれた年だった。
日本でもバブル崩壊が始まり人々の意識も変わり始めていた頃だ。

特に英国米国は70年代の暗かった時代を経て
80年代はそれぞれサッチャーレーガンが登場して改革を断行、
そして90年代に経済的にも徐々に持ち直していく中で、
音楽もそれまでとはまるで違った新しい価値観を伴った作品が誕生した。

時代の変遷、過去との決別、社会情勢は文化面にも自然と滲み出てくる。
というわけでそんな新時代を感じさせる1991年の名作アルバムを
10作品選んでみた。ロック寄りだがそこは仕方ない。だって俺だもん。

1991年の名盤10選

ではでは、俺の独断と偏見で勝手に選んだ
1991年の10枚の名アルバムを発売日順に追っていくぞ。
♪うーぅ時間旅行のツアーは、いーかがいかがなもの♪

Dinosaur Jr 『Green Mind』
2月19日リリース

Green Mind Green Mind
Dinosaur Jr

曲名リスト
1. Wagon
2. Puke & Cry
3. Blowing It
4. I Live For That Look
5. Flying Cloud
6. How'd You Pin That One On Me
7. Water
8. Muck
9. Thumb
10. Green Mind
11. Hot Burrito #2
12. Turnip Farm
13. Forget It

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アメリカオルタナロックの雄、ダイナソーJrのメジャーデビュー作。
まずジャケットがたまらんよね。カッコカワイイ。
名作ジャケットの話題とかでもしょっちゅう名前が挙がる。

ちなみにこのジャケットは有名な写真家さんの写真集から拝借したらしい。
でも現代にこんなジャケットのアルバムが出たら問題になりそう。

曲は爽快ギターロック。重い感じではなく疾走感が売りだ。
80年代のピクシーズソニックユースのオルタナ源流を引継ぎながら、
類稀なるポップセンスと独特の歌唱スタイルで人気を獲得したバンド。
そんな彼らの若々しさに溢れたまさに『緑の心』の一枚だ。


R.E.M. 『Out of Time』
3月12日リリース

Out of Time Out of Time
R.E.M.

曲名リスト
1. Radio Song
2. Losing My Religion
3. Low
4. Near Wild Heaven
5. Endgame
6. Shiny Happy People
7. Belong
8. Half A World Away
9. Texarkana
10. Country Feedback
11. Me In Honey

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こちらもアメリカオルタナの大御所、アールイーエムの大出世作
1200万枚くらい売れたんだっけか?
あの人気曲『Losing My Religion』が収録されている。

オルタナティブ・ロックって言うとかなり広義になるので難しいけど、
コレは綺麗なオルタナロック。ちょっと哀愁が漂うセンチな感じ。
今聴くとそこまで新鮮さはないかもしれないが、
逆に言うと彼らがそれ以降のスタンダードになったと言う事だ。

数々の賞を受賞して紛れもない90年代を代表する一枚なんだけど、
個人的には次作の『Automatic For The People』の方が好きだったりする。


MetallicaMetallica
8月12日リリース

Metallica Metallica
Metallica

曲名リスト
1. Enter Sandman
2. Sad But True
3. Holier Than Thou
4. The Unforgiven
5. Wherever I May Roam
6. Don't Tread On Me
7. Through The Never
8. Nothing Else Matters
9. Of Wolf And Man
10. The God That Failed
11. My Friend Of Misery
12. The Struggle Within

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大人気ヘヴィメタルバンドのメタリカのメガヒット作だ。
こちらは3000万枚という売上を記録しており、
彼らの代表曲『Enter Sandman』も収録されている。

アルバム名はバンド名を冠したセルフタイトル『Metallica 』であり、
黒い背景に蛇が描かれているだけのシンプルなジャケットから
通称ブラック・アルバムと呼ばれている。

それまでの80年代のメタリカとは趣を変え、
スピード感よりもグルーヴ感重視となった意欲作だ。
時代の潮目が変わりつつあった時期に自らのスタイルを見事に変貌させた。
こういった変化の判断を下せるのって凄いなって思う。


Pearl Jam 『Ten』
8月27日リリース

Ten Ten
Pearl Jam

曲名リスト
1. Once
2. Evenflow
3. Alive
4. Why Go
5. Black
6. Jeremy
7. Oceans
8. Porch
9. Garden
10. Deep
11. Release

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こちらも90年代オルタナティブ・ロックのエース、
パール・ジャムのデビューアルバムだ。

オルタナではあるけれど、この後登場するニルヴァーナと同じく
グランジと呼ばれる分類にカテゴライズされる。
ただパール・ジャムはどちらかというとハードロック寄りかな。

発売当時はそんなに売れなかったらしいけど、
これも後述のニルヴァーナの台頭によって後々注目が集まり、
結果的には1000万枚を超えるメガヒット作となった。
そういった意味ではまさに時代を先取りしていた一枚と言えるかも。


⑤Guns N' Rose 『Use Your Illusion I & Ⅱ』
9月16日リリース

USE YOUR ILLUSION 1 USE YOUR ILLUSION 1
GUNS N'ROSES

曲名リスト
1. Right Next Door To Hell
2. Dust N' Bones
3. Live And Let Die
4. Don't Cry (Original)
5. Perfect Crime
6. You Ain't The First
7. Bad Obsession
8. Back Off Bitch
9. Double Talkin' Jive
10. November Rain
11. The Garden
12. Garden Of Eden
13. Don't Damn Me
14. Bad Apples
15. Dead Horse
16. Coma

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USE YOUR ILLUSION 2 USE YOUR ILLUSION 2
GUNS N'ROSES

曲名リスト
1. Civil War
2. 14 Years
3. Yesterdays
4. Knockin' On Heaven's Door
5. Get In The Ring
6. Shotgun Blues
7. Breakdown
8. Pretty Tied Up
9. Locomotive (Complicity)
10. So Fine
11. Estranged
12. You Could Be Mine
13. Don't Cry (Alt. Lyrics)
14. My World

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LAメタルの末期に登場し、今やハードロックのアイコン的存在となった
ガンズアンドローゼズのアルバムだが、なんと2枚同時発売の作品だ。

だから正確には2枚でカウントすべきだけど、
これらは2枚で1作品みたいなもんだから1カウントにさせてくれ。
切り離して考える事は出来ない。北斗星司と南夕子。二人で一つだ。

前作『Appetite for Destruction』で鮮烈なデビューを放った彼らは、
2ndにも大いに注目が集まっている中でこの2枚同発という戦略を取り、
またしても世界を驚かした。合計で3000万枚のメガヒットとなる。

しかしLAメタルはこの年以降ニルヴァーナ等の台頭によって、
音楽ジャンルとしては人気が下降していく事になる。
そう考えるとこの2枚はLAメタル最後の花火だったのかも。


Primal Scream 『Screamadelica』
9月23日リリース

SCREAMADELICA SCREAMADELICA
PRIMAL SCREAM

曲名リスト
1. Movin' On Up
2. Slip Inside This House
3. Don't Fight It, Feel It
4. Higher Than The Sun
5. Inner Flight
6. Come Together
7. Loaded
8. Damaged
9. I'm Comin' Down
10. Higher Than The Sun (A Dub Symphony In Two Parts)
11. Shine Like Stars

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イギリスのロックバンド、プライマル・スクリーム出世作
正直俺はこのアルバムの良さがあまり良く分からないんだけど、
それでも世間的には有名な作品だから取り上げるしかない。畜生。

ロックバンドといいつつ彼らはハウスミュージック等を駆使して、
非常に多様なサウンドを鳴らす。このアルバムもロックと言われると、
10人中12人が「え?ロックじゃなくね?」と言うだろう。

「その音楽的な試みがロックだね」とかキザっぽい返しを喰らうと、
まぁ腹パンチし返したくなるが、でもまぁ確かにそういった融合音楽の
マイルストーン的な作品という意味では重要な一枚である。

あとこのアルバムを好んで聴いている人は総じてキザっぽい(俺統計)。


NirvanaNevermind
9月24日リリース

ネヴァーマインド Nevermind
Nirvana

曲名リスト
1. Smells Like Teen Spirit
2. In Bloom
3. Come As You Are
4. Breed
5. Lithium
6. Polly
7. Territorial Pissings
8. Drain You
9. Lounge Act
10. Stay Away
11. On A Plain
12. Something In The Way

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既に何回か名前が挙がってるが、ニルヴァーナのメガヒット作だ。
ロック好きには言わずもがなのアルバムで、
91年どころか音楽史全体を見ても抜群の影響力を誇っている一枚。

とにかくギターボーカルのカートのカリスマ性がヤバい。
この2年半後に自殺しちゃったのがまた彼を神格化している。
そんな話題もあって後年もこのアルバムは売れに売れ続けて、
現在はトータルで4000万枚くらい売れているらしい。

このインパクトのあるジャケットに加え、
Youtubeで4億5000万回を超える再生数となっているキラーチューン、
Smells Like Teen Spirit』を収録したまさに時代の転機的作品。
音楽好きは必携必聴の歴史的名盤である。


Red Hot Chili Peppers『Blood Sugar Sex Magik』
9月24日リリース

Blood Sugar Sex Magik Blood Sugar Sex Magik
Red Hot Chili Peppers

曲名リスト
1. The Power Of Equality
2. If You Have To Ask
3. Breaking The Girl
4. Funky Monks
5. Suck My Kiss
6. I Could Have Lied
7. Mellowship Slinky In B Major
8. Righteous and the Wicked, The
9. Give It Away
10. Blood Sugar Sex Magik
11. Under The Bridge
12. Naked In The Rain
13. Apache Rose Peacock
14. The Greeting Song
15. My Lovely Man
16. Sir Psycho Sexy
17. They're Red Hot

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レッチリと言えば日本人にもお馴染みのバンドだが、
どのアルバムが好きかは結構分かれるところ。
一般的にはグラミーでも話題となった最大のヒット作である1999年の
『Californication』なんだろうけど、個人的にはこのアルバムが好き。

少しゾッとするようなジャケット、そして17曲74分と言う長時間、
ファンクで跳ねたレッチリが存分に楽しめる一枚だ。
ロディアス路線の曲は少ないがその分ノリノリなのが特徴的。

実質的にもレッチリを世界的バンドに押し上げた一枚であり、
確か売上も『Californication』に次ぐ1200万枚くらいあったと思う。
もっと注目されてもいいんじゃないかと思うアルバム。


My Bloody ValentineLoveless
11月4日リリース

Loveless Loveless
My Bloody Valentine

曲名リスト
1. Only Shallow
2. Loomer
3. Touched
4. To Here Knows When
5. When You Sleep
6. I Only Said
7. Come In Alone
8. Sometimes
9. Blown A Wish
10. What You Want
11. Soon

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シューゲイザーという中学イケてない人間専用の音楽ジャンルを
世間に示しつけたマイブラの金字塔的作品。
シューゲイザーとは「靴を見つめる人」という意味だ。ほらイケてない。

ノイズが散りばめられ不穏に響くそのサウンドは、
ご高齢の方が聴いたら発狂してのたうち回るか心拍数が跳ね上がるか
とにかく良い事一つもない。俺は大好きだけど。

鼓膜をジリジリと刺激する歪んだ音を聴かせてくるので、
有名な作品だけど実際にはちょっと一般受けはしない音楽性。
俺の後輩に聴かせたら「良くこんなの聴けますね」だって。うるせー。
しかし評論家筋からは高評価で革新的な名盤という地位を確立した一枚だ。


U2『Achtung Baby』
11月18日リリース

Achtung Baby Achtung Baby
U2

曲名リスト
1. Zoo Station
2. Even Better Than The Real Thing
3. One
4. Until The End Of The World
5. Who's Gonna Ride Your Wild Horses
6. So Cruel
7. The Fly
8. Mysterious Ways
9. Tryin' To Throw Your Arms Around The World
10. Ultra Violet (Light My Way)
11. Acrobat
12. Love Is Blindness

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80年代には既に世界的なバンドになっていたU2
そんな彼らがそれまでのルーツ・ミュージック的なアプローチから一転、
電子的なビートを駆使して一気に時代の新機軸サウンドへと変貌した作品。

当然ながらこの変化に従来のファンは戸惑ったわけだが、
結果的にこのニュースタイルは功を奏し、1800万枚のメガヒットとなった。
トップミュージシャンが大胆な路線変更をするって凄い勇気だよね。

俺も実はU2のアルバムの中では未だにこの作品が一番好きだ。
U2のアルバムは大体が前半凄い良いのに後半失速するパターンなんだけど、
このアクトン・ベイビーに関してはアルバム全体を通してバランスが良い。
好きな曲も結構入ってるしお気に入りの一枚だ。

1991年、やっぱりやりすぎ。

いかがだったでしょうか。
振り返るとやっぱ凄いな1991年!特に9月はヤバい。

90年代に活躍したアーティストメインで10作品紹介したけど、
実は他にもマイケルジャクソンの『DANGEROUS』や、
クイーンのフレディ存命時のラストアルバム『Innuendo』も1991年だ。

しかしホントやりすぎだよねコレ。
俺はこの年にタイムトラベルしたらマジで面白そうだと思う。
本当に新しい時代の幕開けを感じるラインナップばかりである。


こうやって考えると1991年から今日までの25年間の変化って、
1991年までの25年間の変化と比べるとやっぱり物足りないなとは思う。
それは社会がある程度安定してきたからだという面もあるだろうけど。

しかしそんな中でも、これから先はどう転ぶか分からないのが面白い。
PPAPが世界的に流行る時代だぜ?面白い時代だとは思わんかね。
あれもインターネット社会が生んだ新たな潮流だ。
逆に1991年だったらこんな事はまず起こっていなかったわけだよ。

「歌は世につれ、世は歌につれ」と言う言葉があるが、
まさにその通りだと思う。歌に限らず文化ってのは時代を映し出す鏡だ。
単なる娯楽で片付けちゃ勿体ない!しっかり味わい存分に楽しもうぜ。

いつだって時代の流行は意外なところからやって来るもの。
来年もきっと何かが流行って世間をあっと驚かしてくれるはずだ。
そんな事を想像するとワクワクするじゃないですか?