脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】スピッツ / 醒めない [2016]


ロックの初心忘るべからず。

醒めない(通常盤) 醒めない(通常盤)
スピッツ

曲名リスト
1. 醒めない
2. みなと
3. 子グマ!子グマ!
4. コメット
5. ナサケモノ
6. グリーン
7. SJ
8. ハチの針
9. モニャモニャ
10. ガラクタ
11. ヒビスクス
12. ブチ
13. 雪風
14. こんにちは

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スピッツはいつもワクワクさせてくれる。
これだけキャリアが長いバンドなのに、
彼らの新作が出るときは未だにワクワクしちゃうのが凄い。

30過ぎた俺でもスピッツのアルバムを開封するときは
いつも子供のように目がキラキラ輝いている気がする。
子供がゲームソフトを開けるときのアレだ。なんて可愛いんだ俺。

スピッツの安定感はいつまでも老けない草野マサムネの声もだが、
歌詞もメロディも徐々に変化はしつつもスピッツらしさを失わない事だ。
安心して聴けるというのがスピッツの頼もしさではなかろうか。


そんなわけでスピッツの新作『醒めない』だ。
いつもジャケットが不思議な彼らだが今回もまた期待通りの不思議さだ。
この謎の生物は曲名にもなっている「モニャモニャ」という名前らしい。
あと彼らは良くジャケットにそこまで有名じゃない女優(失礼)を使う。

とにかく、このアルバムは一曲目の『醒めない』が素晴らしい!
素晴らしすぎる。俺はこの曲を聴いて涙が出そうになった。
というか多分出た。なんだろう、感極まって泣いたんだと思う。
もう50歳近いオッサン共がこんな曲を歌うなんて熱いじゃないか!

醒めないはスピッツの自己紹介ソングだ。そう、今更ながらの。
それがなんとも力強く、そして眩しいまでに輝いていたんだよ。

まだまだ醒めない アタマん中で ロック大陸の物語が
最初ガーンとなったあのメモリーに 今も温められてる

ロックの初期衝動からまだまだ醒めていない、
ギターを最初に手に取った時の少年のような気持ちが今も続いている、
そんな気持ちを長いキャリアを経た今改めて宣言しているわけだ。

そして2番のサビでは

任せろ 醒めないままで君に 切なくて楽しい時をあげたい

と、「今後もロックの夢から醒めないまま歌い続ける」という
今までのスピッツにはあまり見られなかったリスナーへの宣言まである。

少し切なくそしてサビでパッと開けるまさに珠玉の一曲である。
こんな曲で幕を開ける今回のアルバムはこの『醒めない』の通り、
全体的に若々しくスピッツの新章が始まるようなアルバムだ。

例えば『グリーン』。バンドサウンドの若さもそうだが、

コピペで作られた 流行りの愛の歌
お約束の上でだけ 楽しめる遊戯
唾吐いて みんなが大好きなもの 好きになれなかった

という攻撃的な歌詞!いいよいいよー。こういう毒は大好物だ。

そして前作『小さな生き物』のコンセプトに続いているのか、
生き物に絡んだ曲も多い気がする。最近のスピッツの趣向かな。
ただアレンジがやや凝っている。この辺りは亀田師匠の入れ知恵なのか。

タイアップ付きだった『コメット』や『ヒビスクス』も良い。
特に『ヒビスクス』は近年のUKロック風の曲で少し驚く。
一瞬スピッツかどうか迷ってしまうが、そこは草野マジックだ。
ちゃんとスピッツになる魔法にかけられている。キュアップ・ラパパ!

ただちょっと残念なのは曲順だ。
飽きないような構成を狙っているのかもしれないが逆に脈絡が無い。
特に明るめな『ガラクタ』『ブチ』の間に『ヒビスクス』は勿体ない!
『みなと』も2曲目じゃなく後半で良かったんじゃないかな…。
いい曲は多いのにその辺りが個人的に惜しい部分だった。

それでもまだまだスピッツはやれるんだと、
そんな意思を感じるアルバムではないかと思う。
ラストの『こんにちは』がスパッと終わるとこからもそんな余韻を感じる。

そういえば先日のどっかのテレビの企画で行われていた
10代男子が好きな男性グループランキングで
スピッツが7位にランクインしてて割とマジでビビったよ。

さすがにそれはなくね?と思う反面、
10代がスピッツを聴いてくれているのなら嬉しいという気持ちもある。

是非みんなスピッツ聴こうぜ!
そうすればみんなもれなく日陰者グループの仲間入りだ。
みんなで楽しく陰キャラライフを謳歌しよう。スピッツ万歳!

【採点】
スピッツ新章突入  40点
・まだまだ醒めない  40点
・いつまでも若い心で  5点
・いつまでも日陰者で -1点
84点