脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】aiko / aikoの詩。 [2019]


辛い日々に、aikoの詩。

aikoの詩。 aikoの詩。
aiko

曲名リスト
Disc.1
1.花火
2.KissHug
3.かばん
4.星のない世界
5.夢見る隙間
6.初恋
7.シアワセ
8.花風
9.ずっと
10.あした
11.雲は白リンゴは赤
12.プラマイ
13.戻れない明日
14.ストロー
Disc.2
1.えりあし
2.二人
3.もっと
4.今度までには
5.恋をしたのは
6.桜の時
7.向かいあわせ
8.milk
9.4月の雨
10.ロージー
11.キラキラ
12.ホーム
13.嘆きのキス
14.ボーイフレンド
Disc.3
1.あたしの向こう
2.ナキ・ムシ
3.予告
4.蝶々結び
5.スター
6.あなたと握手
7.アンドロメダ
8.横顔
9.恋のスーパーボール
10.おやすみなさい
11.君の隣
12.三国駅
13.Loveletter
14.カブトムシ
Disc.4
1.未来を拾いに
2.陽と陰
3.こんぺいとう
4.Do you think about me?
5.キスでおこして
6.そんな話
7.前ならえ。
8.どろぼう
9.テレビゲーム
10.ぬけがら
11.I’m feeling blue
12.ココア
13.舌打ち
14.甘い絨毯

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ここんとこ体調が思わしくなくて本当にキツかった…。
どーも服用中の抗がん剤が徐々に本気出してきたようで。
なんとか仕事は行けているけど休みの日はもうグッタリでして、
特に娘の相手をしてあげられないのが非常に申し訳ないと思う。

始めた最初の頃は殆ど副作用無かったんだけどねぇ、
じわじわとボディーブローのように辛くなってきました。
あとライブとかも暫く行けそうに無いってのもまた辛い…。

ナンバガのチケット落ちたけどどっちにしてもキツかっただろうな。
だから投薬が終わった後の12月のU2来日に行ってやろうかと画策中です。
こちらもチケットが大変厳しいみたいだけど…。


というわけで体調が優れなくて何もやる気が起きなかったわけだけど、
このグッタリしてた間にめちゃ色んなニュースが飛び出しまくり
本当にんどかったっすわ。京アニの件とか本気で泣きそうになった。
パンクの女王、パティ・スミスまで京アニの件に反応してるし。

amass.jp


あとDragon Ashも大丈夫か?今年のロッキンの大トリだけど…。


そしてそんな辛い時期ってね、聴く音楽も変わっちゃうのよね。
WANIMAとかゴメン、いつもなら全然聴けるんだけど今厳しくって。
バタバタした音楽が全体的に受け付けない精神状態になっている。

こんな状況にあるこんな俺が最近嗜むようになったのが…

aiko
だ。aikoの4枚組シングルコレクション『aikoの詩。』。
aikoの詩は今の俺には良く染み渡る。素晴らしい音楽だっ!




『ストロー』めっっっっちゃいいやん!!

君にいいことがあるように」ってめっちゃ言ってくれる。
aikoヤヴァイ。俺は決めた。薬と一緒にaikoも服用する。


これまで俺はaikoのリスナーと呼べる程に
彼女の曲を聴いていたわけではなかった。
初期のアルバムとあとベスト盤の『まとめⅠ』『まとめⅡ』を
聴いた事がある程度の知識だった。





でもなんだろう、aikoの曲のあの不思議なポップさを
彼女がブレイクした頃からリアルタイムで感じきてきたのもあって、
「教室にいる詳しくは知らないけど気になるあのコ」的な存在として
俺の心の中にずっといらっしゃったのだ。

だから今回のこのシングルコレクションをきっかけに、
初めてちゃんと気になるaikoと向き合ってみた次第なのである。


aikoと言えば宇多田ヒカル、浜崎あゆみ、椎名林檎やMISIAといった
いわゆる1998年デビュー組として有名だ。
この頃は女性アーティストが特に注目を集めていた時代でもあり、
特に同期の中でも椎名林檎とは仲が良いみたいね。

あと熱心なサザンオールスターズのファンとしても知られていて、
サザンの地元である茅ヶ崎で良くフリーライブを行っている。

そういやaikoのライブってめちゃ楽しいらしいやん。
確かに音楽番組に出演したときのaikoのパフォーマンス観ていると
楽しそうだなーとは思っていた。いつか誰か一緒に行ってくれー。
まだ今の俺には男一人でaikoのライブに行く覚悟が出来なくて…。


そんなaikoを知ったのやっぱ『花火』だったかなぁ。俺が中学生の頃。



ベタな感想だけど

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして

のインパクトの強さったら!
このセンス、今振り返ると後のガールズポップのお手本みたいだよね。


以降も『カブトムシ』や『桜の時』、『ボーイフレンド』などなど
中学生の時は結構aikoを聴いていたんだよなー。
『ボーイフレンド』はメロディの運び方といいアレンジといい
やっぱりスゲー曲だと思う。俺もカラオケで歌ってた気がする。


しかしaikoのあの音楽センスは
しっかり彼女の実力に裏打ちされたモノだと言える。

今回の『aikoの詩。』のアルバムジャケットにもあるように
彼女は小さい頃から音楽活動をやっており、
大学でも音楽を専門的に学んでコンテストでの受賞経験もアリ。

かねてから音楽好きからの評価や印象も高いアーティストだったし、
これまでにアルバムチャート1位も10作獲得している。
邦楽シーンにおいてaikoは確固たるポジションに君臨しているのだ。


このアルバムはシングルコレクションという扱いだが、
収録曲の時系列はバラバラである。

しかしこれだけの内容なのに敢えてベストを分けて販売したりせずに
一つのアルバムとして(しかも破格の値段で)提供してくるとは
aikoの懐デカすぎだろ。飛び込みたい。


収録曲の中で驚いたのはaikoデビュー曲の『あした』。
aikoの中でも唯一aiko本人ではない作曲の曲だそうで、
明らかに他の曲と雰囲気が異なっていた。



うーむ…聴いた事あったかなぁこの曲。少なくとも記憶には無い。

この曲自体は別に嫌いではないんだけど、
ただこのアルバムの中で聴くと明らかに浮いている曲だ。
歌詞はaikoが書いた曲ではあるけど全然別物の曲になっている。


しかし、今回シングル集という事で収録されたこの『あした』と
その他の曲とのコントラストによって結果的に「aikoらしさ」が
はっきりと見せつけられる結果になったとも言える。

aikoの歌詞の多くは手放しにハッピーって感じではないんだけど、
でもその圧倒的なポップセンスによってキュートさに覆われている。
つまりこの一見アンバランスで不安定にも捉えられてしまうスリル感
aikoのオリジナリティだったんだと気づかされるのである。

『あした』は歌詞と音楽がうまくリンクした曲であるんだけど、
でも故にaikoっぽさが薄い。aikoの曲にある絶妙なあのスリルは
やっぱりaikoが作ったものだったのだと改めて認識する。


あ、だから「あしたにはもう戻れない」って話!?



と言いつつ『あした』も結構ライブで歌われてはいるみたいだけどね。
 


しかしこのシングル集『aikoの詩。』、
4枚組なので通して聴くと正直めちゃくちゃ長いんだけど
意外に知ってる曲が多くて懐かしくもあった。

aikoは2000年代前半までくらいしかちゃんと追ってなかった俺だが、
実は聴いた事ある曲が沢山あった事に驚かされ
「ああ、俺が今まで生きてきた人生の傍にはaikoがいたんだなぁ~」
なんて思った。aikoの音楽は実は俺の日常に溶け込んでいたわけだ。



『キラキラ』とか『雲は白リンゴは赤』とか『向かい合わせ』とか
他にも「あ、聴いた事ある!」の喜びがいっぱいあった。
いいよね「あ、聴いた事ある!」の感覚。何歳になってもたまらん。

『向かい合わせ』のサビのメロディとかちゃんと聴くと凄い独特やね。
このしっかりポップスしてるんだけど捻ってある部分にaikoみがある。
分かってきたぞ。俺もaikoの事が少しずつ分かってきたぞ。


この『aikoの詩。』はカップリング曲もいくつか収録されていて、
『テレビゲーム』とか『舌打ち』とか知らなかったんだけど
なかなか面白くて楽しむ事が出来た。しかし「テレビゲーム」って
言い方はなんだかもう今となってはノスタルジーだねぇ。

思えばこのアルバムタイトルがaikoの「歌」ではなく「詩」なのは
単純に見た目が良いとかそういう話なのかもしれないけど、
aikoの曲って確かに「歌」じゃなくて「詩」って形容した方が
しっくりくるなと納得している。

より大衆的でかつ普遍的な「歌」という言葉に比べて、
「詩」はよりパーソナルで刹那的なイメージがある。
個人のある一時の感情をポエティックに表現するという意味で
aikoの楽曲はやっぱり「詩」なんだろう。


しかし「詩」でありながらもaikoの曲はとっても親しみやすいし、
彼女自身の事も何故かそんなに遠い存在とは思えない。
不思議だ。aikoの「詩」は俺らにとっての「詩」にも聞こえるのだ。

そんな詩を20年以上歌い続けたきたaikoが詰まった『aikoの詩。』

「。」という句点がついているのは一つのピリオドという意味かな。
4枚組という大ボリュームだが、俺のようにずっとaikoの事が
”ちょっと気になる存在”だった方はこの機会に聴いてみよう。

色々しんどくて疲れる日常に、aikoの詩が良く効きます。


【採点】
・4枚組の大ボリューム 30点
・aikoの大サービス精神 20点
・aikoをちゃんと聴こう 20点
・俺にもいいことがあるように 3点
73点