【Song】EGO WRAPPIN' / くちばしにチェリー [2002]
ヒエラルキーを感じろ。
ジャズというジャンルは日本ではクラシック等と同様に、
ちょっと一般人からは遠い位置にあるイメージがある。
おそらくポップスやロックに比べると、
ヒットチャートに登場する機会が極端に低いので、
なんとなく親しみにくく感じてしまうのもあるんだろうか。
しかし海外で「好きなアーティストを教えて」と訊くと
ポップやロックに混じってクラシックやジャズのアーティストも
普通に回答がくるらしいので本来はそんなもんだと思うが。
そんな日本においてもジャズバンドが
一般的な知名度を得た例の一つがエゴラッピンのこの曲
『くちばしにチェリー』だろう!
ホンモノのジャズ好きとやらからは
「あんなのポップだ!」「ジャズっぽいロックバンドだ!」とか
おいおいそんなにポップとロックはジャズに迫害されるのか
と言わんばかりの見えないヒエラルキーを突き付けられたりしたが。
しかし好きな音楽の主成分が大体ポップとロックという
ヒエラルキー最下層の俺でも聴いてた曲だから、
この曲の持つ普遍的な魅力は彼らも認めざるを得ないだろう。
妖艶なムードと緩急のついた展開、
変幻自在で伸び伸びとしたボーカルで
緊迫感溢れるジャズサウンドが迫りくる!
歌詞の言葉のチョイスもまた独特で、
歌い方も相まって妙な脱力感を感じる。
「着地」って言葉がしょっちゅう出てきて、
当時はその不思議な響きに酔いしれたもんだ。
エゴラッピンはこの曲みたいにアップな曲だけじゃなく
実際はしっとりした曲もかなり多くやっており、
この曲ほどハネた曲はむしろ少ないと思うんだけど、
何せコレ、ドラマの主題歌になったからねー。
ハードボイルドな探偵モノ『私立探偵 濱マイク』の
ドラマの主題歌という事でその為に作られた曲でもあるのだ。
このドラマそのものは観てないのだけど、
ちょっとクラシカルなハードボイルド作品っぽいので、
この曲はかなりピッタリなんじゃないか?
電子音、ダンスビート等の理路整然としたリズムが
当然のようなヒットチャートにおいて、
こういった”間”を感じるような息遣いのある曲が
注目を集めたのも面白かったなーと振り返るのだ。
ちょっとしたアドリブ感のような気分に酔うというか、
それこそ戦後間もない頃にジャズを聴いていた日本人は
そういった気分を楽しんでいたのだろう。
ジャズ喫茶で腕組んでじっとしながら
流れてくる音楽に耳を傾けてる人々の風景の前は、
さすがに俺のヒエラルキーの低さを感じずにはいられない。
【採点】
・妖艶ジャズサウンド 30点
・変幻自在ボーカル 20点
・ハードボイルドだぜぇ 20点
・ヒエラルキーの低さも感じるぜぇ
-1点
69点
ベストラッピン 1996-2008 EGO-WRAPPIN' 曲名リスト 1. ヤルキ盤::サイコアナルシス 2. ヤルキ盤::くちばしにチェリー 3. ヤルキ盤::PARANOIA 4. ヤルキ盤::GO ACTION 5. ヤルキ盤::Sundance 6. ヤルキ盤::WHOLE WORLD HAPPY 7. ヤルキ盤::Nervous Breakdown 8. ヤルキ盤::BIG NOISE FROM WINNETKA|黒アリのマーチングバンド 9. ヤルキ盤::カサヴェテス 10. ヤルキ盤::Crazy Fruits 11. ヤルキ盤::マンホールシンドローム 12. ヤルキ盤::Mother Ship 1. セツナ盤::finger 2. セツナ盤::a love song 3. セツナ盤::あしながのサルヴァドール 4. セツナ盤::かつて..。 5. セツナ盤::色彩のブルース 6. セツナ盤::老いぼれ犬のセレナーデ 7. セツナ盤::A LIE 8. セツナ盤::官能漂流 9. セツナ盤::BYRD 10. セツナ盤::マスターdog 11. セツナ盤::Calling me Amazonで詳しく見る by G-Tools |