時間が吸い取られる!2枚組アルバムの恐怖。
時間が無い人は聴いちゃダメ。
現代人は時間が無い。
それは仕事等のやるべき事で忙しい事もあるんだろうけど、
世の中には楽しいと思えるコンテンツが溢れすぎていて、
興味があるけど消化しきれていない場合も多いと思うんだ。
俺も最近平日は仕事が残業続きで、
休日も行きたいイベントが色々あって消費が進んでいない。
今積ん読の本・漫画が20冊、CDも5枚くらいある。
あー春休みが欲しいよ!
ただ音楽というものは結構消費がしやすいと思われる。
歌詞観ながらだったりYoutubeでMVを観ながらでない限り、
料理中や運転中、何かの作業中等に流して聴く事が出来る。
ただそれでも長時間ずっと音楽を続けて聴く機会はあまり無いだろう。
そう考えるとぶっ続けで聴くのはアルバム1枚がせいぜいではないか。
いや、もしかしたらアルバム1枚にも満たないかもしれない。
そんな中、昨年ノーベル賞を受賞したあのボブ・ディランが今度
3枚組のオリジナルアルバムを発売するそうで話題となっている。
Triplicate
Bob Dylan
さ、三枚組…一周するのにもキツイぜ…。
ベストアルバムであれば3枚組もまぁ結構ある。
ただ、ベストは聴いたことある曲も多いし、
別に続けて聴かなくても数曲をピックアップして聴きやすい。
だがオリジナルアルバムってのは、
作る側もちゃんと構成・順番を考えて作っているので、
なかなかピックアップして聴きづらいものなのだ。
少なくとも俺はオリジナルアルバムは
基本的に最初から順に聴くのが流儀だと思っている。
オリジナルアルバムをちゃんと最初から最後まで聴かないヤツは、
いわばコース料理でいきなりデザートから食い始めるようなヤツ。
どうぞケーキバイキングで食欲を永遠に発散し続けててくれ。
2枚組オリジナルアルバムという狂気。
そんなわけで、
最初から全部ちゃんと聴くのがオリジナルアルバムの特徴なわけだが、
世の中には1枚で収まり切れなかったので2枚組にしましたみたいな、
時間ドロボー極まりない迷惑オリジナルアルバムが存在したりする。
狂気である。折角2枚分の曲が出来たのなら、
別作品で出せば売り上げも倍近くになりそうなのにそれもしない。
ビジネス的に見てもなんかもう狂気の沙汰である。
だが2枚組アルバムってのは数は少ないけど名作も多いのよ。
そりゃ創作意欲が止まらないままに出来たアルバムである。
わざわざ2枚組で1作品にするという事には理由があるわけだ。
そんなわけで今回はそんな有名な2枚組アルバムを復習したいと思う。
日本でもサザンやB'zが2枚組オリジナルを発売して
ミリオンヒットを記録するなどそれなりに成功例はある。
サザンは過去2回2枚組を発売してどちらもミリオンだった。
他にも浜田省吾や福山雅治にも2枚組のオリジナルアルバムがある。
割と最近では東京カランコロンが2枚組のオリジナルアルバムを出してた。
しかし今回は洋楽ロックから年代順に10枚チョイスしてみた。
日本に比べて比較的労働時間にゆとりがあって
みんな2枚組でも十分に堪能できる文化圏で生まれたアルバムである。
さすが洋楽、色んな意味で時間の使い方がダイナミックだ。
そんな日本の現状を無視した狂気の2枚組アルバム達を見ていこう。
時間がある人のための2枚組アルバム。
①The Beatles / The Beatles【1968】
そもそも現代のポピュラーミュージックの礎を築いたビートルズが
2枚組オリアルやっちゃってるんだからなんかもうしょうがないよね。
ビートルズのメンバがだんだん分裂していく中で、
それぞれの個性が発揮された曲がバラバラに多数収録された事で有名な
The Beatlesの『The Beatles』。通称はホワイトアルバム、白盤だ。
そのタイトルや2枚組という事でたまにベスト盤と間違われたりする。
気を付けてね!ベスト盤は赤盤、青盤だから!白盤は関係ない!
内容は確かにバラバラではあるけどバランスは悪くなく結構好きな1枚。
②The Rolling Stones / Exile on Main St.【1972】
ローリングストーンズも2枚組オリアル出してた。
『Exile on Main St.』、邦題は『メイン・ストリートのならず者』だ。
ストーンズのアルバムの中でも非常に人気・評価が高いアルバムで、
ストーンズの最高傑作と称する人も多い。実は俺はストーンズは
アルバムがどうしても苦手なんだけど、このアルバムはまぁ良かった。
ちなみに発売当時は2枚組だったんだけど、CDに時代が進化すると
収録時間的にCD1枚に収まるという事で実質1枚で発売されている。
技術の進歩って面白いよね。
③The Who / Quadrophenia【1973】
はい、ザ・フーも2枚組オリアルやってます。
この時点で英国三大バンドは皆2枚組オリアルやった事になる。
何?大御所バンドは1回は2枚組オリアルやる決まりでもあるの?
タイトルは『Quadrophenia』、邦題は『四重人格』だ。
ザ・フーのメンバー4人の人格を併せ持つ主人公の心情を表現した
濃厚なロック・オペラの大作。この手の作風はザ・フーの得意分野だ。
特にギターのピート・タウンゼントの創作意欲が爆発している。
映画『さらば青春の光』の題材にもなっている有名なアルバムである。
④Yes / Tales from Topographic Oceans【1973】
プログレッシブ・ロックバンド、イエスの2枚組オリアル。
『Tales from Topographic Oceans』、邦題は『海洋地形学の物語』。
要求IQが高すぎてついていけない感じのタイトルがヤバい。
2枚組レコードのそれぞれA面B面の各面に1曲ずつで計4曲で発売された。
全ての曲が20分前後あるため合計で80分超という大作となった。
さすがプログレ。時間の流れ方が特殊相対性理論の世界である。
ちなみに内容だが俺のIQでは退屈に感じられてしまう作品だった。
これの前のアルバム『こわれもの』と『危機』は結構良いと思うけど。
⑤Led Zeppelin / Physical Graffiti【1975】
ツェッペリンの2枚組オリアル。
『Physical Graffiti』、邦題は…無いけど直訳すると肉体的落書き。うほっ。
前作『Houses of the Holy』で新境地へと進みだしたツェッペリンが
その幅広い音楽性を一段と見せつけてくる特盛りアルバム。
えい、何でもかんでも詰め込んじゃえ!的な無邪気なノリが感じられる。
ちょっと冗長化してる気もするけどまぁこれもなかなかに良いアルバム。
あと前作で収録が見送られたタイトル曲『Houses of the Holy』が
こっちのアルバムの方に収録されているという後だし感にニヤリ。
⑥Pink Floyd / The Wall【1979】
プログレッシブ界の大物、ピンク・フロイドの2枚組『The Wall』。
アルバム至上主義で常に大作感を求めていたバンドだけに、
奴ら程2枚組というシステムが似合うバンドもいないだろう。
といいつつ彼らの作品で2枚組オリアルはこれだけだったりする。
ピンフロお得意のストーリー性を感じさせる構成で、
学校や社会における閉鎖的な「壁」の存在を描き出している。
楽曲も繋がっているので、これこそ絶対に続けて聴かねばならない。
ちなみに売上は3000万枚超で、
2枚組アルバムとしては世界で一番売れたアルバムらしい。
⑦The Clash / London Calling【1979】
こちらも有名、クラッシュの『London Calling』。ジャケットも有名。
これもストーンズの『Exile on Main St.』同様に
発売当時はレコード2枚組だったんだけど、
CDなら1枚に収まるという技術の恩恵で、現在はCD1枚で済んでいる。
歴史的にも名高い有名アルバムなわけだが、
実はこのアルバムは当初のレコード会社の認識としては
1枚組+オマケ1枚という形で発売される予定だったが、
蓋を開けてみれば2枚組のフルアルバムとしてリリースされていた。
これはクラッシュのメンバーの策略によるもので、
1枚分の価格でファンに2枚組を届けたいという想いから
「1枚のアルバムにオマケつけるね!」と会社に話をつけたためだった。
⑧The Smashing Pumpkins / Mellon Collie and the Infinite Sadness【1995】
90年代オルタナシーンの代表格バンド、スマパンの2枚組だ。
長いタイトル『Mellon Collie and the Infinite Sadness』の
邦題は『メロンコリーそして終りのない悲しみ』である。
メロンコリーだからな。決してメランコリー(melancholy)ではない。
ここ間違えるとスマパンファンにスマッシュで場外送りされる。
前作『Siamese Dream』で既に人気を不動のものにしていた彼らが、
満を持して発売した2枚組超大作アルバム。Disc1には”Dawn to Dusk”、
そしてDisc2には”Twilight to Starlight”とちゃんと名前が付いている。
美しく、ポップで、そして切ない。あらゆる感情が顔を出す快作だ。
⑨Red Hot Chili Peppers / Stadium Arcadium【2006】
レッチリが発売した気合十分の2枚組アルバム。
上記のスマパンのアルバムと同じようにDisc1とDisc2にそれぞれ
”Jupiter”と”Mars”というセーラームーン的な名前が付けられている。
米英の主要チャート、それに日本のオリコンでも1位を獲得した。
2枚組洋楽アルバムとしては異例中の異例のオリコン1位である。
この作品には映画『デスノート』の主題歌となった2曲が収録されており、
日本でもこのアルバムをきっかけにレッチリ好きになった人は多い。
またアルバムの内容もそれまでのレッチリを総括するような渾身の出来で、
メンバー自身も最高傑作と語っているくらいである。
⑩Arcade Fire / Reflektor【2013】
最後はコレ。2004年の1stアルバムにして多大な支持を集めて以降、
今も尚音楽シーンで常に熱い視線を浴び続けているカナダのバンド、
アーケード・ファイアの2枚組アルバム『Reflektor』である。
プロデューサーにLCD Soundsystemを迎えて制作されており、
それまでのアーケード・ファイアの音楽にダンス的なノリも追加され
新たな方向性を打ち出した話題作でもある。
俺もアーケード・ファイアはかなり好きなので、この作品も結構好きだ。
新たな方向性の作品といいつつも路線変更ではなく路線追加な感じであり、
従来のアーケード・ファイアファンにも割と受け入れられたアルバムだ。
あと2枚組なんだけど、実は合計時間的にはCD1枚でいけそうなレベル。
区切りをつけるために敢えて2枚組にしたのか…??
時間を贅沢に使っちゃおう。
2枚組アルバム特集、いかがだったでしょうか。
こうやって振り返ると、どれもこれも有名な作品ばっかだったと思う。
やはり時間をかけて聴くに値するアルバムなんだろう。
2枚組と聞くと無意識的に「うへぇ」となってしまいそうだが、
考え方によってはある意味で贅沢な時間の使い方なわけよ。
なんだか高級なコース料理のように思えないかい?
このクソ忙しい時代だからこそ、敢えての2枚組アルバム。
皆さんも時間を見つけて挑戦してみてはどうだろうか。
(ヘインズ)Hanes ボクサーブリーフ 2枚組