脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】米津 玄師 / BOOTLEG [2017]


もう読めないなんて言わせない。

BOOTLEG(映像盤 初回限定)(DVD付き) BOOTLEG(映像盤 初回限定)(DVD付き)
米津 玄師

曲名リスト
1. 飛燕
2. LOSER
3. ピースサイン
4. 砂の惑星 [ + 初音ミク ]
5. orion
6. かいじゅうのマーチ
7. Moonlight
8. 春雷
9. fogbound [ + 池田エライザ]
10. ナンバーナイン
11. 爱丽丝
12. Nighthawks
13. 打上花火
14. 灰色と青 [ + 菅田将暉]

1. LOSER Music Video
2. orion Music Video
3. ピースサイン Music Video
4. ゆめくいしょうじょ Music Video

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ORICONが企画した「2017ブレイクアーティストランキング」。

10~50代の男女1000名を対象にアンケート調査したらしいが、
そこで見事1位を獲得したのが、米津玄師だ。

www.oricon.co.jp


少し前までは米津玄師(よねづけんし)と毎回読み方を添えないと
必ず「なんて読むの?」と言われていたアーティストだったのに、
今じゃ還暦を迎えた俺の嫁のお母さんも知ってる程に有名になった。

ちなみに彼を「よねけん」と略すと何者かから苦痛を与えられるらしい。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp


さて、そんなよねけんさんだけど
耳の早いリスナーからしたら3年くらい前から既に人気だったので、
「え?もうとっくにブレイクしてたんじゃないの?」て感じだろう。

確かに今回のアルバム『BOOTLEG』は売れた。
このCDが売れないと言われるご時勢に初週で16万枚を売り上げ、
堂々のオリコン1位を獲得。

チャートを見ない人からすると
一週間で16万枚がどれくらい凄いのか分からんだろうけど、
初週で111万枚を売った安室ちゃんのベストの1/7くらい凄い。

でも実際に前アルバムの『Bremen』はオリコン1位、
その前のアルバム『YANKEE』もオリコン2位を獲得しているんだよね。
オリコンチャート的にはとっくの昔に人気アーティストだったわけだ。

でも多くの人が米津玄師は今年ブレイクしたと思っている。
つまりはチャート成績よりもどれだけ世間的に浸透したかというのが
ブレイクの基準というわけだ。最早チャートが流行を作る時代ではない。
俺の嫁のお母さんが名前を知っていればそれがブレイクなのだ。


そんなわけで話題沸騰のアルバム『BOOTLEG』。
何がそんなに人気なのか。それは収録曲を見れば分かる。


3月のライオン』EDテーマの『orion』、
僕のヒーローアカデミア』OPテーマの『ピースサイン』、
初音ミクのイベント「マジカルミライ」のテーマ『砂の惑星』、
ルーヴル美術館特別展イメージソング『ナンバーナイン』、
モデルの池田エライザとコラボした『fogbound』
俳優の菅田将暉とコラボした『灰色と青』etc…


とにかくタイアップ曲・話題曲が目白押しである。
並べて書いただけでもう眩暈がしてくるし読む気すら失せる。

それはつまりここ最近「米津玄師」の名を聞く場面が多かったという事。
だからこそ多くの人が「今年ブレイクした」と感じているわけだと思う。

そして極めつけは
アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』のテーマ
『打上花火』である。



この曲は本当に素晴らしい。いやもうマジで俺は感動したよ。
90年代なら確実にミリオン行ってる曲だ。それくらいの魅力がある。

米津玄師って俺はどちらかというとマニアックな曲が良いと思うのね。
このアルバムで言うと『砂の惑星』みたいな曲。
反面、王道のポップスだとややインパクトが薄いと思っていた。以前は。

だがこの『打上花火』を聞いた時に米津は間違いなく天才だと思った。
誰が聴いてもストレートに良い曲。こんな良質なJ-POPはそうそうない。
こんな曲も出来るやんけ…なんなんコイツ…

ただこの打上花火、DAOKOとのコラボバージョンは凄い良いんだけど、
このアルバムに収録されている米津単独バージョンは、
アレンジも変わってて個人的には微妙だった…。そこが惜しかった…。


あと11曲目の『爱丽丝』は邦楽界に度々出没する
プレイヤーによっては文字が表示されないタイトルの曲である。
ちなみに「アリス」と読むらしい。今や希少種となった暴走族の記法だ。
しかもいい感じにインテリの。どっから持ってきたんだこの漢字。

だがそんなインテリ暴走族の曲名も、
命名したのがあの米津玄師様というだけで箔がつくのだ。
これが格の違い。俺がこんな文字使ったら秒速で黒歴史となる。


しかし今回のアルバム『BOOTLEG』というタイトルがまたなんともだ。
海賊盤」を意味するこの言葉をアルバム名に冠したのは
このアルバムで「オリジナリティへの疑問」をテーマにしたからだと、
そんな事を米津自身がインタビューで語っていた。

収録曲の『砂の惑星』で彼が多数のボカロ曲の引用を行ったように、
”オリジナル”であると同時に実はそれ自身も色々なものから
影響を受けたりアイディアを拝借したりして構成されているわけだ。

そういった「オリジナルの本質」という問いかけに迫るために
自分自身を形作るものを多面的に捉えた作品がこのアルバムという事だ。
だから皮肉を込めた意味で「海賊盤」というタイトルにしたらしい。


というわけで、今作は洋邦問わず彼が良く聴いていた音楽のルーツを
自分なりに辿ってオマージュした作品となっているそうだ。
確かに米津本人が書き下ろしたコラージュ感のあるジャケットも
そんな事を物語っていそうな雰囲気。というか絵まで書けるんだよな…。

だがそういった多面的なアルバムのため、
『YANKEE』や『Bremen』と比べるとアルバムの一貫性はあまり無い。
しかし米津玄師というアーティストがどういう存在なのか、
まず彼について知りたい!という人にはうってつけのアルバムだと思う。

そして彼に興味を持ったら過去作品も聴いてみると良いと思うよ。
どちらかというと彼の変態っぷりが分かるのは昔の曲だ。


ボカロPから一躍時の人となったよねけん。
ぶっちゃけ『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の映画が
もっと大ヒットしていれば、RADの『前前前世』の時のように
もっと国民的アーティストになっていたのに、と思ったり。
あの映画酷評なんだよな…逆に気になるレベルで酷評なんだよな…。

ちなみに『君の名は。』はお正月に放送予定だそうです。
録画しとこう。


【採点】
・2017年№1ブレイク   30点
・タイアップ曲がずらり  30点
・インテリ暴走族     10点
・嫁のお母さんも知ってる  3点
73点