脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】The Killers / Wonderful Wonderful [2017]


ロックは滅びぬ!何度でも蘇るさ!

Wonderful Wonderful Wonderful Wonderful
Killers

曲名リスト
1. Wonderful Wonderful
2. The Man
3. Rut
4. Life To Come
5. Run For Cover
6. Tyson vs Douglas
7. Some Kind Of Love
8. Out Of My Mind
9. The Calling
10. Have All The Songs Been Written?

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「ロックとは何か」という人によっては喧嘩に発展する話は置いといて。

なんだかんだ言って邦楽はロックバンドがまだまだ人気である。
CD業界全体は落ち込んでいると言っても、
チャート上位にバンドも入ってくるしロックフェスも大賑わいの昨今。

むしろロックが元気がないのは洋楽の方だという認識は
ここ数年でかなり感じるようになった。
今洋楽で人気なのはR&Bやヒップホップ、ダンスミュージックであり
世界的に見ればロックバンドなんて廃れてきているのだよ。

かつては先進的でカッコイイ音楽の代名詞だったロックも
今の若者に言わせれば「ダセェ。」な感じなのかもしれん。
そうだね。とりあえず俺の服のセンスがダセェのは認める。


しかしだ、そんな中でも頑張っている洋楽バンドがいたのだ。
The Killersですよ。キラーズ。覚えていますか?
今年久しぶりに出したんですよアルバムを。


キラーズと言えばあの衝撃的な2004年の1stアルバム、
『Hot Fuss』を思い出す方が多いだろう。


1曲目の『Jenny Was A Friend Of Mine』の重厚な感じを抜け出して、
2曲目の『Mr. Brightside』のイントロが始まったときの
あのワクワク感ときたら!まさに新時代のロックの幕開けを感じた。

そして『Hot Fuss』は瞬く間に多くの支持を集める事になる。
セールスは勿論、評論家にもウケたし日本のフェスでも大人気だった。
そして彼らは2000年代のロックの一つの雛型になったと俺は言い切る。
それくらいにキラーズの存在は大きかったのだよ。



そんな2000年代の申し子となったキラーズは、
その後もコンスタントにアルバムを出し続け俺も買い続けた。
新作の度に俺は「ああ、これぞキラーズやなぁ」と
彼らの変わらないスタイルに安堵感すら感じていた。

だがそのキラーズは2013年にベストアルバムを発売し、
それ以降殆んどその名を聴かなくなってしまったのだ。
いや、実はめっちゃ活動してたかもしれんのだけど。
ここジャパンではなかなか彼らの話題は入って来ないだもん。


だから俺は、キラーズもあのアーティストによくあるパターン
「ベスト後トーンダウン」に入ったのかと思った。

※解説しよう。ベスト後トーンダウンとは、
ベストアルバム発売を区切りにして、
以降はそれまでとは違う細々orマニアックな活動を
展開するようなポジションに入る事である。俺命名。

あのベストは確かにキラーズのキャリアの総括として
とても充実した内容だった。一家に一枚は置いておきたいレベル。
だがそれ故に活動を一段落させたキラーズは、
もうかつての勢いをなくしてしまうのはないかとも思っていた。


そんなキラーズが5年ぶりの新作でついに復活した!
しかも全米1位・全英1位という大記録と共に。
全米1位はキラーズにとっても初の快挙だ。

やっぱすげーよキラーズ!5年のブランクもなんのその。
しかもこのロック不遇の時代に。あたしゃ感動したよ。


アルバムの名は『Wonderful Wonderful』。
ワンダフルが1回ではないぞ。ワンダフルワンダフル。
同じ言葉を2回言うのがポイントだ。鈴木奈々かよ。

それくらいに強烈なワンダフル感を冠した作品。
どれくらいワンダフルだったかって…

…うーん、まぁまぁのワンダフルかなぁ…。


キラーズだった。間違いなくあのキラーズだったよ。
確かに今回も「ああ、キラーズだなぁ」と思ったよ。
しかしながら俺は素直に「おかえり」とは思えなかった一枚だった。

キラーズってこれまでのどのアルバムにも
キラーズらしい安心を感じられる故郷のような曲があったんよ。

1stの『Mr. Brightside』、2ndの『When You Were Young』、
3rdの『Human』、4thの『Runaways』等々。
人によってどの曲をキラーズっぽく感じるかは違うだろうけど、
俺にとってのキラーズは上記のような曲がキラーズだったんだ。

今回のアルバムには残念ながらそういった
「俺の中のキラーズ像」を感じる故郷的な曲が無かったんだよ。
一応『Run For Cover』がそれっぽかったけどね。
そこが悔やまれるポイント。俺は欲しかったんだよ、あの感じが…。


と少々残念な部分もあったんだけど、それでもさすがはキラーズだ。
先行公開された『The Man』はキラーズのカッコイイ面を押し出しつつ、
ダンサブルなキラーズの新しい面を感じる事も出来た一曲。



何より1曲目『Wonderful Wonderful』から
オリエンタルな音で始まった事に驚き。
ジャケットに写っている貝でも吹いているのかと思った。
いや実際に吹いているのかもしれんけど。

全体的に今までのキラーズらしい部分と、
これまでに見られなかった部分とが見え隠れする一枚って感じだ。
悪くは無いが過去作に比べるとそこまで良くも無い。

このアルバムはきっと数を重ねて聴くと
どんどん良さが分かってくるアルバムなんだろうな。
昔のキラーズとベストを経た新しいキラーズが
ちょうど混ざり始めたような感覚かな。

久しぶりにキラーズを聴いたからこそ
ちょっとリハビリがてら何回も聴き込むと、
徐々にその良さが染み込んでいくような気がしている。


しかしこのキラーズの復活作がここまでヒットするとは正直驚いたよ。
本当に凄いと思う。まさに『Wonderful』な出来事だった。
みんなキラーズを待ってたんだね!
みんなキラーズを愛していたんだね!

下火のロック界にも明るい話題を振りまいてくれたキラーズ。
次回作は俺好みの曲を多めでお願いします…。


【採点】
・5年ぶりでも大人気      30点
・大事な事なので2回言いました 20点
・下火のロック界に火を灯せ   20点
・次は俺の好きなキラーズも…  -2点
68点